戦い方
飛行船が発着場に着いた後
「君達二人は少し待ってくれ。」
アリスは勇輝と友子を飛行船に残して、クラスメート達を飛行船から降ろした。
クラスメート達が降りると目の前には豚の顔をした大男が立っていた。
「きゃあ!」
「もしかして、オークかよ!」
「お、よく知ってんな。」
「やべぇ、このままだと女子が全員慰み者に。」
「待て、どういう認識されているんだ、オークって?」
「え、男は皆殺し、女は凌辱するヤバい種族。」
「どこの蛮族だ。」
「ベルット、後は任した。」
「わかった。」
そう言ってアリスは飛行船に戻った。
「あ、あの~。」
中島先生がベルットと呼ばれた男に声をかけた。
「お、忘れていた。俺はベルット・ジョーニィ。MDMのメンバーだ。先に言っておくが俺にはちゃんと妻がいるから他の女に手をだすことは絶対無い。いいな。」
「は、はい。」
ベルットに連れられクラスメート達は空飛ぶバスに乗って街の中を進んでいた。ベルットによると街の名前はマークタウン。クラークシードと言う国の首都で広大な草原の真ん中に建てられていて怪獣の侵攻を何度も防いだ鉄壁の街であるとのこと。
そして、一行は街の中央にある大きな城にたどり着いた。その城は中世ヨーロッパにありそうなキレイな城だった。一行は城の中に入った。そして、ある部屋に入ると一行は言葉を無くした。
そこはいくつもの正六面体の透明な部屋が浮かんでいた。
「あの、ここは?」
「ここはシミュレーションルーム。自分にあった戦い方を知るために架空怪獣とシミュレーションで戦いをするシステムルームだ。」
「え、戦い?」
「あぁ、悪いがこの世界に来た以上、最低限戦いが出来ないとだめだ。少なくとも、君達は自分の身は自分で守れるぐらいにはなって欲しい。もちろん、強制ではない。どうしても嫌ならやらなくていい。」
突然のことに戸惑うクラスメート達、そこに日比野がみんなの前にでて提案した。
「みんな!ここは戦い方を学んだ方がいい。さっきも言ったけど、いつ元の世界に戻れるかわからない。だったら、その時まで生き残るために強くなろう!」
「委員長の意見に賛成だ。少なくとも、自己防衛は出来ないとだめだろう。」
「俺もそれでいいぜ。」
日比野の意見に真っ先に賛成したのは佐古水と飛鳥崎だった。そこから、少しずつ賛成する者が増えた結果、全員賛成になった。
「素晴らしいな。君はかなり統率力があるみたいだな。未来が楽しみだ。」
「恐縮です、ベルットさん。」
二人が話していると天谷が手を挙げた。
「あの、もし、全然戦いがダメだったらどうすればいいんですか?」
「その場合はオペレーターがある。直接戦うことはなく前線で戦いをする仲間をサポートするんだ。但し、かなりの練習が必要だ。」
「わ、分かりました。」
こうしてクラスメート達は各々の戦い方を模索した。
その結果、
剣士
日比野 宏幸、空咲 麗奈、大多喜 敬太
魔術師
朝比奈 奈緒美、堀垣 哲平、礼崎 千春
銃士
橘 凪、郷田 快翔、昼森 光吉、溝霧 ケイ
銃剣士
佐古水 剛介
魔導拳士
飛鳥崎 太牙、山瀬 頼葉、原田 勝次郎
魔導機士
姫樹 舜、小石川 恵、南 流衣、加藤 武
魔導操士
中島 藤子、舞沢 あかり、堤 明子
オペレーター
天谷 マドカ、エメラナ・レムピリカ
となった。
「そういえば、あの二人はどうなった?」
佐古水の疑問にベルットは少し黙った後答えた。
「多分、あそこだ。」
「あそこ?」
「あぁ、案内しよう。」
ベルットが一行を案内しようとしたら扉が開き一人の男性が現れた。するとベルットは片膝をつき、敬意を表した。男性は一行を見た後、挨拶をした。
「君達が異世界転移者だね。はじめまして、私はMDMクラークシード本部総合統括議長、ラッセル・ブリューワールドだ。よろしく。」
ラッセルの握手に中島先生が代表して握手した。
「あの、勇輝君と友子さんはどこでしょうか?」
「・・・案内しよう。」
ラッセル議長は先生達を城の隣の研究所に案内した。そこに入って奥に進むと広いところに出た。
そこは、多くの怪獣がガラスの中で眠っていた。そして、一番奥のガラス部屋に勇輝と友子がいた。
用語集
魔導機士
対怪獣用機動鎧装《Gパワードスーツ》を装着して怪獣と戦いをする。
魔導操士
対大型怪獣用兵器 《ストレイザー》や戦闘機などの兵器を操縦して戦いをする。
直接乗り込んで操縦する手動タイプと外からラジコンのように操縦する遠隔操作タイプがある。