恐怖
遂に怪獣に変身したベンケイ。ベンケイは夢宮を狙うとライフルを乱射しながら突撃した。夢宮はイージスラッガーで防御するとウルトラレックスに変身し糸を強引に切った。ベンケイは後ろにいる日比野達にライフルを向けながらウルトラレックスと斬り合いを始めた。
「さっきの話…辛い…ですよね…」
「同情するなら最初の選択肢がなかったところだけでいい。処刑したところからは全て俺の意思だ。」
ベンケイは口から光線を発射する。ウルトラレックスは光線を避けるとレクシウムスラッシュで攻撃した。ベンケイは盾で防ぐと盾からの光線と口からの光線でウルトラレックスを攻撃した。
そこに郷田と姫樹がベンケイの左右から攻撃しようとした。その時、身体に糸が絡まり動けなくなった。無理に動こうとすると糸が食い込み血が滲み出る。
「こんな物も使うのかよ。」
「武器暗器なんでもありかよ。」
空咲が糸を切る。その間にベンケイはウルトラレックスを蹴り飛ばし日比野達から離れた。
「夢宮!」
日比野が無理して追おうとするもベンケイが撒菱を撒いて足留めした。さらにドローンを複数出して攻撃させる。
ウルトラレックスははやの中でベンケイと交戦する。ベンケイは刀を振るいながら袖口から針を出す。さらに、糸をあちこちに張り巡らしそこに足をかけて林の中を縦横無尽に移動し始めた。
「今までの怪獣と違うタイプだ…」
搦め手を多用してくるベンケイに苦戦する。そこにキュアリアスとアルギラがやってきた。アルギラスティンガーで糸を木ごと破壊する。
「星雲寺さん!溝霧君!」
「助けに来ました!」
「チカホさんなら橘ちゃん達が安全なところへ連れて行ってるから安心して。」
「イブスキ会館か。」
「!?」
ベンケイが発言した場所に驚くキュアリアス。ベンケイは片眼鏡のようなアイテムを着けていた。
「なんで場所を…」
「お前達の誰かに発信機を着けた。」
ベンケイは手榴弾を投げるとイブスキ会館へダッシュした。アルギラが口から光線を出して手榴弾を破壊する。キュアリアスはベンケイを追って飛んだ。ウルトラレックスも後を追う。
「ヤバい。速すぎる。」
「行かせない…輝け、輝け勇気!レックスーー!」
ウルトラレックスはブレイブグリッターに変身するとイージスラッガーをクサツ全体に展開し回転させた。イージスラッガーから放たれる光はウルトラレックス達を包む。ベンケイが先にイブスキ会館に到着する。しかし、誰もいない。
(なんだこの違和感…)
ベンケイは発信機の電波を探すが機械が反応しない。そこにキュアリアスとウルトラレックスが追い付いた。
「《レクシウムフィールド》これならチカホさんが襲われる心配はない。」
キュアリアスはウルトラレックスの技に目を点にさせて驚いている。それに対しベンケイは笑っていた。
「やられた。…ってことは俺はお前を倒さない限り暗殺は不可能か。」
ベンケイは槍を出してウルトラレックスを突く。ウルトラレックスはイージスラッガーで防ぎ右肩に装着していた武器とレクシウムソードの二刀流で戦う。キュアリアスもリボンのような鞭を出して加勢した。
「ねぇ、モルフィナちゃんはレクシウムフィールドのこと知ってたの?」
「うん。ウランタイトとの激戦の時に使ってたよ。」
「あれなのね。」
2人はベンケイの攻撃を避けその場から離れる。すると、ベンケイは腕を高く上げた。
「お前達は強い。それにこれなら他の被害に気にしないでやれる。」
ベンケイがそう言った時、周りに大量の剣や刀、銃火器が現れた。そして、ベンケイが腕を下ろした瞬間、全ての武器が落ちてきた。
「《ギルガメッシュフィールド》」
「「!?」」
2人は自分のとこに来た武器を弾きながら離れる。すると、ベンケイが近くに落ちてきた対物ライフルを手に取り撃ってきた。さらに、ガトリングガンも拾い撃ってくる。その時、ベンケイの真上からアルギラスティンガーが降ってきた。ベンケイは薙刀を持つと振り回して弾く。その結果周りにあった武器が破壊された。
