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冒険者ギルド

 次の日。

 ガヤガヤ…。

 冒険者たちが大勢いて騒がしい所。

 俺たちは近くの町、バコタの冒険者ギルドに来ていた。

 王都まで行かなくても冒険者ギルドはある。


「ゆう、その服だと随分目立たない?」


 黒のTシャツに青いGパン。

 昨日の服そのままだ。

 現地の服は、これから買おうと思っていた。

 この世界のお金は持っているし。


「そうか?」


 しおりの前で、気にしないふりをする。

 とは言え、冒険者たちの視線が痛い。

 変わった格好の変な奴と思われているのだろうか。


 因みに、しおりは白い清楚なワンピースで足元は白いパンプスだ。

 何処かの貴族令嬢だと思われるのではないだろうか。

 凄く似合ってるが、俺以上にかなり目立っているな。



「冒険者登録をしたいのだが」


 俺はカウンターに行き声をかけた。

 青い髪の若い女性が、俺の服装をじろじろ見る。

 異世界の服は、余程奇妙な格好に思えるのだろう。


「登録料に一人銀貨3枚かかりますが」


 どうやら、登録にお金がかかるらしい。

 アイテムボックスから、お金を取り出して銀貨6枚をトレーに載せる。


「彼女と二人分で」


「アイテムボックス持ち?あ、失礼しました」


 ギルド職員の女性に驚かれてしまった。

 職員の対応が急に丁寧になる。

 アイテムボックスは、秘密にしておいた方がいいのだろうか。


 手を水晶にかざすと、それだけで登録が終わった。

 呆気なさすぎる。

 鑑定魔法も同時にしているようで、紙に書かなくても情報が分かるらしかった。

 楽で良かったけど。  

 俺としおりの冒険者登録が終わった。


「紙に文字を書き込むのかと思ったわ」


「俺もそう思ってたよ」


 かなり拍子抜けした感じだ。

 思っていたのと違ったな。

 俺たちは黒いカードを受け取った。

 今日は登録だけだ。


 担当した職員の女性は、ラナさんと言うらしい。

 今度来た時は、ぜひ声をかけて欲しいと言われた。


「今日は、現地の服を買おうと思っているんだ。ギルドの仕事とかはまた今度な」


「わたしも服買った方が良いのかな?…他の人の視線が気になるのよね」


 チラチラと男どもが、しおりに視線を向けているのが分かる。


「そうだな。高そうな服は避けたほうが良いのかもしれないな」




 ギルドを出て、しばらく町を歩く。

 小さい町だが、歩くと結構広い。

 服屋がすぐ見つかるかと思っていたのだが、歩いている人に店を訊いた方が早いようだ。 


「ゆう、少し休んで良い?」


 疲れた様子のしおりは近くのベンチに座った。


「うん。ちょっと待ってろ」


 俺は屋台で飲み物を購入し、しおりに手渡した。


「ありがとう。ちょうど喉乾いていたのよね」


「俺も飲みたかったしな」


 ジュースを一口飲む。

 甘酸っぱいグレープフルーツのような感じ。

 ちょっと生ぬるいな。

 冷えていたら美味しいのに。


氷よ(アイス)


 少しジュースを冷たくしようと思ったのだが、コップまるごと凍ってしまった。

 これでは飲めそうにない。

 コップを振っていると。


「それじゃだめじゃない。貸して?」


 しおりは俺の手からコップを取り、氷を解かす。

 無詠唱で火魔法を使ったのだろうか?


「加減しないと。今、ちょうど良い感じになったと思うのだけど」


 彼女から、コップを受け取るとキンキンに冷えたジュースに変わっていた。

 魔法の加減が上手いな。



      *



「学校に行きたくないー帰りたくないー」

 

 買い物を終え、歩きながらしおりが呟いていた。

 俺も帰りたくない。

 ここだと勉強しなくて済むからな。

 だが、帰らなくてはいけない。

 待っている家族もいる事だし。



 町の裏路地に入り、辺りを見回した。

 人が居ない事を確認して、俺としおりは手を繋ぐ。

 

 今度は俺が魔法を使う事にした。

 俺の部屋に戻るイメージを、頭の中で思い浮かべる。


時空間移動魔法パラレル



「ただいまー」


「元の世界に、無事に帰って来れたわね」


 一瞬で俺の部屋に帰ってきた。

 ひとまずホッとする。

 

「ん?」


 一階で音が聞こえた。

 誰か来ているのか?

 階段を降りリビングに行くと、安良坂がゆかりの隣で一緒にテレビゲームをしていた。


「安良坂、来てたんだ」


「おじゃましてます。上原くん、異世界どうだった?」


「どうってお前…安良坂居るし、ゆかり何かあったのか?」


「ううん。何も無いよ?安良坂くんは遊びに来ているだけだもん」


 ゆかりはテレビ画面から目を離さない。

 まあ、とにかく元気なようで良かった。



 *** ギルド職員ラナ視点



 冒険者ギルドへ登録に来た若い男女。

 男は見たことが無い変わった服装をしていて、女は薄い生地の高そうなワンピースを着ている。

 

 男は見た感じ、ひょろひょろして頼りなさそうに見えた。

 屈強な男ばかり見ているから、余計にそう見えるのかもしれないけれど。


 いつも通り、適当に受付しておけばいいか。

 そう思っていたのだけど。


 彼はアイテムボックスから、お金を取り出していた。


「アイテムボックス持ち?あ、失礼しました」


 思わず口から出てしまう。

 アイテムボックスを持っている人は、かなり貴重だ。

 彼は銀貨6枚を、顔色も変えず差し出した。

 登録料が高すぎる!と文句を言う人が多いのだけど。

(あら、年齢の割に落ち着いているわね)


 登録用の水晶に手を当ててもらう。

 ギルドカードを作成する為だ。


「……」


 鑑定データーを見て息をのんだ。

 全属性持ち?

 私は冷静を装いつつ、ブラックカードを渡した。

 ブラックカードは多い魔力や、複数属性など特殊な人に発行されるカードだ。

 あえて説明はしなかったけど。


 一応、ギルド長に報告しておいた方が良いかもしれない。

 新人で、全属性持ちが二人現れたと。

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