悪魔の樹
グレンバーンの案内で謎の大樹に向かっているウルトラレックス達。
「とりあえず、念のためにタイタンホークの発進準備はしていてください。」
「OK。わかったぜ。」
日比野は新庄に連絡すると舞沢と中島先生をタイタンホークに戻らせた。そのまま、謎の大樹の近くまで行くとそこには町があった。しかし、町には人影はなく建物には植物の蔦などが絡まっていた。
「なんだ、これ?」
「町全体が植物だらけじゃねぇか。」
「明らかにおかしいのぉ。」
「えぇ、あの大樹がいきなり現れたせいで私達も迂闊に近づけないのです。」
日比野達が周りを見ながら進んでいると前に誰かいた。しかし、近づいてみるとその体には生気がなく目や首などから花が咲いていた。
「なんだあいつ!?」
「元々はこの町の住人です。しかし、あの大樹に操られています。そのせいで調査が出来ないのです。」
「そういうのはさきに言ってくれ!」
日比野達はゆっくりとだが襲ってくる植物まみれの魔族達を倒しながら進んだ。
「どうすればいいんだ!?」
「とにかく燃やせばいいんじゃない!?」
「悔しいですがその方法が一番手っ取り早いです。」
メシュラが苦虫を噛んだような顔をしながら炎魔法で焼いているといきなり植物の蔦が襲ってきた。蔦はメシュラの腕に巻き付くと血を吸い始めた。
「なんだこの植物は!?」
メシュラはとっさに蔦を焼き払ったが巻き付かれた腕は血だらけになっていた。
その蔦はウルトラレックス達にも襲いかかってきた。
「ヤバい!」
「とにかく炎魔法で攻撃しろ!」
炎魔法が使える佐古水や郷田達が蔦を焼いていると地面から大量の蔦が襲ってきた。しかし、ウルトラレックスの体を傷付けることが出来なかったため、ウルトラレックスがレクシウムシュートで蔦を焼き払った。
「さすが、レックス。」
「サンキュー、勇輝。」
ウルトラレックスの活躍にお礼を言っている郷田達をキュアリアスはじっと見ていた。
(私もみんなのために頑張らないと。)
キュアリアスがそのまま動かずにいると後ろから蔦が襲ってきた。
「!」
「危ない!」
キュアリアスがとっさにバリアを張ろうとするとグレンバーンが炎の剣で蔦を切った。
「あ、ありがとうございます。」
「悩みか?今は考えるな。」
グレンバーンは炎で翼を作ると空を飛んで見える範囲の蔦や植物状態の魔族達に向かって炎魔法を放って焼き尽くした。
「許せ、後で墓を作ってやる。」
グレンバーンが周りにいた蔦などを焼き払った後、地面に降りると燃えていた炎は全て消えていった。
「凄い。」
「あれが魔王の力。」
日比野達が感心していると大樹の前にいきなり大量の蔦が現れた。その蔦はさっきまでと格段に太さや長さが違っていた。その蔦が絡み合うと中心から見たこともない巨大な花の蕾が現れ赤と黄色のあざやかな花が咲いた。そして、一本の蔦に黄色い目みたいなものがいくつも現れ、側面からは蔦が鞭みたいになった。
「あれは・・・」
「あいつがこの事件の黒幕の怪獣か。」
「人を操り、町を滅ぼすなんて魔族より悪魔みたいな奴ですね。」
ウルトラレックス達が臨戦態勢をとると彼らの前に一人の青年が歩いてきた。