生け贄
日比野達は見ていた。ルギリナとルージュにしごかれているウルトラレックスとキュアリアスを。すると、そこにフィディスがやってきた。
「こんにちは。」
「え?あ、こんにちは。」
日比野が挨拶するとアークシャとシルヴィアが膝をついて挨拶した。
「・・・あ、思い出した。あなた、確かトゥルディス教教祖のフィディスさんですよね?」
以前、マークタウンで調べたことがある日比野達は彼の顔を見て思い出していた。
「はい。初めまして、私はトゥルディス教教皇のフィディス・キリエロファントと申します。」
「やっぱりイケメンだな。」
「黙れ、郷田。」
フィディスの顔を見た郷田は文句を言っていた。そんなことを気にせずに日比野はフィディスにおそるおそる質問した。
「あの、これは何をしているのでしょうか?」
「特訓だそうですよ。」
「特訓って・・・」
日比野はボロボロになっている二人を哀れんで見ていた。特訓というより拷問されたような感じだった。
「とりあえず一休みするか。」
すると、ルギリナがこっちにやってきた。
「特訓って何ですか?」
「まずレックスだが技が単調でゴリ押しが多い。だから、今までとは全く違う技の習得をメインにしている。」
「キュアリアスの場合は戦いそのものがなっておらん。レックスはなんとか戦える水準までいっとるがキュアリアスは全くダメじゃからな。わしが徹底的に実戦で鍛えるのじゃ!」
ルギリナの後ろから来たルージュも特訓の内容を話した。
「な、なんかえげつないことになってるけど・・・」
郷田が倒れているウルトラレックス達を心配していた。
「そういえばフィディスさんも特訓を?」
「えぇ。私の場合は怪獣の能力又は魔法で元の人間に戻る方法を教授しているだけですけどね。」
「一番まともな特訓だ。」
「「なんだと!?」」
ルギリナとルージュが郷田を睨んでいると日比野に連絡が入った。
「はい。日比野です。」
「リーダー、ちょっとタイタンホークに集合してくれ。」
「分かりました。」
タイタンホークオペレーションルーム
「どうしたんですか?」
飛鳥崎以外のメンバーが集合すると日比野は新庄に質問した。
「実はシャーネイドという街から招待状が届いてな。」
「招待状?」
「あぁ、今一番人気の組織WISHに会いたいだってさ。」
「すげぇ!」
新庄が見せた招待状にみんな興奮していた。
「ねぇ、いつ!?」
「明日だとよ。まぁ、シャーネイドはパネットから少し北東に向かったところにある街だから移動はそんなにかからないだろうな。」
「じゃあ今すぐ行きましょう!」
「悪いが俺は行けねぇ。」
エメラナがはしゃいで言うと新庄が断った。
「え?なんでですか?」
「実は君達がパネットに向かっている時にこっちでいろいろあってな。」
「それ、聞きましたよ。確かメカギルザとかいうメカが暴走してメレバスに甚大な被害が出たと。」
「いや、幸い被害にあったのはメレバスアリーナだけなんだがそのメカギルザの回収やメレバスアリーナの修復の手伝いを頼まれたんでね。」
「それに俺も同行するから無理だ。」
「わ、分かりました。」
日比野が承諾すると今度は風間が挙手した。
「私から言わせてもらうと飛鳥崎君も行くことはできないわ。」
「え、そうなんですか?」
「えぇ。彼はしばらく安静にしないといけないの。」
「分かりました。」
「じゃあ僕もここで待ちます。」
風間の発言に日比野が再び承諾すると皇凰院がおそるおそる発言した。
「いや、行ってこいよ。」
すると、上半身裸で包帯を巻いている飛鳥崎が入ってきた。
「大丈夫かよ!?」
「これぐらい問題ねぇよ。ったく大袈裟なんだよ。」
「怪我は大袈裟ぐらいが丁度いいの。とにかくあなたは自室で安静にすること。いい?」
「ったく、わかったよ。」
「そういうわけだから私もパス。みんなで楽しんできて。」
風間は飛鳥崎を連れて退出した。すると、ルギリナとルージュがそれぞれウルトラレックスとキュアリアスを引っ張って退出しようとした。
「わしらもパスじゃ。二人の特訓があるのでのぉ。」
「やだ!行きたい!」
「少し休ませてよ!」
「十分休んだだろ。行くぞ!」
「鬼ー!人でなしー!悪魔ー!」
「悪魔の王だが。」
騒ぐ二人を連れて退出するルギリナとルージュを見て不憫に思う日比野達だった。
こうして
留守番組
ウルトラレックス、キュアリアス、ルギリナ、ルージュ、飛鳥崎、新庄、風間、ベルッド
参加組
日比野、佐古水、郷田、堀垣、橘、山瀬、朝比奈、エメラナ、空咲、礼崎、天谷、姫樹、小石川、南、舞沢、中島先生、ラフィ、アリス、エルシアナ、皇凰院
この組分けで行くことになった。また、シャーネイドには大きい滑走路がないためパネットの時と同じように小型飛行挺で向かうことにした。
「では、シュッパーツ!」
「了解!」
日比野達を乗せた小型飛行挺はシャーネイドに向けて飛び立っていくのだった。
???
「貴様はヘマをしないだろうな?」
「もちろんです。私はキングプレスと違って用意周到に事を進めております。」
「ならばわかっているな?」
「はい。」
「ならば行け、ダークサイズ。」
黒い霧状態のインペリガーレが部下の左腕が鋭い刃物になっている黒い怪人に指示していた。怪人は返事をするとそのまま消えて行った。