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紅のドラゴン

ルージュ山脈に向かう途中

「・・・」

「・・・」

皇凰院は飛鳥崎をジーっと見ていた。飛鳥崎は皇凰院の視線に気づいていたが真っ直ぐな目で見ている皇凰院に戸惑っていた。

「なんで俺を見てんだ?」

「あ、ごめんなさい!飛鳥崎さんが僕の恋人にそっくりだったのでついっ。」

「あー、亡くなったって言ってた奴か?」

「はい。」

二人を見ているウルトラレックス達は複雑な心境だった。何故なら二人とも男だったからだ。

「ねぇ、もしかして皇凰院さんの恋人って?」

「別に言わなくていいわ。」

「なぁ、これって教えた方がいいのか?」

橘が飛鳥崎のところに行こうとすると郷田と姫樹が止めた。

「ここは見守ってやろうぜ。」

「そうそう。」

「なんだ、お前ら?」

橘が二人を見ていると二人とも、飛鳥崎を見て笑っていた。

「皇凰院が男とわかった飛鳥崎の反応が見たい。」

「今まで女と蔑んできた報いを受けさせてやる。」

「うわぁ。」

ニヤニヤと笑っている二人をウルトラレックス達はただ呆れて見ていた。


しばらくしてルージュ山脈が見えてきた。そこは岩肌が剥き出しの状態の山が連なっていた。

「本当にこの辺りにドラゴンがいるのか?」

「わからないが目撃情報はある。調べてみる価値はあるだろう。」

日比野達が山脈の中を探していると大きな洞窟を見つけた。

「いかにもな場所だな。」

「しかし、あれじゃあタイタンホークは入らないな。」

「とりあえず入ってみるぞ。」

タイタンホークから日比野、佐古水、郷田、橘、山瀬、飛鳥崎、アリス、皇凰院が小型船に乗って、ウルトラレックス、キュアリアス、姫樹、小石川が飛んで洞窟に向かった。


洞窟に入ると真っ暗だった。日比野が光魔法で照らして進んだが変わったところがない普通の洞窟だった。

しばらく歩いていると大きな空間に出た。そこは天井が少し崩れ光が射し込んでいた。そして、その中央には真っ赤な体躯のドラゴンがいた。

「本当にいた。」

「初めて見たな。」

ドラゴンは眠っている。日比野達は音をたてないように近づいた。その時、ドラゴンが目を覚ました。

「何奴、またワシの眠りを妨げにきたか?」

ドラゴンはゆっくりと起き上がり全貌を見せた。真っ赤な全身に頭をは2本の角を持っていた。ドラゴンは巨大な翼を羽ばたかせ日比野達に向かって炎を吐いた。

「!」

ウルトラレックスはすぐにバリアを張って防いだ。ドラゴンはそれを見ると長い尻尾でウルトラレックスを吹っ飛ばした。

「レックス!」

「やべぇ!ドラゴン嘗めてた!」

「今度は人間と一緒か。それでも構わんぞ!」

ドラゴンの発言に佐古水は疑問に思っていた。

(今度は?それにさっきもまたって言ってたな。ということは俺達より先に誰かがここにきたんだ。しかも、つい最近まで。)

ドラゴンは執拗にウルトラレックスとキュアリアスを狙って攻撃している。

「なんで僕達ばっかり狙われているの!?」

「私が分かるわけないでしょ!」

ウルトラレックス達がドラゴンの攻撃を避けていると皇凰院がドラゴンに向かって炎魔法を放った。しかし、ドラゴンには効いていなかった。

すると、ドラゴンは皇凰院に炎を吐いてきた。

「!」

「危ねぇ!」

皇凰院が目を瞑ってしまった時、飛鳥崎が飛び込んで間一髪のところで皇凰院を助けた。

「おい、大丈夫か?」

「は、はい。」

「おー、なかなかいい恋人同士になってんじゃん。」

「両方男だがな。」

「黙ってろ。」

飛鳥崎を茶化す郷田と姫樹を橘が頭を叩いて注意した。ドラゴンの攻撃はまだ続いている。

「なぁ、何故街を破壊したんだ!?」

「はぁ!?」

日比野の問いかけにドラゴンは何のことか分かっていなかった。

「ワシはルージュ山脈から出てないし街にも行っていないぞ。」

「どういうことだ?」

山瀬が皇凰院に聞いた。皇凰院は首を横に振って答えた。

「分かりません。僕も来た時に街の人達から聞いただけなので。」

「何じゃ、そんなあやふやな理由でワシに2回も喧嘩売ったのか?」

「え?」

ドラゴンの発言にウルトラレックス達は目を丸くした。

「僕達はここに来るの初めてですよ。」

「やっぱり俺達より先にここに来た奴がいた。そして、そいつはお前を攻撃したと。」

「あぁ、そうじゃ。まぁ、返り討ちしてやったがの。」

ドラゴンから事情を聞いた日比野達は考えていた。

「もしかして、先に襲ってきたのって怪獣じゃないか?」

「そうじゃ。」

「だから僕達が狙われたんだ。」

「その怪獣ってどんな怪獣だ?」

「どんなってお主じゃぞ。」

そう言ってドラゴンはウルトラレックスを指差した。

「えぇ!僕はここに来るの初めてですよ!」

「じゃがあれは紛れもなくお主じゃ。色は少し違っておったがの。」

「それってレックスの偽者じゃないか?」

すると橘が核心を付く発言をした。

「なるほどですわ!ということは街を襲ったのも偽者ですわね。」

橘の発言に続いて小石川も発言した。その発言で日比野達やドラゴンは納得していた。そして、ドラゴンは怒り始めた。

「ワシに喧嘩売っただけではなくワシの姿で傍若無人な振る舞い。許さん!」

「でもなんで喧嘩売ったんだ?」

「確かに。このドラゴンの仕業にしたいなら喧嘩売る必要はない。」

飛鳥崎や佐古水が考えているといきなりドラゴンの体が光だし、みるみるうちに姿が変わった。その姿はまるで10歳ぐらいの幼い少女だった。紅い髪と瞳をしていて真っ赤なワンピースを魔法で作って纏っていた。少女は髪をツインテールにするとウルトラレックス達の前に立った。

「何よ?そんなに変身魔法が不思議?」

ドラゴンが少女になった瞬間を見たウルトラレックス達は驚愕して言葉を失った。

「そういえばまだ名前を言ってなかったわね。ルージュ・ド・ラグーンじゃ!」

「・・・」

「どうした?」

「なんか、少女と老婆の話し方が混ざってへんなしゃべり方になってる。」

「何じゃとー!」

ルージュは郷田の頭に噛みついた。こうして、ルージュをタイタンホークに乗せ、日比野達はグリシアに帰還した。

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