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漢らしくなりたい姫樹ちゃん

ゴールディアを出てからの数日間

「姫樹ちゃん!一緒にアイドルやりましょう!」

「姫樹、もっと清楚な服の方がいいと思うよ。」

「姫樹ー、一緒にお風呂入らない?」

「姫樹ってやっぱり髪は長い方がいいですよ!」

「姫樹ってやっぱり女の子よね?」

「ふざけるなぁ!」

姫樹は佐古水の部屋で怒っていた。佐古水は紅茶を飲みながら姫樹を見ていた。

「俺は男だ!両親が俺を女の子として育てたせいでこの年になっても声変わりしてねぇんだぞ!」

「それを何故、俺の部屋で言う?」

「だって俺の中じゃ一番佐古水さんが男、いや漢らしいからだ!」

姫樹は佐古水を指差した。佐古水は紅茶をそっと姫樹に出した。

「とりあえず落ち着け。」

「どうすれば佐古水さんみたいに漢らしくなれますか?」

姫樹は紅茶を飲みながら佐古水に質問した。

「そう言われてもなぁ。俺は俺が正しいと思うことをやってきただけだからだな。」

佐古水は紅茶を飲んでいると姫樹にある案を出した。

「なぁ、だったら他の人達からも学んでみたらどうだ?」

「なるほど!」

「それで姫樹は他の人だと誰が漢らしいと思う?」

「ん~、やっぱりここに来てからは夢宮だよなぁ。」

姫樹はそう言いながら思い出していた。


初めて異世界にきた時、夢宮は怪獣になっていた。初めて怪獣になった彼を見ると思い出す。怪獣になったとたんに暴れ、殺されてしまった島新志のことを。


「あの時、もし島が自我を失わずにいてくれたら━━」

姫樹はコップを握り締めていた。

「一度過ぎてしまったことだ。悔やんでも仕方ない。でも割り切らないでいいんじゃないか?島のことも覚えていても罰は当たらねぇだろ。」

「そうだな。お前はいつも後悔しない生き方してるもんな。あの時だって夢宮を庇ってたからなぁ。」

姫樹は再び過去を思い出していた。


夢宮が初めて怪獣を倒した時、日比野が夢宮に剣を向けていた。そこに佐古水が夢宮を庇って日比野の前に立った。


「結局、あいつを助けることは出来なかったがな。」

「仕方ないよ。あの時はほとんどの人が夢宮が犯人と決めつけていたからな。」

「確かその後だったな。郷田が夢宮の無実を証明するために俺達を呼んだのは。」

「俺も小石川から聞いたよ。みんなで捜査してたってな。そういうところで郷田はカッコよくなるよなぁ。」

「スパンダーが襲撃してきたのはその時だったな。」


佐古水達がスパンダー達怪獣軍団と戦闘を繰り広げている途中、溝霧がアルギラという怪獣になってオペレーションルームを制圧していた。

そして、オペレーションルームにいた日比野達以外はスパンダーに捕まってしまった。


「あの時の溝霧にはやられたわ。まさか、俺達のクラスメートに変身できる怪獣がいたなんてなぁ。」

「その後だったな。夢宮がカッコよくなったのは。」

「そうそう!空咲から聞いたけどあんだけひどい仕打ちをした俺達を簡単に許してくれたんだよなぁ。あの心の広さにはかなわないな。」

「その後のスパンダーの問に対しての答えもカッコ良かったじゃねぇか。」


「・・・確かにどれだけ考えても利益はないかもしれません。でも、みんなが困っている。みんなを守りたい。みんなを助けたい。僕がここに立っている理由はそれだけで十分です。」


「あれ、まじでカッコ良かった~!けどなんか違う。」

「?」

「確かに夢宮はカッコ良かった。けどそれは俺の成りたい漢らしさとはなんか違う。」

「じゃあ、次は誰を参考にする?」

「そうだなぁ、やっぱりここは委員長か。」

また姫樹は思い出していた。


WISHを結成してから初めて訪れた綾宮市で起こった暴走事件。その時、日比野はタイタンホークの艦長として振る舞っていた。


「その時に新庄さんが操縦士としてWISHに加入してくれたのは嬉しかったな。」

「あぁ、新庄さんもカッコいい大人の男って感じだった!」

「ちなみに、新庄は今ヒュプシュタオゼントフースを可愛がっているみたいだぞ。」

「そこだけはわからない。」

姫樹は遠い目をして紅茶を飲んだ。紅茶を飲み終わると再び思い出話を始めた。


初めてタイタンホークで戦闘が始まった時、クイーンステラをあと一歩のところで現れた怪獣ジャギュラに邪魔されクイーンステラを逃がしてしまった。そして、WISHは初めて怪獣ジャギュラに大敗した。


