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飛べ飛べルビィ!(前編)

「よく来てくれた!」

 マークタウンに到着した日比野達はラッセル達と挨拶を交わした。スパンダーの事件から数ヶ月…怪獣の襲撃はあれどマークタウンは順調に復興していた。

「お久しぶりですかさん。テレサさんも。」

「久しぶり。それで彼が…」

 テレサが夢宮を見る。実はウルトラレックスとしてではなく夢宮として出会うのは初めてなのだ。テレサは夢宮と星雲寺を見て微笑む。

「凛々しいな。あの時は本当にすまなかった。あれからマークタウンも怪獣の保護を行ったりしている。まだその設備は出来ていないから隣国に任せってきりになってしまっているけどな。」

「話が変わるが日比野君、君達に依頼人が来ているんだ。」

「依頼人…ですか?」

「ああ…」

「私よ!」

 ラッセルの歯切れが悪くなった時、声と共に少女が入ってきた。綺麗な赤色の髪をした少女は日比野の前で止まると指を差した。

「私はルビィ•ジョーラ!あんた達に私の護衛をさせてあげる!」

「はい?」


 ところ変わってタイタンホーク

「初めての人もいるから自己紹介するわ!私はルビィ•ジョーラ!超プリティで超天才のトレジャーハンターよ!」

「何この自意識過剰女?」

「ジョーラって確かデロスの遺跡の時にご一緒したアテンさんと同じ名字ですね。」

「そうよ!私はアテン•ジョーラの娘よ!」

 ルビィはフフーンと自慢気に胸を張る。

「それで依頼って何?」

「私がお宝を取るからその護衛をしなさい!」

「報酬は?」

 飛鳥崎が聞くとルビィはキョトンとした。

「何言ってんのよ?私はお宝ゲットできる。あんた達は私を護衛できる。お互いWIN-WINじゃない。」

「こいつ殴っていいか?」

「落ち着くにゃ。」

 イライラしている飛鳥崎を南が抑える。

「何よ?私を護衛できるのよ?誇りに思いなさい。」

「•••」

「落ち着け朝比奈。」

 黙って杖を構える朝比奈を橘が抑える。

「どこが不満なの?優秀な私の元で働けるのよ?感謝しなさい。」

「•••」

「落ち着いてください佐古水さん!」

 刀を抜きかけた佐古水を溝霧が必死で抑えた。

「と、とにかく!俺達はルビィさんの依頼でオーロラ島という島に行くことになったから!新庄さん!」

「OKリーダー。」

 日比野が収集させるため新庄に指示してオーロラ島へ向かった。

 その道中…

「ねぇ、エディア料理はないの?」

「何それ?」

「この船ゲーム機ないの?」

「そういえば無いですね。」

「超一流の私に合うスイーツは?」

「チョコはやらんぞ。」

「何か面白いことしなさいよ。」

「なんだあの女!」

 わがまま過ぎるルビィに姫樹が文句を言い始めた。それに賛同して飛鳥崎も文句を言う。彼らの言い分も分かる分日比野は困っていた。仕方なく夢宮がルビィの相手をする。

「ねぇ、私に合う一発芸しなさい。」

「何その無茶振り!?」

「じゃあ私はルビィちゃんの超一流なスゴ技が見たい!」

 夢宮があたふたしていると礼崎が来た。彼女のお願いに姫樹と飛鳥崎はニヤニヤしている。どうせ大したこと出来ないだろうと思っていた。すると、ルビィは立ち上がって胸を張った。

「仕方ないわね〜。分かったわ。超天才の私が超凄い特技見せてあげる。」

 ルビィはグルっと回るとなんと夢宮に変身した。夢宮はびっくりして目を丸くする。ルビィは夢宮の姿で自慢気に話す。

「どう?これが超天才の私の得意技。人だけじゃないわ。動物にも変身出来るのよ。」

「夢宮君の姿でその声止めて。」

 一緒にいた星雲寺が若干引きながら元に戻るように懇願する。姫樹達も陰からウンウン頷いていた。

 その夜、夢宮が眠れずにキッチンに向かっているとキッチンの扉が開いていた。誰かいるのかなと思い覗くとルビィが勉強しているのが見えた。以外な姿にびっくりしているとルビィがこちらを向いた。

