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《黒染み》とフレンチトースト
まっしろなページに何を書こうか。そう、ボクは机の上に広げたノートブックとにらめっこしていた。
いざ、と万年筆をインク瓶につけて、ノートの上に持ってきた時。
黒いインクがボタッ。
「・・・・・・あ」
はじめのページは、どまんなかに派手に飛び散った黒いインク染みで記念すべき第一筆を飾った。
それを隣で見ていた彼女はケラケラと笑った。
ボクは、この一連のことを今日の日記としてページの端に記しておいた。
インクが乾くまで開きっぱなしでしばらくおいておこう。
そのあいだに、お昼ごはんを作ろうと、下のキッチンに向かう。
今日は黄色い卵でたっぷりはしっこまでひたひたにした甘いフレンチトーストにしよう。
きっと、彼女が喜んでくれるくらい。甘くておいしいのを。