魔法適性
飛行船内
「凄い・・・」
飛行船は外見も凄かったが中も異世界とは思えないほどハイテクだった。
そんな飛行船の中を歩いて行くとある部屋にたどり着いた。そこはテレビやゲームで見た感じの研究室だった。
「ここは?」
「捕らえた怪獣の研究をしているラボだ。」
「え?まさか、私達を解剖したりする気!?」
「いや、するのは採血だけだ。」
ホッとするのつかの間、二人は顔を青くした。
「あの、僕は注射苦手なんですけど。」
「実は私も。」
「あぁ、大丈夫だ。君達の世界の注射と違ってここの注射は針がないから。」
「「え?」」
そう言ってアリスは先がテープみたいな管が付いた筒状の容器を取り出した。
「よし、腕を出せ。」
勇輝はおそるおそる右腕を出した。アリスは勇輝の腕にテープみたいなのを付けると一瞬で容器に血が溜まった。
「え?なんか凄い。」
「な、痛くないだろ。」
「はい。」
勇輝に続いて友子も腕を出して採血した。採血が終わると二人はアリスについていってクラスメートが待っている部屋に入った。
「お、やっと来たか。どうだった、勇輝?」
「どうってもう何がなんだか。」
「そりゃそうか。」
快翔が真っ先に勇輝に声をかけてきた。その後ろから宏幸がきた。
「とにかく、今は君達が自我を持っているのが幸いだ。今、ここの人達が君達を元に戻す方法を模索中だ。」
「うん、ありがとうございます。」
そのまま沈黙が続いていた。その沈黙を破ったのは快翔だった。
「そうだ、勇輝。これお前もやってみないか?」
そう言って快翔は勇輝達に水晶を見せた。
「何ですか、これ?」
「何でも俺達の魔法適性が分かる代物らしい。」
「へぇ~。」
勇輝は快翔からやり方を教えてもらって試した。
すると、水晶は白く輝き始めた。
「お、勇輝は光魔法に適性があるみたいだな。」
「光魔法?」
「それは後で教えてくれるらしい。」
次に友子が試してみると水晶は白と緑に輝いた。
「なるほど、友子ちゃんは光と風の魔法に適性があるみたいだな。」
「馴れ馴れしくちゃん付けしないで。」
快翔が言うにはこの世界には水、火、風、土、雷、闇、光の7種類の属性の魔法があり、それぞれに決まった適性があるみたいです。
ちなみに、クラスメートの魔法適性は
日比野 宏幸 光、闇
空咲 麗奈 雷
郷田 快翔 火
飛鳥崎 太牙 水
橘 凪 闇
佐古水 剛介 全部
堀垣 哲平 土
山瀬 頼葉 雷、火
エメラナ・レムピリカ 風
溝霧 ケイ 風、闇
南 流衣 水、風
天谷 マドカ 闇
朝比奈 奈緒美 風
舞沢 あかり 火、水
礼崎 千春 水
小石川 恵 土
姫樹 舜 風
昼森 光吉 火、闇
加藤 武 雷
堤 明子 水
原田 勝次郎 光
大多喜 敬太 土、風
中島 藤子 水
となった。
「あれ、佐古水さんって全部の魔法に適性があるんですか?」
「そうみたいだな。」
「だろ!勇輝もずるいと思うよな!あいつだけイケメンでモテまくって全魔法適性ってずるいよな!」
「前半はお前の悲観だろ。」
「いや、あながち間違ってはいないな。」
佐古水の後ろから昼森が嫌みそうに言ってきた。
「何だ、昼森?」
「いや、お前ってなんでもできると思っているクチだろ?本心じゃ俺達を見下しているんじゃないか?」
「ちょっと、今はそんな事言っている場合じゃないでしょ!」
「まぁまぁ、みんな落ち着いて。とにかく、ここがどこで今、どうなっているかわからない以上、現地の人達の指示に従った方が安全だ。外には怪獣と呼ばれる危険生物がいるのは確かだ。ここならしばらく安全だと思う。今はこれからどうするかを考えよう。」
日比野が険悪ムードになった雰囲気を変え、今後についての方針を話し始めた。
そして、飛行船はある街に着いた。その街は本でよく見る魔法のある異世界とは違い、頑丈そうな高い塀に囲まれその中にはビルの他に宙に浮かんでいる飛行船などが停まる発着場のある空港や軍の施設などがあり、さらにその軍の施設には二足歩行型のロボットまでいた。
その街は今の日本より遥かに文明が進んでいた。
そして、飛行船は発着場の一つに着陸した。