ドラゴンフライ
日比野達の前に現れたクイーンステラの姿はさっきまでのものとは違い明らかに戦闘に特化した姿になっていた。その姿はまるでドラゴンと蜻蛉が合体したような異様な姿だった。
「なんだ、あの姿。」
「どうやら向こうも本気を出してきたみたいだな。」
新庄がクイーンステラから距離を取ろうとした瞬間、クイーンステラは6枚の翅を震わせながらこちらを向かってきたと思ったら一瞬で消えた。
「消えた!?」
日比野が驚いているとクイーンステラはタイタンホークの頭上をマッハで通過していた。その時、タイタンホークは大きく揺れ、窓は割れ、様々な電気系統が麻痺してしまった。
「なんだ、何が起こった!?」
「衝撃波だ!あいつ、飛びながら衝撃波を出している!」
タイタンホークはあらゆる箇所から煙を出したまま不時着してしまった。
「大丈夫か!?」
「俺達は大丈夫だけど他は!?」
「こっちも大丈夫だ。なんとか生きてる。」
日比野がみんなの無事を確認しているとモニターからベルッドが返事をした。
「だが、今の攻撃で魔力回路が断裂した。これじゃあマジックバーニアが起動しねぇ。」
「それって飛べないってことだよな?まずくねぇか!?」
クイーンステラはものすごいスピードで戦闘機を振り払いながらタイタンホークに向かって衝撃波を放とうとした。その時、ルージュがクイーンステラにルージュブラスターを放った。しかし、クイーンステラはそれを難なく避けるとルージュに向かってメテオを放った。
「いきなり攻撃的になったのぉ。」
ルージュはメテオを避け炎魔法で攻撃して牽制している。そこにコスモスが駆け付けてきた。また、戦闘機もクイーンステラを攻撃してタイタンホークから遠ざけた。
「一緒に戦いましょう!」
「・・・ワシにもプライドがある!ここはワシ一人で倒す!」
「駄目です!今はみんなで戦う時です!あなた一人のために戦っているわけではないんですよ!」
中島先生は一人で行こうとしているルージュを叱った。
「・・・わかった。」
「ありがとう。私も言い過ぎたわね。」
中島先生とルージュはそのまま戦闘機と戦っているクイーンステラに向かっていった。
その間に飛行船がタイタンホークの隣に着陸し、皇凰院達が駆け付けてきた。
「大丈夫ですか!?」
「俺達は大丈夫だ。だけど電気系統がやられてタイタンホークは飛べなくなった。」
日比野が説明した。幸い、日比野達は怪我はしているが命に別状はなかった。皇凰院も加わって手当てをしていると新庄がオペレーションルームから出ようとしていた。
「待って!あなたはまだ安静にしていないといけないのよ!」
エルシアナが新庄を止めようとする。新庄は不時着の時、おもいっきり頭を打って大怪我していたのだ。
「彼女の言う通りよ、ジョージ。私からも安静にすることをオススメするわ。」
「美桜奈・・・」
風間にも止められた新庄は仕方なく自分の部屋に戻った。
一方、クイーンステラと交戦しているルージュ達は苦戦していた。クイーンステラの縦横無尽に飛びながら衝撃波を放つ攻撃に翻弄されていたのだ。すると、そこにジオフェニックスが現れクイーンステラの背中を翼のブレードで攻撃した。
「あれって舞沢さんのジオフェニックスよね。確かオペレーションルームは今、機能停止しているはずだけど。」
中島先生がタイタンホークを見ているとタイタンホークの上に舞沢が立っていた。彼女は右手と頭に機械を装着していた。
「あれは━━━」
そう。その装置は以前シグマがハンターエックスを遠隔操縦していた物と同じだった。
「こういう時のために用意して正解だったわ。」
舞沢はジオフェニックスを操縦してクイーンステラと空中戦を繰り広げた。コスモスもプロミネンスライフルでクイーンステラを攻撃している。
すると、クイーンステラは口から破壊光線を放ってきた。ジオフェニックスは3つに分離して避けた。コスモスもルナティックシールドで防いだ。
そこにルージュが体を燃やしながらクイーンステラの死角から体当たりした。
「《ドラゴニックバーン》!」
クイーンステラはそのまま地面に激突したがすぐに空に飛び立った。ルージュ達も後を着いていった。
「このままじゃとジリ貧じゃ!一刻も早く仕留めるぞ、みんなで!」
「えぇ、わかったわ!」
ルージュ達はクイーンステラと正面から向き合った。すると、クイーンステラは翅を震わせて衝撃波を放った。ルージュ達は衝撃波を防ぐと今度はマッハで突撃してきた。100mを越える巨体が物凄いスピードで体当たりしてきたためルージュ達は避け切れずにぶっ飛んでしまった。
「!」
地面に墜落したルージュ達はよろめきつつも立ち上がってクイーンステラを睨んだ。
「まるで蜻蛉ね。」
「見た目も蜻蛉みたいだしね。」
地面に落ちても尚、ルージュ達は立ち上がりクイーンステラに向かって飛び出した。