「出てきなさい。」

「よ、よく分かりましたね。」

「私は超一流のトレジャーハンターよ。気配には敏感なの。昼も私が変身するところを陰からコソコソ見てたみたいだし。」

 夢宮はルビィの前に座る。ルビィの手元にはノートや手帳の他にいろんな財宝や島の資料があり彼女なりにいろいろ書き込んでいた。

「ルビィさんも勉強するんですね。」

「失礼ね。」

「すみません。」

 夢宮が萎縮するとルビィはノートを閉じて頬を着き夢宮を見た。

「当たり前でしょ。超天才の私は超努力も惜しまないの。それが超一流のトレジャーハンターなの。」

「その努力を見せたらみんなもう少し接し方が変わると思いますけど。」

「嫌よ。態々見せて努力してますよアピールとか嫌いなのよ。みんなには結果だけ披露すればいい。」

 ルビィの意外な回答に夢宮は言葉が出ない。ルビィは夢宮を見た後廊下を見てクスッと笑う。その廊下には礼崎が2人の会話を聞いていた。

 

 翌日、航行していたタイタンホークの前方に島が見えた。中央に大きな火山があるだけのシンプルな島で誰1人いない無人島だった。

「あれが…」

「そうよ。あれがオーロラ島。超S級お宝”オーロラの涙“があれと言われている超危険な島よ!」

 手帳を出したルビィが説明してくれた。相変わらずの態度に飛鳥崎達はイライラしているが昨日のルビィを知った夢宮と礼崎は温かい目で見ていた。

 オーロラ島に着陸し島を探索する。しかし、草1つ生えてなく岩石や火山灰のみの殺風景な島だった。仕方なく一番怪しい火山に向かう。すると、先頭を歩いていた日比野が何かを踏んだことに気付き下を見る。そこには骨があった。

「骨!」

 日比野はびっくりして下がる。その反応に礼崎達もびっくりするが飛鳥崎がしゃがみ込んで骨を拾い上げた。

「これ、鳥の骨だろ。」

「な〜んだ。鳥か…」

「だがこの数はおかしいだろ。」

 佐古水が見る先を見ると夥しい数の鳥の骨が散らばっていた。それを見て姫樹達は寒気を感じた。

「なんでこんなにあるんだよ。」

「この島には今までトレジャーハンターや調査隊が何度も派遣されたけど誰1人帰ってきたことはなかった。」

 ルビィが散乱している服や靴、武器などを観察しながら話す。島には来たと思われる飛行船や船がある。その他にも人の足跡やケッコンなど様々な痕跡があるのに生存者はおろか人の死体すらないのだ。

「だからオーロラ島には怪獣がいると推察されてるの。」

「だから俺達を護衛に選んだと。」

「そう。あなた達は怪獣退治の専門チームとして有名だから。パパからもそう聞いたしね。」

 ルビィが先に進む。悩んでも仕方ないので日比野達もルビィの後を追って火山に向かう。鳥の骨がだんだん多く密集しているところを進んでいると洞窟があった。警戒しながら洞窟に入る。

「なんか暑くなってないか?」

「活火山か。」

 洞窟を抜けるとマグマがグツグツいっている広い場所に出た。余りの暑さにダウンしそうなところを姫樹達が風魔法で涼しくする。そのまま落ちないように気を付けて探す。すると、マグマに囲まれた岩の上に光る何かが見えた。

