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プレゼント

 初めて戦闘したあの日からまた数日が経過した。マギウスは落ち着きを取り戻しつつ生活している。マギウスの力を目の当たりにした兵士達から噂が広まった結果、彼を悪く言う者や不満を言う者が減っていった。

 そんなある日、マギウスはまた戦争へ行くことになった。今回もゲリュガの後ろに着いて行き後方で待機…のはずだったが今回は何故か前線にいた。

「どういうことだ?」

 ゲリュガがリーダーらしき男に詰め寄る。

「マギウスのことは聞いたぞ。あんな有能な人間を使わないなんて宝の持ち腐れじゃないか。」

「マギウスは俺の部隊であってお前が命令出来る立場じゃないぞドーバ。」

 ゲリュガが詰め寄るがドーバはそんなこと気にせずに淡々と話を続ける。

「それに彼の力があれば戦争は早く片付く。そっちの方が平和ではないか。」

「そのために戦争を知らない少年を使うつもりか。」

 双方一歩も引く気はなかった。そこに兵士が来てドーバに報告した。どうやら敵国の大軍がこちらに向かってきているという。

「早速その力を見せてもらおう。」

 ドーバはマギウスに先頭に立つよう促す。ゲリュガが反対するもマギウスはおそるおそる先頭に立った。崖から覗く。すると、地面を埋め尽くすほどの大軍がこちらに迫って来ているのが見えた。

「さぁ、殺れ。」

 ドーバが命令する。マギウスは殺しなんてしたことない。どうすればいいか悩む。そして、手を挙げ魔力を溜める。すると、彼の真上に巨大な火の玉が出てきた。火の玉はだんだん大きくなり敵軍からも見えるレベルに達した。

「す、凄い…これさえあれば…」

 ドーバはニヤリと笑う。周りの兵士達はあまりの大きさに言葉を失っている。それは敵軍も同じだった。マギウスの火の玉を見ると慌て慄き逃げ惑う。マギウスが火の玉を撃つ前に撤退していく。それを見たドーバはニヤリと笑う。

 その夜、部屋でマギウスが1人悩み葛藤していた。初めて体験した戦争の一部。それだけで吐きそうになる。すると、ノックの音がして出るとゲリュガがいた。

「マギウス、明日付き合ってくれ。」

「は、はい。」


 そして、翌日

 ゲリュガに連れられ向かった先はなんとマギウスの故郷の村だった。マギウスを見た子供達はすぐにみんなを呼んだ。マギウスが驚いてゲリュガを見る。

「あれからこっちに来てなかったからな。休暇は必要だろ。」

「あ、ありがとうございます。」

 マギウスが頭を下げていると村長、両親、マギウスとよく一緒にいる少女が先頭に来てマギウスに近付いた。両親はマギウスを抱き泣いている。

「良かった…無事で…」

「心配したんだからな。」

「うん…」

 村長はゲリュガを見て訝しむもゲリュガがお辞儀したのでお辞儀を返す。

「私はグランバレス帝国近衛騎士団団長を務めているゲリュガ•バサラと言います。」

「村長のソバルトです。娘のメリアです。」

 マギウスと一緒にいた少女メリアがゲリュガにお辞儀する。ゲリュガもお辞儀した。さっきまで警戒していた村人達もゲリュガの対応を見て少しずつ警戒心を解き近付いてきた。

「マギウスは帝国で何を?」

「普通に暮らしてます。」

 父親の質問に答える。意外な答えに戸惑う。子供がゲリュガに聞く。

「兵士じゃないの?」

「帝国はそのつもりだが俺は違う。マギウスは心優しい少年だ。そんな彼に戦争を知ってほしくない。だから出来る限り戦争には参加させていない。」

 驚いた表情でマギウスを見る。マギウスは肯定するように頷く。それを見た両親は泣きながらお礼を言っていた。

「本来ならここに連れて行くのはまずいかもしれんがこれから先どうなるか分からない。だから少しでもいい。楽しく過ごしてくれ。」

「はい。ありがとうございます。」

 マギウスがお辞儀していると少女がマギウスに包みに入った何かを渡した。

「マギウス君、これ。」

「これは?」

「みんなからのプレゼントよ。開けてみて。」

 マギウスが包みを開けると杖が出てきた。先に綺麗な宝石が付いた杖だ。

「綺麗…」

「この近くで偶然見つけたの。」

「魔力石か。それもかなり高密度の希少なものだな。」

 ゲリュガが驚く。マギウスは杖に握る。

「ありがとうレリア。」

 マギウスはレリアにお礼を言う。幸せ、それを見ていたゲリュガは彼らが今後戦争に関わることがないようにしたい。そう思っていた。



 しかし、現実はあまりにも非情なものだと後で知ってしまうことになるのであった。

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