2人が振り向くとアルギラが走ってきた。ウルトラレックスの隣に並びこちらを向く。
「お待たせしました!」
「ありがとう!」
3人は息を整えてベンケイを見る。ベンケイは下がりながら無事だった剣を4つ手に取る。そのまま突撃してきた。3人もそれぞれ構えて突撃する。両者がぶつかり合う。激しい激突になるとベンケイはキュアリアスに剣を向けて柄にあるボタンを押す。その瞬間、剣の刃が飛び出しキュアリアスを攻撃する。アルギラがキュアリアスに気を取られていると今度は剣が蛇のようにうねりアルギラを切った。
「剣自体にもギミックが…」
「俺はこういう武器が好きでねぇ。ついコレクションしたくなる。」
ベンケイは剣から電撃を放つ。剣を捨ててはまた違う武器を持つ。今度は大きな斧を持ち出し真上からウルトラレックスに向けて振り下ろす。ウルトラレックスはイージスラッガーで防ぐ。そこにキュアリアスとアルギラが左右から光線を放ち斧を破壊する。すると、ベンケイは指揮者のようにな動きをした瞬間、刺さっていた武器が浮かびベンケイを中心に舞い始めた。
「さぁ、踊れ、狂え、狂喜乱舞しろ。《ウェポンオーケストラ》」
武器が次々とウルトラレックス達を襲う。剣を弾き飛ばしてもライフルが撃ってくる。槍を破壊しても糸が絡まってくる。大砲を近くのガトリングガンにぶつけても大きなハサミが斬ってくる。絶え間ない攻撃に防戦一方になってしまう。
「ウルトラレックス、この技にはどれぐらい消費する?どれぐらい保つ?お前が力尽きる時まで付き合ってやろう。」
ベンケイは大剣に乗って飛ぶ。ウルトラレックスに近付き袴から手榴弾を出して蹴飛ばす。ウルトラレックスはレクシウムブラスターで手榴弾を破壊する。その隙をついて近付いたベンケイはウルトラレックスを蹴り飛ばした。仰向けに倒れるウルトラレックス。ベンケイはビームライフルを手に取りウルトラレックスに向ける。
「夢宮!」
キュアリアスが叫んだその時、ウルトラレックスが立ち上がりビームを裏拳で弾いた。ベンケイは下がってまた撃とうとすると一瞬で詰め寄ったウルトラレックスがベンケイを殴り飛ばした。旅館に激突し部屋内に倒れる。さらにウルトラレックスは詰め寄り踵落としで追撃した。赤い目が禍々しく光りまるで鬼のような形相のウルトラレックスを見たベンケイは一瞬慄いた。
「ねぇ、あれってまさか…」
「うん、暴走した時と一緒…」
ウルトラレックスの動きにキュアリアスとアルギラも呆然としていた。それに対しベンケイはウルトラレックスに長いビームライフルを向け光線を撃つ。ウルトラレックスが離れると瓦礫からベンケイが現れた。
「怪獣になって27年、ここまで恐怖したのは初めてだ。感嘆するよ。」
ベンケイは後ろの両手に先程のビームライフル、前の右手に長い剣を装備した。そのまま突撃しウルトラレックスとぶつかり合う。激しい斬り合いを繰り出しながら針や糸、手榴弾を使う。後ろから援護に来たキュアリアスとアルギラにビームライフルを向けて撃つ。さらに、キュアリアスに電磁ネットをかけ動きを封じた。それをアルギラが切って解放する。
「ありがとう!」
「いえ。」
アルギラはベンケイの尻尾を防ぎ電撃を放つ。キュアリアスは真上から光の球で攻撃する。ベンケイは周りの剣を浮かせ2人を攻撃する。そして、剣を振り下ろす。ウルトラレックスがそれを受け止めると口から光線を吐いて攻撃した。ウルトラレックスは光線を耐えている。すると、モルフィナがベンケイの懐に入り七色の光線を発射した。
「《フェアリーレイ》!」
モルフィナの一撃がベンケイを吹き飛ばす。それでもベンケイは立っていた。代わりにウルトラレックスが倒れる。そのままレクシウムフィールドが消え元の世界に戻った。そこにいた人達が叫び逃げ始める。