「おい、あれがそのお宝か?」

「分からないわ。近くで見てみましょう。じゃあ、お願いね。」

 ルビィが夢宮達にお願いする。夢宮はウルトラレックスに変身して光る場所に向かう。その時、マグマが激しくうなりそこから怪獣が現れた。

 真っ赤な羽で覆われていて頭部には5つの湾曲した巨大な角が生えている。鳥のような姿をしているが、翼は前脚とは独立して背中に存在しており、西洋のドラゴンのような身体構造を持つ怪獣だった。

 怪獣の名はボルバッサー。このオーロラ島に住み着いている鳥型怪獣だ。ボルバッサーはけたたましい鳴き声をあげるとウルトラレックスに襲いかかった。

「怪獣!」

「こいつが原因か。」

 すぐにルビィを下がらせて戦闘態勢に入る。ボルバッサーは日比野達の前に着地すると口から火炎を吐いた。すぐに礼崎達がシールドを張って防ぐと左右に別れて攻撃を始めた。

「夢宮!」

「はい!」

 ウルトラレックスも巨大化してボルバッサーと交戦を始める。背中にキックしてバランスを崩させると首を掴んで投げ飛ばした。ボルバッサーも負けじと再び火炎を吐く。それをルージュが口から光線を吐いて相殺した。戦況はこっちが有利。のはずだったが突如マグマから複数体の小型のボルバッサーが現れた。2mぐらいのボルバッサーは日比野達を見つけると襲ってきた。

「ヒナか!」

「気を付けろ!こいつら、クチバシに鋭い歯が付いてるぞ!」

 ヒナと交戦を開始する。ヒナの1体がルビィを狙う。そのヒナを礼崎が水の球をぶつけて追い払う。飛んでいるヒナは姫樹と小石川、ルギリナが相手する。ウルトラレックスとルージュを相手しているボルバッサーは口から火炎ではないガスを吐いた。ウルトラレックスは避けるがルージュは光線で対抗した。しかし、光線でガスを払うことが出来ずガスがルージュを包んだ。その瞬間、ルージュが消え代わりに小さな鳥が現れた。

「•••?」

 小鳥は溝霧の前に落下するとクラクラしながら起き上がった。

「な、なんじゃ今のは?」

「え?」

「ん?あ、あれ?なんじゃ!?ワシが鳥になっとる!?」

「はぁ!?」

 ルージュが小鳥になったという事実に日比野達は驚愕した。ルージュは慌てふためき羽をバタハ羽ばたかせている。

「まさか…相手を強制的に変身させる魔法!?」

「おい!それありかよ!?」

「ルージュさん!変身は!?」

「な、何故か出来んのじゃ。」

 ルージュが涙目になって答える。そこにヒナがルージュを狙って口を開けた。すかさず溝霧はアルギラに変身してヒナを斬り倒す。

「おい…痕跡があるのに人がいない…その代わりにある大量の鳥の骨…で、相手を鳥に変える魔法…」

 郷田が汗を流しながら考察する。その考察は当たっていた。それを知った瞬間、日比野はおぞましい結果を知ることになった。

「まさかあの骨全部…」

「あいつに鳥にされた人達…」

「これで帰って来ない理由が分かったな。どんな屈曲な戦士も鳥にされたら終わりだぞ。」

 ボルバッサーは狙いを日比野達に変えガスを吐く。日比野達はガスから逃げるように走った。しかし、逃げ遅れた朝比奈と堀垣がガスに包まれ小鳥にされた。それを狙ってヒナが襲ってくる。日比野と橘がヒナを攻撃し礼崎と佐古水が2人を助けた。そこにさらにボルバッサーがガスを吐いた。

「しまった!」

 日比野達が目を瞑りしゃがむ。そこにウルトラレックスが来てガスから日比野達を守った。その結果、日比野達は無事だったが夢宮が小鳥にされてしまった。

「夢宮!」

 小鳥になった夢宮。日比野が夢宮を助ける。そこにボルバッサーがギョロリとした目を向けて襲ってきた。

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