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華麗なる戦略

これを読む前に“古都と体育祭”のエピソードに書いてある戦闘練習のルールを読んでから見た方が面白いかもしれません。

というか、ここにルール貼っておきます。


・試合時間は40分。

・3つある陣地を奪い合い、試合終了までに敵チーム全員を戦闘不能状態にさせるか、陣地を獲った数の多いチームの料理となる。

・学生用は2チームのみで行われる。(本来の戦闘練習は最大4チームまで)

・互いに自陣からスタートする。

・陣地を奪う際は約1分間陣地内に留まっていなければならない。45秒間は敵チームが中にいてもカウントは開始される。残り15秒は陣地内に味方以外が居るとカウントストップされる。

・戦闘が起きた場合、殺されたら離脱。

※特殊な魔術結界により、戦闘練習の会場は通常なら死ぬような怪我でも死ぬことはない。


『今年もこの男の戦闘を観るために生きてきたようなもの!皆様も体育祭まで待ちきれない事でしょう!そうでしょう!そうでしょう!仕方がありません!1試合だけですよ?本番前に少しばかり見させてあげましょう!』


実況解説席で大盛り上がりしている女生徒が言う。

これから試合をする学年3位の男のファンガールなのか、ふらりと見にきた観客のテンションとは少しばかり合っていない様だが祭なんだから、これくらいが丁度良いだろう。


『それじゃあ!行きましょう!試合!開始!』


試合開始の合図と共に、3チームが一斉に駆け出す。


「確か本番は2チームなのに、今回は3チームでやるんですね…」


「集客目的だから派手さが欲しいんでしょ〜」


3チームとも、まず自陣に1番近い陣地を確保した。

これで陣地の数は1:1:1だ。

戦闘練習はここからどう動くかが鍵になる。

陣地を守ったまま動かずに終盤の集中が切れるタイミングで攻めに行くか。

それとも陣地に守りを残して他の奴らだけでちょっかい出しに行くか。

はたまた、守りを捨てて敵陣を全員で襲撃して乱戦に持ち込ませるか。


今回のフィールドは廃墟に2つ、森に1つ陣地が置かれている。

優勝候補のチームは森の陣地を確保した様だ。


森と廃墟の間には距離があって、行くまでに少し時間がかかる。

対して、廃墟側は森と比べて陣地同士の距離が近い。


つまり、このフィールドの場合は廃墟側の2チームが戦闘を行うまで森のチームは隠れ待ち、漁夫の利をするのがセオリーだ。


もちろん、廃墟側のチームも森が圧倒的に有利だというのを知っているので廃墟側の2チームで共闘して森のチームを引き摺り出すってのがよくある試合の流れだ。今やってるチームも、そういう狙いなんだろう。

廃墟側の2チームとも互いに牽制しかしていない。

このままタイムアップギリギリまで待って最後に乱戦に持ち込ませる気なのだろう。


この場合、廃墟チームの後ろ側に回り込んで牽制する事で待ってる余裕をなくして2チームを戦わせざるを得なくして漁夫を狙うのが最適解──────


『おっーと!学年第3位(ひいらぎ)(まこと)チーム全員が守りを捨てて廃墟へと駆け出したぞォォォ!!!!』


!?!?

そりゃ悪手だろ!乱戦に持ち込んだ所で陣地を確保出来る保証はないぞ?

乱戦は負けはしないが勝ちもしないという戦術だ。

陣地を確保する為には陣地範囲内に約3分止まっていなければいけない。

最初の2分30秒は陣地範囲内に敵チームが居てもカウントされ、その後残りの間は陣地範囲内に自チームのメンバー以外がいてはならない。

要するに、敵チームが範囲内に体を入れている限り、陣地を確保できない。


試合残り時間は後30分。

単純計算で最大10回陣地を入れ替われる。

んな時間に攻めるなんてどう考えても悪手だ。


『柊チームの火力担当清水(しみず)選手!何やら顕現魔術を使おうとしているぞ!この術式は爆裂魔術だァ!そんな物騒な魔術で一体何をするつもりなのかぁぁぁ!?!?!!!!』


清水とかいう奴は森に隣接している廃墟の屋上を駆けて、廃墟街の中心部へと飛び降りた。

着地点は廃墟にある2つの陣地の丁度真ん中。

飛び降りている最中に爆裂魔術を発動させた。


ドォォォオオオオン!!!!!


