夜のガーリックトースト
時間は十時を過ぎた頃、今日も残った仕事を持ち帰り、片付けていた。
ふと、空腹を感じたが無視し続けることができなくなった。
仕方なく台所に行く。
簡単に何か作って食べようと、昼間、店で買ったパンを輪切りにした。
それに、にんにくとバターを混ぜたものをたっぷりと塗る。
火台に赤硝石を置き、火付け棒で叩いて熱を生じさせる。
フライパンを温め、パンを並べると加熱されたにんにくバターの濃厚な香りが室内を満たした。
食欲を刺激する芳香に腹がぐうと鳴いた。
「腹減ったな」
仕事に集中していてここまで空腹だとは気づかなかった。
パンを裏返し、カリカリになるまで待つ。
早く食べたかったが、せっかくならうまいものの方がいい。小麦色になるまでしっかりと焼いた。
皿の上に移して、少し冷ます。
流石に今かじりついたら火傷をする。
にんにくバターの魔力的な香りを鼻から吸い込んで、愉しむ。
「うまそう」
スロウスは、程よく冷めたガーリックトーストにかじりついた。
にんにくの辛みとバターの甘みにパンの香ばしさが絡み合い、飢えた舌を満たしてくれた。
食べ出したら止まらない。
ひとつふたつとあっという間に平らげてしまった。
腹は充分満足した。
が、途端に襲ってきたのは眠気だった。
「そういえば、昨日は眠っていなかったな」
スロウスは、この後も仕事をするつもりだったが、抗いがたい睡魔に従って、今夜は眠ることにした。




