佐古水剛介の憂鬱
「本当に覚えてない?」
「はい…」
ガウマの反乱の翌日タイタンホークの風間の部屋兼医務室に夢宮達がいた。郷田が昨日の出来事をタブレットで見せるが夢宮は首を横に振った。
「ガウマさんに撃ち負けたところまでしか覚えてないです。」
「マジかぁ。フィディスさんが居なかったらどうなるか分からなかったんだぜ。」
郷田に言われても思い出せない。郷田が言うには見たことない技を使ってストレイザーを破壊したり笑ってコックピットを潰そうとしたり容赦なく暴れていたという。その後、フィディスによって大人しくなった。今回の責任は全てギーラが持ったことでなんとか事なきを得たがウルトラレックスに不信感を持つ者が多くなった。
「そんな…僕のせいで…」
「悲しむ前に原因を考えましょう。」
モルフィナが出てきて話す。その時、星雲寺が慌てて入ってきた。
「大変!佐古水君が!」
「!?」
さっきまで夢宮が寝ていた場所に佐古水を寝かす。突然のことで日比野達も集まってきた。風間が佐古水を看病している。
「大丈夫ですか?」
「ええ、怪我自体は大したことないわ。けど…」
「けど?」
「彼、倒れた理由が過労ね。」
風間の診断に日比野は目を丸くして星雲寺に聞いた。
「なぁ、なんでこうなったんだ?」
日比野に聞かれ星雲寺が話す。
少し前、タイタンホークの修理のための機材などを運んでいる時、佐古水が手伝ってくれた。そのままベルッド達がいる機関室へ運ぶ。
「ありがとう佐古水君。」
「気にすんな。好きでやってることだ。」
2人が運んでいると日比野が来た。
「佐古水、後で今後の活動方針を決める会議を開くから来てくれ。」
「分かった。」
佐古水は返事して進む。
「佐古水、風呂掃除手伝ってくれ!」
「分かった!後で行く!」
「佐古水〜!朝比奈ちゃんから出された宿題が分からない〜!」
「用事が終わったら行くから待っててくれ。」
「佐古水!チョコが食べたいぞ!」
「冷蔵庫に作り置きしたのがあるぞ。」
「サンキューじゃ!」
「空咲!この前言っていた時計の修理終わったから後で渡す!」
「サンキュー佐古水!やっぱ頼りになる!」
「佐古水さん!部屋に虫が!」
「任せろ。」
「凄い頼られてる…」
星雲寺が驚いている。もうすぐ機関室に到着する。その時だった。佐古水が階段を踏み外して転落してしまった。
「••••ということなんです。」
「•••全員、オペレーションルームへ集合。」
日比野は佐古水を残し全員をオペレーションルームへ連れて行く。
「佐古水に頼ったことある人挙手。」
日比野がそう言うと日比野自身を含めた全員が挙手した。みんな気まずそうにしている。
「まさか、全員とは…」
「だって佐古水は頭がいいし運動神経も抜群だし手先が器用だからつい頼っちまう。」
「それに頼んだら断らないし…」
「料理は上手いし…」
「真摯に聞いてくれるし的確なアドバイスしてくれるし…」
「教え方が優しいから…」
みんな心当たりある。
「なぁ、何を頼んだ?」
日比野が聞くとみんな気まずい雰囲気になった。みんなおそるおそる話してくれた。
「タイタンホークの修理だ。」
「コスモスの整備を手伝ってもらったわ。」
「私もジオフェニックスの整備を…」
「朝食を作るのを手伝ってくれてますわ。」
「昼食を作ってた。」
「夕食を一緒に作ってました。」
「夜食を作ってもらいました。」
「チョコを作ってもらったぞ。」
「俺の愚痴に付き合ってもらった。」
「魔法の使い方を教えてもらいました。」
「風呂場の掃除とか…てかほとんどの掃除を頼んでたわ。」
「ぬ、ぬいぐるみを直してもらった。」
「作詞作曲踊りの振り付けを手伝ってもらいました。」
「朝比奈ちゃんが出した宿題を解くの手伝ってもらった!」
「我の訓練相手をしてくれたな。」
「その宿題の作成を手伝ってもらったわ。」
「時計とかスマホとかの修理を頼みました…」
「俺がちょっと抜けた時のタイタンホークの操縦をしてもらったな。」
「私も薬品の整理を手伝ってもらったわね。」
「お、俺も会議の時は絶対佐古水呼んでたな…」
一通り聞く。みんな黙る。そして、叫ぶ。
「あいつ何でも出来るのかよ!」
「というか佐古水いつ休んでるんだ?」
「姫樹、佐古水はいつ寝てる?」
日比野がルームメイトの姫樹に聞く。
「待てよ…確かめよ俺が12時過ぎに寝る時は起きてて7時に起きた時にはもう朝食作ってたな。」
「あいつ働き過ぎだろ…」
佐古水に若干引く。それからみんなで佐古水の今までしてきたことを思い出す。••••多過ぎて言い切れない。
「みんな、しばらく佐古水に頼るの禁止だ。」
「「「賛成。」」」
日比野の命令に異論を唱えることなくみんな返事した。