天下五剣の習作
お金の単位募集しています。
良い案あったら採用します。
学園が所有する5つある後者のうちの一つ。
『商業校舎』
学園の商業科の生徒と教師の知り合いのオーナー達によって運営している大規模商業施設である。
武器から食べ物、魔道具から魔術書まで何でも売っているのだから、学園の生徒達御用達になるのもうなずける。
さて、そんな商業校舎に武器を買いに来たわけなのだが、何故か蒼華とリティアも着いて来やがった。
自分の知らない所でコソコソやっているのが気に入らないとか言って強引に来やがった。
「アイツ遅いな。もしかして私たちを誘った事忘れてんのか?それとも日頃から遅刻する様なやつなのか?最低だな!」
忘れっぽい万年遅刻魔がほざく。
「誘われたのは俺だけだし、お前の言ってる事ブーメラン突き刺さってるけど大丈夫か?」
蒼華のフラストレーションも限界値に達して来たし、カフェにでも入って待っていた方が良いかと考え始めた頃に丁度、ヴィルがやって来た。
何やら腕いっぱいに鮮魚を抱えている。
「悪い、遅れた。お詫びに魚やるよ!なんか高級魚らしいぜ!この魚!普通なら数十万するもんなのに俺にだけ特別で1匹5万で売ってくれたんだよ!」
俺、リティア、蒼華、3人に1尾ずつ渡してニコニコと笑うヴィル。
悪気はないんだろうが嫌がらせとしか思えない。
言っちゃ悪いが死ぬほど不細工な顔の魚だ。
匂いも生魚と生ゴミを混ぜた様な臭い匂いがする。
「ふふっ、この魚って安い臭い不味いの漁師達に嫌われてる有害種だろ?漁港行けば死ぬほど投げ捨ててあるのに、それを5万て(笑)」
蒼華の言葉にヴィルは先程までの笑顔が嘘だったかの様に固まり、真顔になる。
そして腕に抱いている魚達と俺らの顔を交互に見た。
「クソおおぉ!あのババア騙しやがったなァ!確かに臭いもん!なんかキモいし臭いし!あぁ!俺のバイト代がぁ!くそおおおおおお!!!!」
その場に泣き崩れて恨みつらみを吐露する。
その姿はあまりにも惨めで先程まで煽る気だった蒼華でさえも居た堪れなさを感じざるを得なかった。
「なんか困った事あったら言えよ!な?今日の昼飯奢ってやるから!」
俺がそう声を掛けるとまたも先程までの涙は嘘だったかの様に……、涙と鼻水でベトベトになっているから嘘だったかの様にというのは誇張しすぎたが、取り敢えず笑顔になった。
「やっぱり、持つべきものは友達だな!」
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「ここが俺の馴染みの店だ!」
そう言って紹介されたのは少し古びた武器屋。
何やら、ヴィルの故郷の知り合いがヴィルの入学と同時期に商業校舎で店を開く事になったらしい。
だから、友達の少ないヴィルの顔が効く店があるのだとか。
「おーい!じっちゃん!やってる?」
店の中は外観からは想像できないほど綺麗だった。
まあ、武器を作っている所なのに店が汚ければ武器の寿命を縮める事になる。
武器屋の必要条件として清潔感は必須なのは考えてみれば当たり前の事だった。
「おお、ヴィル坊か。今日はどうしたんじゃ?」
店の奥から老人が出て来た。
妙に姿勢の良い元気そうな爺さんだ。
「コイツの武器を見繕ってもらいたくてさ」
ヴィルが親指で俺を指差し、爺さんの視線がこちらに向く。
品定めする様な目だ。
「名は?」
「響です」
「身長は?」
「……176cmっすね」
「使ったことのある武器は?」
「剣は使えます」
「片手剣?両手剣?」
「どっちも使えます」
「両刃剣?片刃剣?」
「片刃剣がいいですね」
質問に答えると爺さんは店の奥へと入っていった。
ヴィルによると客の情報を聞いてその客にあった武器を売ってくれるらしい。
「ほれ、これでどうじゃ?」
投げ渡されたのは綺麗な日本刀。
優美でいて豪壮。
刃縁に沿って三日月形の模様が連なっている。
「綺麗…」
隣に立っていたリティアがふいに呟いた。
まさにその通り。綺麗である。もっと語彙があれば上手に表現出来たのだろうが、俺には綺麗としか表現しようがなかった。
「綺麗なんてのは当たり前じゃ、お前ら聞いた事があろう。『天下五剣』宗近の刀工の作品じゃ」
「「天下五剣?」」
