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体育祭当日

「「「「うおおおおおおおおおお!!!!」」」」


「すげえ盛り上がりだな」


「そりゃ世界的に有名な学園の祭りとなりゃ盛り上がるでしょ。学外からも名の知れた魔術師だったり政治家だったりが来るし」


「へー、そりゃ凄い」


言っちゃ何だが、やる競技も戦闘練習を除けば一般的なものばかりだし、んなに世界中が見ているとかいうレベルのものだとは思わなかった。


「そりゃ、かの有名な魔女候補様に優勝者の願いを何でも叶えるなんて言われちゃ世界中皆躍起になるに決まってるだろ」


「魔女候補?」


「なんだよ。知らねえのか?魔女が死んだ時の代わりとなる大魔術師の事だぞ?」


ヴィルは、さも常識かの様に話すが全く知らない内容だ。

魔女になりたいって言ってた蒼華は流石に知ってるよな?と蒼華の方を振り返ると蒼華も知らないてな様子で話を聞いていた。

あれ?コイツ、本当に魔女なろうとしてんのか?


「50年前くらいまでは優勝する為に外部の人間の介入やらドーピング、暗殺から賄賂まで横行していたんだが、魔女候補様こと学園長が見せしめとしてその年に不正を行なった者達を文字通り吊し上げてからは、比較的落ち着いて学生の体育祭って感じが出るようになったんだぜ」


ヴィルは勉強苦手だった筈なのに、やけに詳しい。

興味あることについては色々知ってて、興味ないことは見向きもしないアレか。


『さて、1455年!第456回目の体育祭の司会を務めるのは私、八木沢鳩子(やぎさわはとこ)と!アカネ先生!そして高等部第1学年2位の近衛右京さんです!』


『よろしくお願いします』


『よろしゅう』


『お二人とも是非お話ししていきたい所なのですが!もう第一競技の1500m走が始まる時間です!お話しする時間は別に取らせていただきます!では!さっそく司会進行!させて頂きます!』


実況の紹介を受けてぞろぞろと選手達がスタート位置へとつき始めた。

選手達は皆、刻印魔術師の様だ。足へとありったけの魔力を流している。短距離と言っても1500mはあるのだが、まさに短距離特化型の魔術師って感じだ。


『それでは!よーい!始め!』


スタートの合図と共に一斉に駆け出す。

今回の1500m走は一直線だ。

カーブや遮るものは何もない。

常人なら5〜7分といった所か、魔術師なら1分前後だろう。

なんて考えているうち、もう1番前の選手がゴールテープを切った。


『24秒で1着の選手がゴールインしました!2着3着の選手達も続々と後を追っていきます!』


速え……、何食ったらそんなに速く走れんだよ。

驚いている間に全員がゴールした。

最下位の人でも36秒だから、学生としても魔術師としても途轍もなくレベルが高い。


『いやぁ、毎年、短距離の選手達の脚力は目を見張るものがありますねー!』


『いやぁ、本当に皆んな速すぎちゃいます?』


実況ちゃんに右京が共感している。

みんなの足が速いってのには同感だけど右京が言うと嫌味に感じるのは何故だろうか?

アイツが本気で走ってるところなど見た事ないけども本当にそう思っているのか疑わしくてならない。


『2走目の準備が始まりました!この後、1500m走5走目まで走りまして続く第2プログラム3000m走へと移行します!』


意外とテンポよく進んでいくようだが、いかんせん出場者が多いせいで朝7時から夕方18時まで体育祭がある。

そして次の日に各競技の優勝者を集って後夜祭というか祝勝会をするらしい。


「おい!響!もう移動するぞ!」


「移動って何処に?」


「予選だよ!予選!」


「え?俺らが出るのは最後じゃなかったか?」


「戦闘練習は1試合1試合が長いから悠長にやってらんねえんだよ。予選を今のうちに終わらせて決勝戦だけ体育祭のトリとしてやらせんだよ」


にゃるほど、確かに戦闘練習は全滅させるのが難しく殆どの試合は40分丸々使って陣地を取り合う。

1試合ならまだしも、2試合連続で見るとなると観客側も飽きてしまうのだろう。

そういう点を考慮して予選は午前中に行って、決勝は午後と分けられているのだろう。


『戦闘練習予選と1500m走を並行してやらせて頂きます!私は戦闘練習に関してはさっぱりなので!戦闘練習予選の実況解説は右京さんにして貰います!それじゃあ右京さん宜しくお願いします!』


『任せとき!盛り上げるんは得意やさかい!』


そう言って右京は戦闘練習の競技場の見える実況席へと移動して行った。


『響ぃ〜!頑張りや〜!』


放送を通して伝えられる右京の声援。

応援してくれるのは嬉しいが、衆人環視の中そういうのはやめてくれ…恥ずかしい!

俺が少し恥ずかしがったから周りの人も響が俺だと気づいて笑っている。

嘲笑ではないのは分かっているが、恥ずかしいものは恥ずかしい。

というか、微笑ましい感じで見られてるのがより一層恥ずかしい!


「響ぃ、頑張らなきゃなァ?」


「うるせいわい!」


隣にいた蒼華は俺の心境を読み取ったのか、不良が優等生に絡むみたいな動きで俺の肩を掴んで揶揄う様な口調で言った。


『ほな、戦闘練習予選開始するで〜!』


緊張感のない間延びした声で告げる。


『よーい!スタート〜!』


競技場内に反響する右京の声が鳴り止まぬ内に選手は駆け出した。

結果を言ってしまうと蒼華という名の厄災が敵チームを薙ぎ倒し圧倒的勝利で決勝へと歩を進めた。





3km15秒で走る右京が短距離の実況は人選を間違ってますね。


体育祭を終えたらシリアスな場面も増えてくるので苦手な方は気をつけてください。

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