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眠れない夜に
寝台に横になっていても、眠たくない。
グリードは起き上がると、光硝石を軽く指で弾いて薄く灯りを灯した。
寝台に腰掛けて、ぼうとする。
考えが浮かんでくる。
あまりよくない考えばかり。
こういう時は気分をかえよう。
グリードは立ち上がると、灯りを手に、台所に足を向けた。
とっておきのお菓子を食べよう。
お腹が満たされたら、きっと心も満たされて、眠れるだろう。
グリードは尻尾を揺らしながら台所に入っていった。
食糧棚の奥からチョコレートの焼き菓子を取り出して、そのままかじった。
甘いチョコレートの味が口の中に広がる。
ぼろぼろと欠片がこぼれるのを空いた手で受け止めて、二口目をかじった。
濃厚なチョコレートの味は飽きることなく、舌を満足させた。
三口目で焼き菓子を口の中に放り込んで、咀嚼し、飲み込む。
手に残った欠片も残さず食べて、満足したグリードは、歯を磨いて、寝ることにした。
今度はきっと眠れるだろう。




