グランウィザードの人格
現在、ウルトラレックスはガッツエクストに向けて進行している。それを止めるために戦闘機部隊が攻撃を仕掛けていた。
「おい、あれはなんだ?」
「ウルトラレックスだろうが…」
「偽者か?」
「あり得る。以前もウルトラレックスの偽者を作った怪獣がいた。」
戦闘機部隊は旋回しながら攻撃する。しかし、ウルトラレックスはイージスラッガーで防御し展開させイージスラッガーから放つ光線で応戦してきた。そのうちの一つが戦闘機に命中する。
「ちぃ!脱出する!」
操縦士が墜落する瞬間に脱出した。他の戦闘機が離れながら攻撃しようとした時、通信が入った。
『各機撤退せよ。繰り返す。各機撤退せよ。』
「りょ、了解。」
戦闘機部隊はそのままウルトラレックスから撤退した。
「マジであれ本物のウルトラレックスかよ。」
戻ってきた隊員達がバンデロからの報告を受けて驚いていた。日比野達も合流し対策本部が建てられた。
「現在ウルトラレックスはドンロンを通過、ショーン部隊と交戦中。」
「よし。では日比野君。説明を。」
「はい。」
バンデロに呼ばれた日比野が前に立つ。
「夢宮…ウルトラレックスは以前も暴走に似た行動をとっていました。その時はルギリナさんやフィディスさんのおかげでなんとかなりました。」
「それはギーラ長官からの報告を受けている。」
「はい。ですが今回の暴走は今までと違います。以前の暴走は時間制限みたいなものがありましたが今回はそれが見られません。」
日比野がソードザウルスと交戦した時やサタンガウマ率いるストレイザー軍団と交戦した時、そしてギガヒュドラとバルトロスと交戦した時の映像を流す。
「ここで今回の暴走を含めた共通点があることに気付きました。」
「その共通点って?」
「全て巨大化かつブレイブグリッターに変身した時です。」
日比野が頷くとそこにモルフィナがやってきた。
「私は夢宮君と命を1つにしています。そのため夢宮君に何かあったらそれを共有することが出来ます。しかし、暴走した時は何も分からなかった。それに私の声も届かなかった。それに加えて今回は夢宮君の中に黒い魂みたいな何かが私を追い出した。」
モルフィナが説明する。すると、ガウマから連絡がきた。
『日比野様、結果が出ました。』
ガウマがモニターにグラフや表を映し出す。
『まずこちらは夢宮様がこの世界に来てすぐに採血した時の成分表です。次にこちらがこの前マークタウンに着いた後に採血した時の成分表です。』
ガウマが見せたグラフには1つだけ異常に飛び出ているのがあった。そこには”グランウィザード“の文字があった。
「なぁ、そのグランウィザードってなんだ?」
『グランウィザードは自身の細胞、遺伝子を与えることで人間を怪獣化させます。なので星雲寺様にも溝霧様にもグランウィザードの遺伝子が検出されました。』
ガウマの説明を聞いて星雲寺と溝霧も頷く。
『また、怪獣化していない皆様にはグランウィザードの遺伝子は検出されませんでした。これによりグランウィザードの遺伝子が定着するかどうかで怪獣化が決まると思われます。』
日比野達は嫌な顔をした。もしあの時グランウィザードの遺伝子が自身の遺伝子と混じり合ったら怪獣化していたと思うといい気分はしなかった。さらに、夢宮と星雲寺を迫害してしまった負い目もある。
「それで何故グランウィザードの遺伝子比率が高くなっているんだ?」
「多分…」
ゲドルフが聞くと星雲寺が答え始めた。
「みんなが夢宮君を助けにグランパラレルへ行った時にグランウィザードが夢宮君を殺したの。あの後グランウィザードが夢宮君に何かしたんだと思う。」
星雲寺が曖昧な答えを出す。けどそれが多分正解だろうとみんな思っている。
「それと今回の暴走との関連は?」
『おそらく…夢宮様の中にグランウィザードが出てきたのでしょう。』
「は?」
『正確にはグランウィザードの人格が夢宮様を乗っ取ったと考えられます。』
「二重人格ってやつか。」
ガウマが結論を出す。ウルトラレックスに芽生えたグランウィザードの人格。または魂。それがウルトラレックスを乗っ取り暴れている。
原因は分かった。しかし、対処法が思い付かない。既にウルトラレックスの一部となったグランウィザードの遺伝子をどすすれば取り除けるのか。またはどうやって正気に戻すのか。
会議が行き詰まる。その時だった。兵士の1人が会議室に慌てて入ってきた。
「大変です!」
「なんだ?」
「ウルトラレックスが方向を変えサーガノアに向けて進行を始めました!」
兵士の報告に場が騒然とする。
ウルトラレックスは破壊活動を続けながら進行を止めない。