海を挟んで隣にある校舎で行っているはずなのに、ここにまで轟音が響き渡っている。


爆裂魔術を使った本人は建物と建物を繋いでいる鉄塔に掴まって変形した地面を見下ろしていた。

爆裂魔術により、廃墟街の中心部は崩れ去った。

つまり廃墟にある2つの陣地間を遮るものはなくなった。


廃墟側の2チームは何が起きたのかを理解する間も無く、柊のチームはまるで狙い通りだと言わんばかりに戦闘を始めた。


廃墟側の2チームは互いに1人を陣地に残して他のメンバーが近中距離で戦闘をしている。

対して、柊のチームで戦いに参加しているのは身長3mは裕に超えているであろう筋肉質な女の子だけである。


他のメンバーはというと────────


『柊チーム!二手に別れて手薄になった陣地を狙いに行ったか!?』


5人チームならではの戦術だ。

打たれ強い1人を残して中央での戦闘を長引かせ、手薄になった敵陣を2人ずつに別れて叩く。

良い意味で教科書通りの上手いやり方である。

陣地を奪取する為の時間を中央で戦ってる娘が稼がなくちゃいけないのがネックだが、彼女1人で

時間稼ぎ可能だと確信しているのだろう。

もう柊たちが敵陣へと到着した。

あとは、陣地を確保するだけ────────


『ん?陣地を確保しない?』


実況の子と全く同じ感想が出た。

柊チームはそれぞれ陣地を守っていた奴を倒したのに陣地を確保せずに走り出した。

何故だ?

向かう先は廃墟街の中央──────


『まさか!まさか!中央に集まった敵を倒しにいくのかァァ!!』


最初からこれが狙いだったのか!

確かに手薄になった陣地を取りに行くのも良い手だが、試合時間がまだ20分以上ある中で3つ全ての陣地を取ってしまったら、絶対に相手側2チームが共闘する。なんなら10分後に落とした奴も全快してメンバーが揃う事になる。

そうしたら、面倒臭いどころじゃない。

振り出しに戻る事になる。


要は最初から最後まで陣地を取るのが目的ではなく、相手2チームを全滅させる為に動いてた訳だ。


中央に柊チームが全員合流する。

相手2チームとも4人編成だったから、1人落ちて3人。

これで5:3:3。人数有利である。

まだ共闘するという選択肢があるが、この状況下でそれをするのは難しい。


詰まる所、


『フィールド上にいるチームが1チームのみになったので!これにて試合終了です!勝ったのは柊チーム!観客の皆様!素晴らしい戦いを見せてくれた選手達を拍手でお送りください!』


一斉攻撃という一見おかしな行動。

その後の爆撃。

そして陣地を奪いにいくと思わせて全滅を狙う二重の作戦。

全滅させられなくともあそこで人数を減らせばローテーションで復活してくる為、常に人数有利を取り続ける事が出来る。

最初から最後まで完璧な戦略だった。


「こりゃあ、簡単には勝たしてくれなさそうだな」


「私が全員ブチ倒せば戦略とか必要ないから」


少し主人公面を気取って良い気分になっていた俺を隣で見ていた蒼華が現実に引き戻して来やがった。


「んな簡単にお前がハマる気がしねえな〜」


「私を止めれる奴なんて学園にも数人しかいないから大丈夫だよ。少なくとも柊とかいう奴のチームにはいないし」


「なら大丈夫か(能天気)!」







“双柳蒼華”一級フラグ建築士資格取得済み

“響”一級フラグ建築助長資格取得済み

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