「何だ、知らんのか!?天下五剣と言えば、数ある中でも特に名刀と言われている日本刀。『数珠丸恒次』『童子切安綱』『鬼丸国綱』『大典太光世』『三日月宗近』の五振りの事じゃ」
「へー」
「興味なさそうじゃな」
もう飽きたのか蒼華とヴィルはつまらなそうにしている。
対して、響とリティアは食い入る様に聞き議論を交わしていた。
「なら、この刀はあの宗近が鍛えたってことか!?」
「だ、だったら凄い事ですよ!三日月宗近は確か日本一美しい刀なんですよね!私一度だけ見た事あります!」
「なんじゃ、お主ら見る目あるのお!この刀は三日月宗近を打つに当たって作った習作なんじゃ!当時この刀を打った宗近は手放すのを惜しみながらも、この刀を超える刀剣を作ると決意して今日本で国宝となっている三日月宗近を誕生させたんじゃ!」
「凄え!凄え!」「スゴイです!スゴイです!」
「そうじゃろ!凄いんじゃよコレ!」
刀剣の話で盛り上がり、ワイワイと話し合っている3人を冷めた目で見る者達がいた。
蒼華とヴィルである。
「何が面白いのか、よく分からないなぁ」
「珍しくお前と気が合った。俺もじっちゃんの盛り上がるポイントがよくわからん」
2人とも近接戦を主としていない為、というか、あまり武器に浪漫だとかを感じない「戦う時に使えれば武器なんて何でも良いだろう」ってタイプなので刀だとかで盛り上がる響達の事がよく分からなかった。
「見どころのある奴らじゃ!このまま日の目を浴びないのは勿体無い!金は要らん!持ってけ!」
「うおー!爺さん太っ腹ァ!」
「響さん羨ましいですぅ!」
「それとその刀にはまだ名前がついておらん。何せ宗近が練習で打ったものじゃからな。その内、お主が名を付けれやれ」
真剣な眼差しで、そう言って鞘袋へと刀を入れて響へと手渡した。
「そちらの嬢さんにも何か見繕ってやろう。欲しいものはあるか?」
「じゃあ、私は──────」
響は商業校舎の喧騒の中、ただ1人手に持つ刀剣について考えていた。
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「リティア、お前杖買いに来たんじゃなかったのか?」
「これも立派な杖ですよ!」
そう言って見せてくるのは杖というには余りに大きい太めの六尺棒。赤樫で出来た1.8mはある棒。
一応、爺さんが杖としても使える様に加工してくれたのだが、それでもやはり杖と呼ぶには余りに大きかった。
「リティア、あんまり言葉が詰まらなくなったね」
俺とリティアの間に顔を出してきた蒼華が言った。
確かにその通りだ。
つい1週間前までは噛んだり、語尾で声が小さくなったりしていた。
しかし、最近はそれがない。仲良くなれた証拠だろうか?
「そ、そうですか?なら皆んなと仲良くなれたからかもしれません」
少し頬を染めて呟くリティアに場が和んだ。
「あっ、でもヴィルさんは私を敬ってくださいね。私よりも頭悪いので…」
和んだと思ったらヴィルに喧嘩を売った。
「てめえ!すぐにその減らず口きけなくしてやるからな!すぐにテストの順位も追い抜かしてやるからな!」
「ゔぃ、ヴィルさんに出来るかなぁ?」
「お前ェ〜!」
ギャーギャーと騒ぐヴィルとリティアを他所に俺は観客席へと座り、空中に映り出した映像を見る。
場所は第8競技場。
体育祭前の集客として戦闘練習を行っているのだ。
今競技を行っているのは去年、中等部にて無敗優勝を達成した現・学年順位3位が率いる優勝候補のチームであった。
ちなみに学年順位は日頃から行っている小テスト、定期的に行われる筆記、実技テストの結果に基づき、順位を定めている。
筆記は満点200点。年間15回。
実技は満点350点。年間15回。
小テストは満点10点。年間130回。
任意記述試験は満点500点。年間7回。
任意記述試験は受けなくとも受けても良い。任意。
白紙が渡され、そこに新魔術式を書いたり、既存の魔術の修正点を書いたり、個々人のセンスが問われる為、点数を取るのが難しい。
現時点では
学年1位は蒼華で1890点+任意記述試験1000点で2890点
学年2位は右京で1890点+任意記述試験650点で2540点
リティアは学年38位。
1494点+任意記述試験で172点で1660点
響は97位。ヴィルは567位。




