双柳蒼華には医者の才能がある()
「確保数?なら、まだ私達にチャンスがあるわ!」
響きによって退場させられた絵里は選手控え室にて実況の声を聞いて、まだ自身に勝利の目があると歓喜していた。
蒼華との直接勝負に負けた今、試合までも負けまいと勝利を願った。
柊陣地は取りに行ったヴィルの気絶により変わらず柊チームの陣地となっている。
森の陣地は変わりなく蒼華陣地のままだ。
では、ニカが守っていた絵里の陣地はどうだったのだろうか?
『今大会戦闘練習の優勝チームは!陣地確保数2!双柳チームです!』
「え?」
ニカは?負けたの?と絵里は一瞬頭が真っ白になった。
陣地の確保数は蒼華のチームが2つ。
柊のチームが1つであった。
つまり、取られた陣地は私の陣地。
そして私たちの陣地に向かったのは多分リティア嬢。
ニカの実力であれば陣地を守り切る事はおろか、倒す事も可能であったはず。
にも関わらず陣地が奪われたという事はリティアの実力が私の想定以上だったのか?
「いやぁ、悪い悪い!負けちゃったわ!」
右の手を後頭部に当て、申し訳なさそうに出てきた。
ニカはタハハと笑い絵里に謝る。
その姿を見てか、絵里も責める気は起きず「負けたのなら仕方がない」と素直に負けを認めた。
結果発表後、フィールドに残っていた蒼華達が転送され戻ってきた。
リタイアした選手と生き残った選手達が一堂に会した。多少の気まずさの様なものが場に流れている。
中でも蒼華と絵里。
長年の因縁がある為に、この試合の勝敗は色々と応えるものがあるのだろう。
勝った蒼華は特に気にした様子がない。
対して絵里は悔しさからか少し瞳が潤んでいる。
「そ、蒼華。優勝おめでとう」
恐る恐るといった様子で祝いの言葉を送った。
蒼華はそんな絵里を一瞥して淡白に返した。
「ん、ありがとう」
蒼華は絵里の言葉に言葉以上の意味を感じなかったようで短く会話を終わらせた。
それを受け、絵里は涙が止まらなくなってしまった。
悔しさや悲しみ、後悔、など様々な感情がない混ぜになって溢れてしまった。
うわーん!と声をあげて泣いた。
「勝ちたかったぁあぁああ!蒼華に勝ちたかったぁああ!」
事情を知る者たちは絵里の気持ちを理解していた。
また、蒼華と絵里の関係を知らぬ者達も状況から察して見守っていた。
この一幕は澪やニカが慰めて励まして終わり。
シナリオ通りに進むのだとしたら、そうやって終わるはずだった。
が、絵里が感情を向けているのは『天災』双柳蒼華である。
決められた路線を歩けるタイプではない。
蒼華は絵里にゆっくりと近寄った。
それは泣いてしまった赤子をあやす母親の様な足取りだった。周りの者も「絵里を慰めるのか」と2人から距離をとった。
当の絵里も蒼華が慰めてくれると蒼華を見た。
初めて見る笑顔である。
バカ笑いをする蒼華にしては珍しい、はにかむというような表現でしか言い表せない優しさに満ちた笑みを浮かべていた。
「蒼華///」
絵里は照れたような甘ったるい声で名を呼んだ。
それに応えるように蒼華も絵里の名を呼んだ。
「絵里………」
絵里は何をされるのかとドキドキと胸を鳴らした。
「甘えんな」
バシーン!!!!!!
直後、絵里の頬に強烈な痛みが襲った。
頬には綺麗な紅葉が浮かんでいる。
誰が付けたのかなど考えるまでもない。
蒼華がビンタを喰らわした。
「甘えんな。私は世界一の魔術師だ。勝てる訳ない。だから、お前は一生私の後を追ってくるんだ。簡単に先を越せるなんて思うなよ?」
頬に手を添えてビンタの痛みを抑える絵里の目を見て言った。
その目は真剣そのもので絵里が私に勝つなどワンチャンスもないと言わんばかりに燃え上がっていた。
そんな蒼華の決まり切った気持ちを感じ取った絵里は頬を染めて返事した。
「は、はい///」
絵里の反応を見て蒼華は手についた涙と鼻水を絵里の服で拭って立ち上がり、響に「優勝特典は明日だよな?今日は帰るぞ」と言って帰路へと着いた。
帰り道、響が蒼華に聞く。
「お前何でビンタしたの?」
別にあのタイミングでビンタする必要なかっただろうと思っていた響は質問を投げかけた。
すると、蒼華は質問の意図が分からないとばかりに首を傾げた。
「だって、人間とテレビは叩けば直るでしょ?」
さも当たり前のように言う蒼華。
その言動に響は驚愕を受け、これは道徳を教えた方が良いと密かに決めた瞬間だった。
後日、道徳について蒼華に話したのだが道徳は暗記科目だと一蹴され、響は教育を断念した。
fgoの宝箱周回が忙しくて文章が雑くなってます。
イベント終わるまで粗雑かもしれませんが、ご了承ください。
その内綺麗に改稿します。