「あいつは強かった。しかもナンバーズとかネーミングセンスのねぇ部隊が現れるしよぉ。」

「ネーミングセンスは関係なくない?」

紅茶を入れ直した佐古水は再び姫樹の話を聞いた。


ジャギュラに敗けた後、謎の失踪事件が多発するワンダーマリンに向かった。そこで、キュアリアス達が誘拐される事件が発生、そしてウルトラレックスが急に暴れ始めた。


「あれは驚いたな。いつの間にか橘と小石川がいなくなるんだもの。」

「まさか、空間を割るなんて方法で誘拐するとは思わなかった。」

「でもあの時の日比野は男らしかった。」


「俺はもう決めているんだ。何があっても最後まで夢宮を信じると。それがあの時信じなかった俺のせめてもの贖罪だ。」


「あの言葉はカッコ良かったよ。」

「その後の二人の戦いもカッコ良かったって小石川が言ってたな。」


イリュテラスを倒したWISHは壊れたコスモスの修理と舞沢の新しいストレイザーを買うために姫樹達はエリアルシティへ、索敵のできるオペレーターをスカウトしにウルトラレックス達はミリカトの森へ向かった。


「まさか、向こうでも怪獣の襲撃があったなんてな。」

「あぁ、しかも相手を石に変える能力持ちとは厄介な怪獣だ。」

「あの時のことを郷田から聞いたけど山瀬もレックスも石にされたからかなりヤバい状況だな。」

姫樹と佐古水が話していると部屋にウルトラレックスがあわてて入ってきた。

「なんだ!?」

「ごめん、佐古水さん!ちょっとの間かくまらせてください!」

「別にいいが。」

「ありがとう!」

ウルトラレックスはお礼を言うとすぐにクローゼットに隠れた。すると、部屋にキュアリアスが入ってきた。

「ねぇ、レックス見なかった?」

「いや。」

「そう、ありがとう。」

そのままキュアリアスが部屋を出た後、クローゼットから出てきたウルトラレックスに佐古水が紅茶を出して聞いた。

「何があった?」

「キッチンにあったプリンをキュアリアスさんの物と知らずに食べちゃった。」

「ちゃんと謝ってこい。」

「今いったら新技のトルネードギロチンって技の餌食になる。」

「なんだ、その怖い技!」

「お前もちゃんと年相応の男の子で安心した。」

ウルトラレックスは震えながら部屋の端で体育座りをしている。

「あ、そうだ。なぁ、レックス。良かったらミリカトの森の話を聞かせて。」

「う、うんいいよ。」

姫樹に言われてウルトラレックスは椅子に座って紅茶を飲みながらゴルゴドゥーザとの戦いを話し始めた。


ミリカトの森に侵攻してきたゴルゴドゥーザは土魔法を巧みに使ってゴーレムを出したり地面に潜ったりしていた。そして、キュアリアスを守るためにゴルゴドゥーザの石化光線を受けてしまって石になった。


「それから暗いところにいて頭の中に戦っているみんなが浮かんできたんだ。そしたら体が熱くなって目の前に現れた光を無我夢中で掴んだらいつの間にか石化が解けてたんだ。」

