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『不定期な料理店』
ようこそいらっしゃいませ。
『不定期な料理店』へ。よくぞお越しくださいました。
当店のシェフに代わって、支配人がご挨拶申し上げます。
様々な食材と調理法で、お客様の目を堪能させて頂きたく存じます。
どうぞ、ゆるりとくつろいで、お料理が運ばれるのをお待ちください。
──なんでしたら、土足でも構いません。
メニューは、日々増やしてまいります。
シェフの努力と気分次第です。ご理解ください。
まずはお水をどうぞ。
当店自慢の一杯は『朝露の蒸留水』。
ピンクに青と鮮やかなアサガオから、冷たい夜露を拝借し、フラスコに溜めた希少品です。
溜め直した水が入った容器は、氷で霜がつくまで冷やし、氷からあげて、少し置きます。
次第に、霜が溶けていくので、一滴一滴をグラスに落とします。
一口分まで厳選するのは、とてもとても苦労しますが。
お客様の喉を潤す為なら、惜しくはありません。
サービスいたします。
さあ、どうぞ。
お料理が来るまで心待ちに、お席で乾杯を……。