表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
310/314

別れの時

 怪獣無法島救出作戦が終了して数日、夢宮達はザ・レイダーにいた。久しぶりの再会に喜ぶ日比野達。中でも…

「ヒュプ〜!会いたかったぞ〜!」

 新庄がヒュプシュタオゼントフースに頬をスリスリさせている。久しぶりの再会に凄く喜んでいた。ヒュプシュタオゼントフースも嬉しいのか新庄に抱きついている。

「そういえば、あの怪獣はなんですか?」

「さぁ?確か仮死状態の卵から孵化させるのに成功した怪獣だと聞いているわ。詳しくは新庄に聞いてね。」

 アリスが聞く。風間が軽く教えてくれるが彼女も詳しいことは知らないようだ。日比野も気になって新庄に聞いてみる。

「ヒュプは綾宮市の北東にある多々羅渓谷で発見された仮死状態の卵から孵化したんだ。ほらっ、お前達と初めて会った時にクイーンステラがいた場所だ。」

「あ〜、あそこか。」

「他にもいくつか卵が発見されたが残りは全て孵化は不可能だった。」

 新庄が撫でながら話す。その時、ザ・レイダー中に警報が流れた。

『怪獣出現!至急総員出撃!総員出撃!』

「頼んだぞ夢宮!」

『はい!』

 日比野がスマホで夢宮に指示する。夢宮達はレイダー部隊と共に怪獣へ向けて出撃する。しばらく飛行すると見えてきた。

「あの怪獣か…なんか長い?」

「というよりでかくないか?」

 一緒に出撃した姫樹達も驚く。巨大な百足みたいな怪獣がこちらに迫ってきていた。山を砕き木々をなぎ倒していく姿は圧巻だった。

「でけえー。百足の怪獣か。」

 真っ直ぐこちらへ向かってくる怪獣。レイダーのストレイザーが一斉射撃する。ミサイルやビームが命中するも怪獣は怯まずこちらに向かってくる。ウルトラレックスとキュアリアスはすぐに巨大化して怪獣の前に立つ。

「止めるよ!」

「はい!」

 2人は怪獣の突進を受け止める。踏ん張って耐えるも地面が抉れていく。怪獣は唸り体を持ち上げる。2人を吹き飛ばすと巨大な腕で掴んできた。

「き、きつい…」

「このままじゃ…」

 怪獣は2人を握り潰そうとする。そこにルギリナが怪獣の頭を殴る。怪獣が叫ぶとルージュが口に火球を命中させた。怪獣は2人をルージュに向けて投げる。2人は人間大に戻ってルージュにぶつかるのを防ぐ。

「さすがにこれだけじゃ効かぬか。」

「す、すみません…」

 身体中の骨が悲鳴をあげている。あのままだったら確実に全身の骨が折られ砕かれていただろう。

 レイダーのメンバーが回復魔法をかけてくれた。なんとか痛みは引いた。2人はまた巨大化して怪獣の前に立つ。怪獣が突進してくるのを左右に避けた。

「《レクシウムブラスター》!」

「《ボルケーノギロチン》!」

 左右から怪獣を攻撃する。しかし、怪獣の硬い殻に弾かれた。怪獣の進行は止まらない。そこにタイタンホークが到着しギャラクシーメーサーキャノンを撃つ。ギャラクシーメーサーキャノンが命中する。それでも怪獣は止まらない。

「どんだけ硬いんだよあの怪獣。」

『•••聞こえるか?』

「聞こえます!」

『怪獣の情報がきた。名前はゲレド。数億年前の昆虫が怪獣になったものと思われる。』

「それがなんで今蘇ったんだ?」

 飛鳥崎が当然のことを聞く。

『まだ不明だが出現した場所が多々羅渓谷なのが気になる。』

 リーボルトからの情報で気になった単語がある。多々羅渓谷だ。ヒュプシュタオゼントフースの卵が発見された場所だ。これは偶然なのか?日比野がそう考えているとゲレドがこちらを向いた。

「なんだ…?」

「おいおい。確実にこっちを見ているぜ。」

 ゲレドは狙いをタイタンホークに定めると突進してきた。ウルトラレックスがバーンスマッシュに変身してゲレドの触角を引っ張るも止まらない。

「似ている…」

「え?」

「あのゲレドって怪獣、ヒュプちゃんに似ていません?」

 舞沢の発言に日比野達は改めてゲレドを観察する。百足みたいな姿、人の腕に似た脚、確かにどこかヒュプシュタオゼントフースに似ている。さらに、出現場所が多々羅渓谷とあって1つの仮説に辿り着いた。

「もしかして、ヒュプちゃんってゲレドの子供?」

「その可能性はある。もしそうならゲレドがこちらを狙う理由も納得がいく。」

 仮説が正しいなら…新庄は操縦をガウマに任せると自分の部屋に駆け出した。部屋にはヒュプシュタオゼントフースが待っている。新庄はヒュプシュタオゼントフースを連れて格納庫に行く。そして、格納庫の扉を開けた。

「なぁ、ヒュプ。もしかして、あいつはお前の親か?」

 新庄が聞く。初めて見るはずのゲレド。そのはずなのにヒュプシュタオゼントフースは感高い鳴き声をあげた。それに共鳴するようにゲレドも触覚をピンと伸ばして鳴き声をあげた。

 その瞬間、確信した。ヒュプシュタオゼントフースとゲレドは親子だと。それを見たウルトラレックスもレクシウムフルブラスターを放つのを止め見守る。

「行ってこい。お前の家族なんだろ。」

 こちらを向いたヒュプシュタオゼントフースに新庄が優しく語りかける。その目は涙を流すのを我慢していた。それを見たヒュプシュタオゼントフースは新庄の額にキスするかのように頭を着けるとゲレドの触覚に乗った。ゲレドは暴れるのを止めると多々羅渓谷へと戻って行った。

「新庄さん…」

「あいつも俺達より親と一緒の方が幸せに決まっている。」

 新庄は強がるも声が震えている。戻った夢宮達も新庄の顔を見ないように通り過ぎる。帰って行くゲレドをずーっと見る。すると、ゲレドが手を振ってバイバイしているような動作をした。それを見て新庄も手を振って返す。

「遊びに行く!その時まで待っていてくれ!」

 新庄は叫ぶ。ゲレドとヒュプシュタオゼントフースが見えなくなるまでずーっと見る。姿が見えなくなると新庄はいつもの顔を見せオペレーションルームへと戻っていった。

今回倒した怪獣


怪獣名 ゲレド

別名 古代地底怪虫

全長 500m

体重 不明

特徴

永い間地底で眠っていた百足型怪獣。人の腕のような脚が無数にあり大型トラックぐらいなら簡単に握り潰せる。また、体表が硬くミサイルなどでは傷1つ着かない。

 空気の流れに敏感で巨体ながらも素早い動きが出来る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