悪夢の始まり
ギガヒュドラとバルトロスの襲撃が終わり復興作業が始まった。日比野は隣で寂しそうに破壊された施設を見ているダニエルに声をかける。
「すみません。守りきれなくて。」
「構わん。生きているだけでラッキーさ。それにまた作ればいい。」
「大丈夫なんですか?」
「問題ない。0から1を作るのと1から100を作るのでは全く違う。設計図も人員も全ている。今度は15年はかからない。10年、いや5年で完成させようじゃないか。」
まっすぐポジティブに考えるダニエルに日比野は気持ちを持ち直し返事した。
その復興作業に夢宮達が参加している。夢宮の隣でフェーラがサイコキネシスで瓦礫を退けていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「お〜ね〜え〜さ〜ま〜!」
「リリィ!?」
フェーラが驚く。やってきたのはリリスというサキュバスだ。彼女は以前フェーラとクニンを取り返そうと夢宮に勝負を挑んできた怪獣だ。
「勝負です!今度こそは勝ってお姉様を取り戻します!」
「リリィ、もう私あっちに帰る気ないから。」
「なら私のものにします!」
「なんか怖くなってるけど!束縛してきそうなんだけど!」
「完全にヤンデレだな。」
騒ぎを聞きつけた郷田達が集まってくる。怪獣の出現だが相手がリリスということもありそんなに緊張はしなかった。すると、夢宮の中からモルフィナが出てきた。
「あの時私に簡単に追い出されたの覚えてないのかしら?」
「今度こそは負けないです!」
「また泣かされたいの?」
「いえ!勝つのは…」
さっきまでやる気満々だったリリスが突然夢宮を見て強張った。
「?」
「い…いや〜!」
「待って!そこまで泣かれるとこっちが困るんだけんど!」
みんなが不思議に思っているとリリスは突然泣き出し逃げるように飛んで行った。郷田達はゆっくりとモルフィナを見る。
「何したの?」
「してない!してない!ただ夢宮君の中に入ってきたからちょっと追い出しただけよ!」
「なんか悪魔でも見たみたいな反応だったわよ。」
逃げて行ったリリスを見て何があったのか気になる一同。その時、地震が起き地面から怪獣が現れた。
「あれは…」
「センザンモグラだ。」
背中には大量の針、鼻先にはドリルが付いているモグラのような怪獣センザンモグラはまっすぐこちらに向かっている。すぐに夢宮はウルトラレックスに変身して巨大化しセンザンモグラの前に立つ。その周りにルギリナ達やコスモスにジオフェニックス、タイタンホークが並ぶ。
「センザンモグラはそんなに強くない。みんなで行けば簡単に追い払えるよ。」
ラフィがみんなに連絡をする。みんな頷くとセンザンモグラに突撃した。センザンモグラは鼻先のドリルを回しながら突進してくる。ウルトラレックスはバーンスマッシュに変身して受け止めた。そのまま投げ飛ばす。センザンモグラは落下すると地面を潜って姿を消した。
「逃げた?」
『いえ、夢宮さんの真下から反応あり!来ます!』
天谷の報告を聞いてウルトラレックスはジャンプする。そこにセンザンモグラが現れた。奇襲のつもりが失敗し慌てる。そこにルギリナ達が魔法で攻撃する。
「よし、これで…」
ルギリナ達の攻撃で戦意喪失したのがセンザンモグラは逃げようとした。なんとか追い払えたとホッとする。キュアリアスがウルトラレックスを見る。様子がおかしい。俯いたまま動かない。キュアリアスが声をかけようとした瞬間、突如ブレイブグリッターへと変身した。
「夢宮?」
周りが不思議に思っているとウルトラレックスは口から赤黒い光線を発射して逃げるセンザンモグラを爆発させた。
「夢宮!?」
日比野が叫ぶ。ウルトラレックスはタイタンホークを向く。
「おいおい、あの目はマズいんじゃないか。」
新庄の言う通りウルトラレックスの目は赤くなっていた。ウルトラレックスはタイタンホークを確認すると再び赤黒い光線を発射した。新庄がタイタンホークを傾け回避する。しかし、翼に命中し煙をあげた。
「くそ!不時着する!」
タイタンホークはなんとか地面に不時着する。ウルトラレックスは雄叫びをあげると胸を掴み何かを投げ飛ばした。キュアリアスが受け取る。なんとボロボロになっていたモルフィナだった。
「モルフィナ!」
ルギリナが近寄る。
「何があったの!?」
「分からない…突然黒い何かが覆ってきたと思ったらここにいた。」
モルフィナが咳き込みながら話す。ウルトラレックスは雄叫びをあげながら進行を始めた。後ろからジオコスモスが攻撃するも背中から放つ光線で返り討ちにした。
「勇輝!」
「夢宮君!」
「返事しろ!」
みんなが呼ぶがウルトラレックスは反応しない。みんなの声が届かない。絶望と共に最悪の悪夢が進撃を開始した。
今回倒した怪獣
怪獣名 センザンモグラ
別名 剣山地底怪獣
身長 50m
体重 5万5000t
特徴
主に地底で活動する怪獣。鼻先のドリルでどんなに硬い岩盤も砕いて掘り進むことが出来る。そのドリルの他にも口から吐く怪光線や鋭い鉤爪が武器。
背中の多数のトゲはスカルバーンから身を守るためのもの。