「やっと解除されたか。」
ベンケイは暗殺の仕事に入ろうとした時、日比野が来て鍔迫り合いになった。さらに、ベンケイの周りにルギリナ達も集まってきた。
「ベンケイ!お前に暗殺依頼したのはアズラスという男だな?」
日比野の問いに無言で返す。
「アズラスなら脅迫と暗殺の件で逮捕されたわよ。」
朝比奈がそう言うとベンケイはあっさり戦闘を止めジャンプして屋根に乗った。
「報酬が出ないのであればこれ以上は意味がない。」
ベンケイは持っていた武器全てを消す。星雲寺達に抱えられながらこちらを見るウルトラレックスを見て笑う。
「ウルトラレックス、その力は自分でコントロール出来ないと今後最悪なことになるぞ。怪獣化の先輩としてのアドバイスだ。」
そう言ってベンケイは去って行った。
「どうする?」
「奴がこれ以上被害を出さないのなら無理に追う必要はない。それに…疲れた!また露天風呂に入ろう!」
「賛成!」
日比野の提案に礼崎が手をあげる。そのまま一行はチカホと一緒に露天風呂に入った。
「休まるわね。」
「ベンケイ、普通に強かったわ。」
「星雲寺から見て奴はどうだ?」
「ヴァンキュラーが怪獣化した怪獣の中では一番強いかも。それに搦め手とか使ってくるから戦い難かった。」
女風呂ではベンケイのことで星雲寺がいろいろ話していた。そんな時、礼崎が星雲寺の胸を後ろから揉みだした。
「きゃ〜!」
「固いよ!固い固い!折角の露天風呂なんだからもっと別のこと話そうよ〜!」
「ちょっと千春!?」
「友子のお胸はまた成長したんじゃない?」
「へえ…」
「ちょっと朝比奈さん、顔怖いです。」
女湯から聞こえる甘美な声、その声に悶々としながら風呂に入っている夢宮達。郷田は男湯と女湯を隔てる仕切りに沿って何か探していた。
「何しているんですか?」
「どうせくだらないことだろ。」
「あるはずなんだ…甘美な世界への覗き穴…」
「なんであるはずって言えるんだ。」
姫樹が呆れていると夢宮と姫樹の空いたで郷田が止まった。姫樹の近くを見る。すると、小さい穴が空いていた。
「マジであった。」
「まさか、覗くのか?」
「我慢する理由がねぇ。」
「理性は理由にならないの?」
郷田がのんとかして覗こうとする。夢宮と姫樹が郷田を止めようとした時、メキメキと音を立て仕切りが倒れた。その結果、3人は女湯に突撃することになってしまう。
「あ…」
「早く助けないと。」
「諦めろ。あれは手遅れだ。」
急いで夢宮達を助けようとした溝霧を飛鳥崎が止める。その夢宮達はタオルで隠しながらこちらを睨んでいる星雲寺達に恐怖していた。
「あ、あの…」
「お、おれと夢宮はこのバカに巻き込まれただけだから…」
「•••いい身体してるな。」
「「「死刑。」」」
「バカやろー!」
郷田の失言によって3人とも星雲寺達に制裁された。
「ふざけるな!罰はこのバカだけでいいだろ!」
「もう少し仕切りが丈夫だったら…」
「快翔、しばらく黙ってて。」
裸のまま後ろ手で縛られ目隠しされ正座され廊下に放置された3人。胸には『覗きをしました。』というプラカードをぶら下げていた。そんな3人を何故かいるベンケイはニヤニヤしながらスマホで写真を撮っているのであった。
今回登場した怪獣
怪獣名 ベンケイ
別名 傭兵怪獣
身長 2.5m
体重 250㎏
特徴
ヴァンキュラーによって怪獣化した姿。和装、4つの腕、トライデントのような尻尾、そして、全身に隠した武器や暗器が特徴。
口から破壊光線を吐くことが出来るが主に収納魔法で収納している武器を使って戦う。剣や銃火器だけではなく杖などの魔法武器、鋼糸や毒針などの暗器も多用する。また、体術も得意。
人間時代は傭兵だったためゲリラ戦や搦め手などをよく使う。




