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偉大なる魔導師の誕生

 マギウスの身体が変化する。みるみるうちにボコボコと音を立てて大きくなっていく。そして、カプセルが割れ爆発する。2人は吹き飛ばされ倒れる。起き上がるとそこにはマギウスの姿はなく真っ白い軟体の異形のモンスターがいた。体中に目や口がありゴポゴポ音を鳴らしながらガスを噴射する。

「なんだこの醜い化け物は。」

「失敗でしょうか。」

 2人が驚愕しているとモンスターはマギウスの杖に触手を伸ばして取ると自分の身体の中に入れた。

「もしかして、マギウスの記憶がある。」

「知能もあるみたいだ。…よし。」

 2人はニヤリと嗤うとモンスターを連れた。


「マギウスが大怪我するなんて。」

 マギウスのことを聞いたメリア達が街に来た。そこにはドーバがモンスターを連れて出陣しようとしていた。そのモンスターがマギウスにプレゼントした杖を持っているのを見たメリア達は絶句した。

「なんで…」

 あのモンスターがマギウスだと知らないメリア達は困惑している。そんなこと気にせずドーバ達はシゲリア平原へ向かう。

 しばらく進行しシゲリア平原に到着すると既に大軍が攻めてきていた。ドーバはモンスターを前に出す。初めて見るモンスターに敵軍は動揺している。

「よし。殺れ。」

 ドーバが命令する。モンスターは杖を振りかざし火球を連射する。敵軍は慌てふためくもすぐに反撃した。互いの攻撃がぶつかり合う。敵軍をある程度減らしたモンスター。しかし徐々に数に圧されかなりのダメージを負ってしまい杖を取り込むと動かなくなってしまった。

「どうした!?さっさと殺れ!」

 動かなくなったモンスター目掛けて一斉に魔法攻撃が降り注ぐ。すると、突然モンスターが爆発した。爆風で吹き飛ぶ両軍。白煙があがり中から影が現れる。

「あれは…!」

 その影を夢宮は知っている。全身純白の鎧とベールに包まれ両腕には巨大なハサミ、背中には鮫の背鰭みたいな突起にギョロッとした目玉、そして尻尾の先にはあのプレゼントされた杖に付いている魔法石があった。

 モンスターを見た敵軍は最初はびっくりするもすぐにモンスターに向かって魔法攻撃を仕掛ける。しかし、モンスターはバリアを張って防ぐとハサミから光線を出して敵軍を薙ぎ払った。

「す、素晴らしい!」

 ドーバはその光景を見て驚愕するとともに歓喜した。モンスターがこちらを向く。兵士達は戦くがドーバはニヤリと笑った。

「お前は私の部下だ!私の命令通りに動け!」

 モンスターはドーバを見て首を傾げる。

「部下?」

 その時、モンスターが喋った。ドーバ達は驚愕する。ドーバはモンスターが喋ったのを見るとますます笑った。

(会話が出来るのか。ならば好都合。)

「お前は私の命令を聞けばいいのだ。さぁ、殺れ!」

 ドーバが指差して命令する。モンスターは指差した方向を見るとハサミから長大な剣を出した。そして、剣を真一文字に振り払った。剣は敵軍を真っ二つに斬り裂いていく。敵軍は慌てふためき逃げ惑う。そこに隕石のような火球を落として追撃した。その一撃は凄まじく先程まで敵軍がいたところにはクレーターしか残っておらず誰1人いなかった。

「凄い…凄いぞ!実験は大成功だ!」

 多くの兵士が呆然とする中、ドーバだけは喜んでいた。モンスターは敵軍がいなくなったのを確認するとこちらを向いた。

「お前はこれから私の命令に従うのだ。」

 モンスターは無言で応える。戦いが1日で終わった。こちらの被害は無く敵軍を全滅させた快挙は帝国を大いに湧かせた。ドーバはモンスターを連れて凱旋する。国民は勝利に喜ぶもモンスターは誰も見ようとはしなかった。

「よくやったドーバ。」

 ザドリノフ王がドーバを褒めて遣わす。ドーバの後ろにはモンスターが立っていてザドリノフ王を見ていた。

「実験は成功。カイン殿のおかげで我が国は最強の帝国となるだろう。」

「ザドリノフ王の言う通りです。」

 ザドリノフ王はモンスターを見てニヤニヤする。

「そうだ!お前は偉大なる魔導師の名誉を授けよう!お前はこれからグランウィザードと名乗るのだ!」

 ザドリノフ王が命名する。この瞬間、ここにグランウィザードが誕生した。

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