「へぇ。初めて聞いた。」

「奇跡なのか怪獣の能力なのかはわからんな。」

「そうだね。」


そして、石化が解けたウルトラレックスは再びゴルゴドゥーザに戦いを挑んだ。そして、郷田や橘、堀垣やベルッド達と力を合わせてゴルゴドゥーザを倒したのだった。


「そこだけ郷田が男らしく見えるなぁ。」

「うん、快翔もカッコ良かったしみんなの頑張りがあるから僕は勝てたと思うよ。」

「レックスって謙虚だよな?」

「そうかなぁ?」

「まぁ、その間も俺達は大変だったよ。」

姫樹はそう言ってエリアルシティでの一件を話し始めた。


エリアルシティに着いてGパワードスーツの修理をしている途中にギガヒュドラが襲撃してきた。その時、その場にいたエドワード王子やシグマ市長も戦闘に参加していた。


「確かにエドワード王子もシグマ市長もカッコ良かった!」

「あぁ、率先してみんなを守ろうとしていた。あの人達がトップの国は安泰だろう。」

「でも負けた。」

「あぁ、あれは純粋にあの怪獣が強かった。」


ギガヒュドラの猛攻に劣勢となった日比野達はレイティだけ残してエリアルシティを脱出した。


「無事かなぁ、レイティさん。」

「無事だと祈るしか今は出来ない。」

「エリアルシティが壊滅したと聞いた時は僕も驚いて言葉が出なかったよ。」


エリアルシティからの脱出後、日比野達はミリカトの森でウルトラレックス達と合流して再度、戦うための準備を進めていた。

そして、ギガヒュドラが再び襲撃にきた。


「あれは総力戦だったぜ。」

「でも俺は活躍どころか役にすら立ってなかった。」

「仕方ないよ。あの時佐古水さんは魔力を使い過ぎて倒れていたんだから。」

そう言うと姫樹は再び話を始めた。


ギガヒュドラの攻撃から避け続けているウルトラレックス達、そこに舞沢の新しいストレイザー、ジオフェニックスが登場してギガヒュドラを圧倒していた。


「舞沢が新しく手に入れたストレイザーも凄かったなぁ。」

「うん。」

「あれは普通は三人で扱うストレイザーらしい。それを一人で使いこなすものだから舞沢も天才と呼ばれる理由が分かるかもな。」


ギガヒュドラがヘル=レインでジオフェニックスを攻撃していると新庄がラプター、郷田がタイタンホークを操縦してギガヒュドラを攻撃した。そして、ウルトラレックスが下から殴ってギガヒュドラを横転させた。


「あの時のレックスの技はカッコ良かった!確かスターライトストレートだったっけ?」

「うん、そうだよ。その技は最初はゴルゴドゥーザに触れないように腕に光を纏って殴る技だったんだ。」

「へぇ。」


そして、新庄とキュアリアスがヘル=レインの魔法陣を破壊したのを皮切りにエドワード王子、姫樹、中島先生、舞沢、郷田がギガヒュドラの首を吹っ飛ばし、小石川とテンシンが真ん中の首の両目を潰した後、ウルトラレックスが体の中に入って中からギガヒュドラを攻撃して倒した。


「あれは激闘だった。みんながいないと倒せなかった。」

「こうして振り返ってみると結構波瀾万丈な日々だな。」

「確かに。」

それから姫樹達はしばらく談笑していた。そして、談笑が終わるとウルトラレックスは立ち上がって部屋を出ようとしていた。

「ありがとう。楽しかったよ!」

「いいのか、今部屋を出て。」

「うん。もうそろそろ自分の部屋に戻るよ。」

そう言ってウルトラレックスが扉を開けると

「見つけたよ、レックス。」

たいへんご立腹のキュアリアスがいた。

「・・・ごめんなさい!」

「それはシミュレーションルームで聞くから。」

「いやだー!それ絶対新技の餌食になるやつだ~!」

そのままウルトラレックスは消えて行った。

「あーあ、折角止めたのに。」

「それで漢らしくなる秘訣はわかったか?」

「いや、まだまだだな。」

「なら他の人からも考えてみるか。」

「あぁ、でも他の人って言っても郷田は変態、堀垣は全然漢らしくない、飛鳥崎に至ってはただの脳筋だしな。」

「おい姫樹、今すぐ謝った方がいいぞ。」

「は、何を?」

佐古水の注意に姫樹が不思議がっていると後ろで指を鳴らす音が聞こえた。姫樹はおそるおそる後ろを向くとそこには飛鳥崎がいた。

「おい姫樹。誰が脳筋だって?」

「あ、いや、あはははは。」

「漢らしくなりたいって。だったら俺が教えてやる。」

「え、遠慮しときます。・・・あぁ~!助けて~!」

姫樹はそのまま飛鳥崎に首を掴まれ連れて行かれた。残った佐古水は紅茶を飲んで一息ついていた。

「漢らしいって人それぞれ違うだろ。」

この日、タイタンホークでは二ヶ所で悲鳴が響いていた。

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