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憧れの忍者

南は今、息を殺して天井に張り付いている。何故なら、彼女の視線の先に怪獣キングプレスがいるからだ。キングプレスは何かに気が付いたのか辺りをキョロキョロ見回している。

(ふふん。このステルスモードの流衣にゃんを見つけることなんてできないにゃ。)

南が辺りを探っているキングプレスを観察しているとキングプレスは通りかかった一人のメイドに目をつけた。

「おい。」

「は、はい!」

キングプレスはその女性に声をかけると右腕をカチカチ鳴らしながら近づいた。

「あ、あの・・・私、何かしました?」

「いや、何も。でも何かイライラするからお前を処刑する。」

「そ、そんな・・・」

(え、嘘。)

南はキングプレスの行動に驚きを隠せなかった。キングプレスは笑いながらメイドに近付く。メイドは腰が抜け涙を流しながら謝罪していた。

(嘘だよね?簡単に人を殺すの!?)

南は焦った。キングプレスの右腕がメイドを挟もうとした瞬間、南が彼女を助けキングプレスの前に出た。

「いきなり処刑とか、頭どうかしてんだにゃいかにゃ~。」

「くっくっく。やはり侵入していたか、WISHのネズミが。」

「何?知ってたの?」

「気配だけ感じた。しかし、見えない。だったらこうすれば必ず来るだろうと予測したまで。」

「は?それだけのためにこの子を殺そうとしたわけ?」

「そうだが?」

キングプレスは右腕をガシャガシャ音をたてながら向かってきた。南はメイドを自分の後ろにまわすと手裏剣をキングプレス向かって投げた。キングプレスは手裏剣を弾くと手裏剣が爆発し煙幕が張られた。

「小賢しい!」

キングプレスが風魔法で晴らすともう南もメイドも消えていた。


南はある部屋にメイドを匿うと怯える彼女に優しく声をかけた。

「大丈夫にゃ。絶対助けるにゃ!」

「あ、あの、ありがとうございます。」

「いいって、いいって!」

南はメイドの頭を撫でると小型通信機で外にいる飛鳥崎達と連絡した。

「あっす~、聞こえる?」

「・・・変な呼び方するんじゃねぇ。」

「聞こえてるね~。」

「それで怪獣か?」

「そう。かなりいかれた奴にゃ。発信器を頼りにこっち来てにゃ。」

南は通信機をきるとすぐに部屋を出た。すると、メイドが南の手を掴んだ。

「・・・」

「大丈夫にゃ。あいつは流衣にゃん達が倒すにゃ。」

「・・・き、気をつけてください。」

メイドが手を離すと南はニコッと笑って去って行った。南がキングプレスに気をつけながら進んでいると腰を抜かして怯えている執事の男が目に入った。そして、彼の目の前にはキングプレスがいた。

「さっさと出てこねぇからまた憐れな人間が処刑されることになる。」

キングプレスをよく見ると金色の体には所々返り血が付着していた。

(まさか、あの間に何人も殺したのかにゃ!?)

キングプレスが執事に近付いた瞬間、南はエナジーチェーンでキングプレスの右腕を拘束した。

「やっと来たか。」

「そんなに殺して楽しいかにゃ?」

「もちろん楽しいに決まっているだろう。俺の思い通りにならない奴は全て処刑だ。処刑ほど愉悦に浸れるものはない!」

キングプレスは高笑いしながら話し始めた。それを聞いた南は黙ったままエナジーチェーンを握る手に力をこめた。

「・・・やったにゃ。」

「あん?」

「流衣は昔からアニメなどの悪い奴から人々を助ける正義の忍者に憧れてたにゃ。それがこんなところで叶うなんて・・・覚悟するにゃど悪党。正義の忍者がお前を処刑する。」

南はおもいっきりエナジーチェーンを引いてキングプレスのバランスを崩すと小刀でキングプレスの首を刺そうとした。しかし、体表が硬く刺さらなかった。

「どうした?処刑するんじゃなかったのかぁ!?」

キングプレスはエナジーチェーンを振り払い口から山吹色の光線を放った。南は光線を避け手裏剣を投げた。

「早く逃げるにゃ!」

「は、はい!」

南は執事に叫ぶと執事は慌てて逃げて行った。キングプレスは執事に目もくれず、南に向かって右腕で攻撃を繰り返した。

「どうした、どうした!?そんなんで俺に勝つつもりだったのかよぉ!」

「お前こそ流衣にゃんを処刑できてないにゃ。」

「さっき決めた。お前は生け捕りにして仲間の前で処刑する。」

キングプレスは素早く動く南を見極めると彼女の後ろで風を発生させた。

「にゃ!?」

いきなりの風に押し出された南は向かってくるキングプレスのパンチに反応できずもろにくらってしまった。壁に叩きつけられ倒れる南。彼女に近付くキングプレスは右腕をカチカチ鳴らしていた。

「さてと、まずはお前の公開処刑をしよう。助けに来た仲間をお前を人質にして生け捕りにした後に全員まとめて公開処刑。よし、これで行こう。」

キングプレスは勝利を確信したようで笑いながら南を捕まえようとした瞬間、キングプレスの左から来た飛鳥崎が水魔法で作った拳でキングプレスをおもいっきり殴り飛ばした。

「おい。生きてるか?」

「・・・生きてるにゃ。あいつ、流衣にゃんを生け捕りにして人質にするつもりみたいにゃ。」

「さっき独り言でそう言ってたな。漫画とかに出てくる下手な三下だな。」

キングプレスを睨んでいる飛鳥崎の後ろに山瀬が合流すると南を立ち上がらせた。

「無事か?」

「ありがとにゃ。」

南は飛鳥崎と山瀬の間に立つと起き上がったキングプレスに対して再び臨戦態勢をとった。

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