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勉強会

 *** 安良坂視点


 実は魔法で、楽にテストを乗り切る方法がある。

 だけどこれを教えたら、彼にカンニングを容認するようで教えていない。


 まず、教科書やテキストに認識阻害の魔法をかける。

 本人以外見えていないので、まずバレない。


 だが、クラスに魔法を使える人がいれば、直ぐにバレてしまうけど。

 上原くんの場合、隣に黒田さんがいるから魔法を使うのは不可能だろう。

 ぼくはそんな事しなくても、普段から勉強をしているから問題ないけどね。


 黒田さんは時折、上原くんを見ている。

 多分好きなんだろうな。

 彼は気が付いていないらしいけど。


「カンニングする魔法あるわよね?」

 黒田さんがぼくにコッソリ伝えてきた。


「うん。認識阻害を使って…」

「やっぱりね。上原くんは気が付いていないみたいだけど…」


 必死な本人の方が、案外気が付かないものなんだな。

 大変だろうけど、頑張ってもらおう。

 三年のブランクがあるみたいだけど、何とかなるだろうし。


「何二人でこそこそ話してんの?」


 今日も上原くんの家で勉強会をしていた。

 最近は、平日彼の家に寄るのが日課になっている。

 リビングで問題集を解いている。

 三人とも部活動に入っていないので、比較的時間が空いているのだ。


「それはそうと、安良坂…いつも来てくれるけど用事とか無いのか?塾とか…」


「ぼくは学習塾って行った事無いんだよね。スイミングスクールなら行ったことあるけど」


「もしかして、勉強しなくても分かる人?」


「授業聞いてれば理解できるし、少しやっておけば」


「頭の出来が違い過ぎる!」


「同感ね」


「こういう奴がしれっと東大とかに行くんだろうな」


「はぁ~」

 上原くんにため息をつかれてしまった。


「私も勉強教わりたい!」

 上原の妹さんが名乗りを上げた。


「こらこら、迷惑だろ」


「今更一人増えようが構わないよ」


「わーい。やったー」


 ゆかりちゃんって言ったっけ。

 中学生だよね。

 上原くんに似ていなくて、ツインテールの髪が可愛い。

 ニコニコ彼女を眺めていたら、上原くんがじろっと睨んできた。

 お兄ちゃん目が怖いんですけど。



      *



「安良坂さんも異世界に行ってたのですか?」

 ゆかりちゃんが訊いてきた。


「えっ?そうだけど…」


 驚いた。

 急に聞いてくるから。


「今は勉強だろ?その話は後でしな?」


「わかった」


 ゆかりちゃんは特に教えるほどでもなく。

 お兄ちゃんより優秀だな。

 少し教えるだけで、スイスイ解いていく。

 数学は大丈夫そうだ。


「地理が苦手なんですよね」


「あれは憶えるしかないからね」


 好きな物はいくらでも憶えられるけど、興味の無いものは憶えるのが大変だ。

 学校の先生は偉いと思う。

 生徒に解るように教えないといけないのだから。



 ***



「何とか書けた…」


 学校での中間テスト。

 点数は解らないが、何とか問題用紙を埋めることが出来た。

 赤点さえとらなければ良い。

 俺はそう思っているのだが。


「一学期から赤点じゃみっともないでしょ?」


「折角だし平均点を目指そう」


 黒田さんと安良坂に言われた。

 せっかく勉強をしたっていうのに、赤点じゃ確かに申し訳ないよな。

 もうしばらく勉強は良いや。

 羽を伸ばして遊びたい。


「うーん」


 テストが終わった俺は、体を伸ばしていた。

 今日は学校は終わりだ。

 クラスメートたちは、帰る準備をしていた。



 ガラガラ…。

 教室のドアが開かれる。


「上原、すまんが保健室へ行ってくれ」


 ガタイの良い角刈りの男性教諭が俺に伝えてきた。

 この先生は4組の担任、安良坂のクラスだったはずだ。


「保健室?」


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