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クラゲ日和
雲ひとつない青空がどこまでも続く。
その下には陸珊瑚の台地を埋め尽くす、クラゲ、クラゲ、クラゲ!!
雲がなくなったせいで陸に降りてきたんだろうが。
いささか、数が多すぎる。
大量繁殖したクラゲどもを前に資源基地から派遣されてきた狩猟班と調査班は驚きと興味に目を輝かせるものと、これからの駆除作業の面倒さを思い、うんざりとした表情が多数。
「当面、食堂のメニューに酢漬けがのりますね」
わくわくと楽しそうに調査記録をつけている職員が呟いた。
クラゲの酢漬けはコリコリとした独特の食感がある食べ物だ。きゅうりや海藻と和えて食べることが多い。
「アレはまずくはねえが、ずっと続くのは飽きる」
「この機会に、何か別の調理法でも開発してみますか?」
「悪くねえな。よし、おまえが責任者だ。うまいもの作れよ」
え、と困惑する部下。
「口は災いの元ってやつだ。黙って仕事しろ」
俺はうんざりした気分のまま、投網を担ぎ直した。
いまからこれを何十回と投げては手繰り、投げて手繰りの繰り返しだ。
帰りてえ。




