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トーストの朝
よくある朝。
ラタは焦げたパンの匂いで目が覚めた。
「またかよ・・・・・・」
寝袋からはいでる。
きんと冷えた朝の空気で鳥肌がたった。
腕をさすりながら匂いの方に歩いていく。
真っ黒の炭のようになったパンがふたつ。
焦がした奴は、デカイ身体を縮こませてこっちを見てきた。
一応、反省してるのだ。
「火の加減、そろそろ覚えろよ」
やれやれ。
炭パンをどけて、網の下に置かれた火硝石に火布をかぶせる。
少ししてから布をどける。
赤く光っていた石が輝きを弱くしていた。
もうちょっと火力が欲しい。
火布の裏側で石を軽く擦る。
一回。二回。
橙色の綺麗な光を宿した石が熱を放つ。
グラトが新しいパンをふたつ用意していたので、受け取って網に乗せる。
両面をじっくりカリッと焼き上げる。
網から外して、皿に乗せ、片面にバターをたっぷりと塗って、トーストの完成。
「朝メシ完成」
パンの前にグラトが淹れていた熱々の紅茶とトーストで腹を満たす。
今日もよくある朝のひと時だ。
・・・・・・紅茶があちい。




