湯けむり暗殺を阻止せよ!
WISHはマークタウンから離れたジャンパシティにいる。ここはクサツという温泉施設があり毎年多くの観光客で賑わっているという。そんな街にWISHが来た理由は…
「異世界ワープミサイル?」
「そうだ。以前、2人を救出するためトゥルディス達が怪獣がいる異世界、今はグランパラレルと呼んでいる。そのゲートを開けた。その時の波長やパワーを調査、解析しこちらからグランパラレルに攻撃する作戦が明後日決行される。」
ラッセルが日比野達に計画書を見せて話す。異世界ワープミサイルを使ってグランパラレルに先制攻撃する計画を立てているという。その計画が決行されるのがジャンパシティだった。その計画に参加するためWISHは来ていた。が…
「いい温泉…」
「気持ちいい〜。」
そんなこと気にせずみんな温泉を楽しんでいた。クサツは多くの温泉施設が建ち並んでおり種類も豊富だった。そのうちの1つを星雲寺達が楽しんでいたところに多くのボディガードを連れている眼鏡をかけた女性がやってきた。
「こんにちは。」
「こ、こんにちは。」
ニコッと笑い挨拶さる彼女に星雲寺達もお辞儀して挨拶する。すると、女性は星雲寺を見て話しかけてきた。
「もしかしてWISHの方ですか?」
「は、はい…」
「私、大ファンなんです!」
握手を求めてきた女性の手を恥ずかしながら握手する。
「私、レイリン市で市長選挙に立候補するチカホといいます!」
はしゃぐチカホに星雲寺達はタジタジだった。彼女のお願いを聞き星雲寺達は日比野達と合流した。
「感激です!ジェノジュファー討伐作戦、新聞で拝見しました!あんな凶悪な怪獣を倒すなんて凄いです!」
「あ、ああ…ありがとうございます。」
チカホと握手した日比野も恥ずかしそうにしている。チカホは夢宮を見ると彼にも握手を求めてきた。
「ウルトラレックスですよね!いつも活躍見ています!」
激しく握手するチカホに夢宮も恥ずかしそうにしていた。そんな彼女を見て秘書の女性が日比野に申し訳なさそうに話しかけた。
「すみません。チカホさんは好きな者を見ると興奮が抑えられない方なので。」
「い、いえ!こちらも嬉しいですよ。」
「それより凄い数のボディガードだな。そんなに有名な人?」
郷田がチカホの周りにいるボディガード達を見て秘書に聞く。
「実はチカホさんに脅迫状が届きまして。」
「脅迫状…」
「はい。今度の市長選挙を降りろと。さもないと命はないとも。」
「典型的な脅迫状だな。」
秘書の話を聞く日比野達。その声がチカホにも届いたのか彼女は夢宮に提案、いや依頼してきた。
「WISHの皆さんも私の護衛をしてくださいますか!?」
「えぇ!?」
びっくりする夢宮。夢宮だけではない。日比野達もびっくりし秘書は頭を抱えた。
それから…
「いい温泉ですね。」
「あの〜、こんな呑気でいいんですか?」
星雲寺達は何故かチカホと一緒に温泉に入っていた。隣では日比野達男子が入っている。
「それで実際に命を狙われたことは?」
「何度かあります。なんとか刺客を捕えたりしたんですがまた新しい刺客がくる始末でして…」
「犯人に心当たりは?」
「一応、選挙の相手の中にいると思われるのですが証拠がまだ…警察が捜査していますので時間の問題と思いますけど。」
日比野や橘達が事情聴取する。そんな中郷田はキョロキョロ周りを見回していた。
「こんなところまで刺客がくるってか?」
「どうせ覗きだろ?」
「穴なんてないと思いますよ。」
「ちげぇよ。盗聴器とか透明化したヤツを探してんだよ。このマックスブレスレットがあればどんな刺客も返り討ちだ。」
郷田が自信満々にマックスブレスレットを見せる。
「それに覗くならこんな分かりやすいところじゃなく離れたところから望遠鏡で覗く。」
「うわ、サイテー。」
「例えばあの崖とかいいだろ…」
郷田が向こうにある崖を指差した瞬間、何か光った。そこから狙撃銃でチカホを狙っている者がいた。ズドンと鳴り弾丸が発射される。すぐに夢宮がウルトラレックスに変身して飛び出す。弾丸はチカホに当たる前にウルトラレックスが防いだ。
「大丈夫ですか!?」
「覗くな!」
「すみません!」
「それどころじゃねぇ!狙撃だ!狙われてるぞ!」
「お前も覗くな!」
危険を報せた郷田に橘が桶を当てる。すぐにチカホを施設内へ避難させ急いで着替え狙撃場所に向かう。
「どこだ!」
「覗きに最適な場所だ!」
「じゃあその狙撃手は郷田と同じ思考か。」
「なんかやだ。」
急いで林の中を突っ切ると突然日比野達の前に誰か来た。その誰かをウルトラレックス達は知っていた。
「ベンケイ…」
「久しぶりだな。」
そう、目の前に現れたのはヴァンキュラーと共に行動していたベンケイだ。相変わらずの和装に刀と侍みたいな格好をしている。
「おい。狙撃手はどこだ?」
「探してみろ。結構近くにいるぞ。」
ベンケイが刀を抜く。すると、ウルトラレックスがベンケイの前に来た。
「僕が相手です。」
「構わんぞ。」
日比野達はベンケイを警戒しながら狙撃場所に向かう。ベンケイは日比野達を追いかけることもなぬウルトラレックスを見ている。
「あの時の続きをしよう。一度本気のお主と勝負してみたかった。」
ベンケイはダッシュして刀を振る。ウルトラレックスは夢宮に変身するとベンケイを投げ飛ばした。ベンケイは空中で体を捻り着地する。夢宮はレクシウムソードを出しベンケイと激突した。
「何故こんなことを!?」
「仕事だ。傭兵なのでね。チカホという女性の暗殺依頼がきた。」
「誰から!?」
「言うと思うか。」
ベンケイは蹴り飛ばすと近くの木を切って夢宮の方に倒した。夢宮は転がりながら避ける。そこに追撃したベンケイをレクシウムスラッシュで牽制した。体勢を立て直しベンケイに突撃する。ベンケイも対抗し刀を振り下ろす。擦れ違い様にカキンッと鳴り響く。そして、ベンケイの折れた刀が地面に刺さった。
「これで…」
「まだ終わらんぞ。」
そう言ったベンケイの手には小太刀が握られていた。夢宮はベンケイの攻撃を避け下がった。そこに小太刀を投げる。また避けると今度は大太刀で薙ぎ払ってきた。
「武器を作る魔法?」
「いや、収納した武器を呼び寄せる魔法だ。」
木々を切り倒しながら攻撃するベンケイ。夢宮は木々の間を抜けベンケイの上を取ると星色の脚でベンケイを攻撃した。ベンケイは大太刀で防ぐがヒビが入り大太刀は割れた。
「これで…」
夢宮はベンケイから距離を取って攻撃しようとした時、バンという銃声と共に夢宮の頬を弾丸が掠った。その時気付いた。
ベンケイという名前、和装、刀、それだけで何故その可能性を捨てたのか…ベンケイが狙撃手だということに。
拳銃を向けたベンケイを見て夢宮は察した。




