夜勤のともに
エンヴィは深夜の第五資源基地で夜勤についていた。
静かな夜だ。
空を夜光クラゲがふわふわと漂っている以外、何もない。
見張り台で、塩水を濾過して作った飲み水と空鯨のジャーキーを時々口に入れながら周囲を観察していた。
空鯨の肉を硬く乾燥させて濃い目に味付けしたそれを噛みしめていると、背後にヒトの気配を感じた。
振り返ると、そこには寝ているはずの彼の妻がいた。
「異常ありませんか?」
「なんもねえよ。そっちこそどうした?」
「目が覚めてしまって。眠れないのであなたの様子を見に来ました」
「冷えるからコレ、使え」
エンヴィは妻に、見張り用に用意されている毛布を渡した。
彼女は毛布にくるまると、夫の横に座って空を眺めた。
「今日もクラゲ達が綺麗ですね」
「そうかよ」
エンヴィは見慣れてしまった光景に特に何も思わなかったが、妻がそう思うならそれでいいと思った。
「そのジャーキー、美味しいですか?」
「お前も食うか? ひとつやるよ」
ジャーキーを渡すと、彼女は照れながら。
「これ、この間作るのを私もお手伝いしたんです」
エンヴィはそっぽを向いて妻に言った。
「・・・・・・うまいぞ。味が俺好みだ」
「よかった」
嬉しそうに頬を染める彼女を、夫は綺麗だと思った。




