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生きる力を支配する者

佐古水と天谷が堀垣を探している頃

「そういえば、堀垣の奴一切食べてねぇじゃん。」

「どうしたんだあいつ・・・」

全く手をつけていない料理を見て郷田達が不思議に思っていた。日比野は心配して市長に聞こうとした瞬間、いきなり強烈な眠気が襲ってきた。

「な・・・なんなんだ・・・この急激な眠気は・・・」

日比野だけではなく郷田や中島先生、エルシアナや皇凰院達も眠気に襲われていた。そして、そのまま全員その場で眠ってしまった。




「ん・・・ここは?」

しばらく眠っていた日比野が目を覚ますと知らない場所にいた。どうやらどこかの地下室みたいだがかなり広かった。少し寒いと感じ動こうとすると両手が天井から吊るされた鎖に繋がれていたことに気付いた。そして、下を見ると下着姿になっていた。

「なんだ、これは・・・」

やっと完全に覚めた日比野が周りを見ると同じように下着姿で吊るされた郷田達を発見した。

「おい、起きろ!」

日比野が必死に呼びかけると全員なんとか目を覚ました。

「・・・ん~、何があったの?」

「・・・え?何これ!?」

「いやー!」

「何?魔法も使えない・・・」

目を覚ましたみんなは今の状況を見て戸惑っていた。すると、周りを見た橘があることに気付いた。

「おい。佐古水と堀垣と天谷がいないぞ。」

「あれ?ホントだ!」

橘に言われて日比野達が三人を探していると扉が開きそこから一人の怪獣が現れた。その姿は怪獣というより怪人に近く黒い体に頭部と胸部に黄色い発光体、頭部の発光体の左右の下には黄色く光る目も確認出来た。そして、左腕は剣のような突起になっているのが特徴的だった。

「初めまして、WISH。私はダークサイズ。」

ダークサイズの後ろには下着姿の佐古水を運んでいる街の人達がいた。

「何の真似だ?」

「これから君達を生け贄にしようと思いましてね。」

「生け贄?」

「えぇ。君達をあの方に捧げることで私は認められるのです。暴力でしか支配できないキングプレスと違って私は頭脳を駆使して支配するのです。」

ダークサイズは右手を掲げると近くの扉が開き中にある大量の食材が露になった。

「あれって・・・」

「さぁ。今日の分です。存分に食べるといい。」

「あ、ありがとう・・・ございます・・・」

街の人達は弱々しい声でお礼を言うと直ぐ様食材に手をつけた。

「なるほど。この街には牧場も畑もないと思ったらお前が奪ってたということか。」

「ご名答。支配するのに暴力は必要無い。生きる力を奪えばいいのですから。」

「こいつもこいつで最低だな。」

まだ眠っている佐古水を掴んだダークサイズは得意気に話し始めた。日比野達はなんとか抜け出そうとするも魔法が使えず吊るされた状態からは力も出にくかった。

「この鎖なんなの?」

「多分、魔封じの鉄石かと。」

「ご明察。さすがは博識なエルフだ。私が何の準備もせずに招くわけがない。」

エルシアナの発言に答えたダークサイズは佐古水を日比野達の前に投げると踏みつけた。

「途中で抜けた娘は兎も角、全く食べてない小僧がいたのは計算外ですがあの程度の奴らなら放っておいて問題ないでしょう。こいつと君と君と君がこの場にいるのだから。」

そう言ってダークサイズは佐古水と日比野と橘とエルシアナを指差した。すると、後ろから数人の街の人達が大きな箱をいくつか運んできた。

「あの・・・今月の納品です。」

「ご苦労。褒美はあそこだ。」

街の人達は会釈すると食材がある方へ歩いて行った。

「何それ?」

「人間の死体ですよ。」

「!」

「この街に来た旅人とかを騙して殺し血を抜く。そうすれば、実験の材料になるのでね。」

「どいつもこいつも実験実験って人間をなんだと思ってるの?」

以前も実験の材料と言われたことのある舞沢が嫌味ったらしく言うとダークサイズは左腕の剣を向けて答えた。

「簡単なとこ。人間は支配する対象。家畜みたいなものです。」

ダークサイズの回答に日比野達が強く反発していると郷田が何かに気付いた。さっき運ばれてきた箱の一つが少しずつ動いているのだ。

(まさか、あの中に堀垣がいるのか?)

郷田に続いて橘や姫樹達も気付いた。郷田達が少しずつ動く箱を見ているとダークサイズも動く箱に気付いた。

(まずい!)

「全く人間は思考も愚かですねぇ。そんなもので私を騙せると思いですか!」

ダークサイズは躊躇なく剣を箱に突き刺した。

「哲平!」

郷田が叫ぶが箱は反応しない。ダークサイズは動かなくなった箱を蹴り上げるとそこには崩れた土人形しかいなかった。

「これは・・・ゴーレム!?」

ダークサイズが周りを見渡していると後ろで音がした。後ろを振り向くと地面から堀垣が現れ魔法で作った土塊を飛ばしダークサイズを吹っ飛ばした。

「まさか、地面を潜って侵入するとは。」

「土魔法を使えば簡単にできるんだって。」

堀垣の後ろの穴からは天谷が現れ、なんとか鎖を外そうとした。

「僕はお前を許さない。みんなから生きる力、希望、当たり前を奪ったお前を許さない!」

「許さないからなんです?結局、支配するのは強い者。君達のような支配されるだけの弱者が何を言っても無意味なのですよ。」

「強さだけで全てが決まるわけじゃないよ。けど、僕は支配からみんなを救うためにに全力でお前に立ち向かうよ。」

堀垣は杖を強く握りしめダークサイズに言い放った。

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