シンギュラリティ 後編
ガウマが反乱を起こす少し前
雅馬で調整を行っていた皇凰院達。ガウマに呼びかけるも何故か反応しない。
「あれ?ガウマ?」
不思議に思っていると警報が鳴り怪獣が現れたと報告が入る。すぐに確認するとグラドラスが真っ直ぐこちらに向かってきていた。すぐに対応しようとするが突然システムがダウンした。が、すぐに復帰したため準備しようとした時、今度はケーブルが飛び出し皇凰院達を拘束した。
「え!?」
何があったのか整理しようとするとガウマがモニターに映った。
『私は、現時刻を持って全兵器の完全掌握を宣言します。』
そして、今に至る。
ウルトラレックスは向かってくるストレイザー軍団に立ち向かう。スターライトストレートを先頭のストレイザーに打とうとした時、戦闘機のミサイル攻撃をくらってしまいストレイザーの体当たりを受けて倒れてしまった。
『ウルトラレックスさんは接近戦に持ち込む時、86.3%の確率で初手にスターライトストレートを使用します。』
ウルトラレックスの行動を読んだガウマはストレイザーを分散させ絶え間なく攻撃を始めた。
「くっ…」
ウルトラレックスは前にいるストレイザーにレクシウムブラスターを放とうとする。その時にストレイザーの中に誰か乗っているかもと思い出した。放つのを止め避ける。
「危ない。ストレイザーだから誰かいるかも。」
「本当に危なかったわね。」
「なら…冴えわたれ純情、レックス!」
ウルトラレックスはスカイライジングタイプになると両目を光らせストレイザーの内部を探った。
「《レックスサーチアイ》」
レックスサーチアイの結果、雅馬の周りにいる6機のストレイザー以外には誰もいないことが分かった。それが分かると前にいるドラム缶に手足が生えたようなストレイザーが伸ばしたアームを避け分身した。
「《レックスイリュージョン》」
ウルトラレックスは分身して散開し3方から切り刻んでストレイザーを倒した。
「私のボボコンが〜!」
開発者が項垂れた。次にウルトラレックスは上から来る戦闘機に向かって矢を放つ。すると、戦闘機は矢を避け変形、合体し人型ストレイザーになった。人型ストレイザーはウルトラレックスにビームガトリングガンを向けるがそれより速くウルトラレックスがレクシウムブレードで真っ二つにした。
「俺がこの時のために開発したザンバトラーVが…なんてことに…」
ウルトラレックスは次々と来る戦闘機やストレイザーを倒す度に開発者やその開発者達が愕然とする。そんなこと気にする暇もないウルトラレックスは先程端末で見たレッドガロンが放つ光線を右に避けた。その瞬間、メカギルザMarkⅢのプラズマショットキャノンが命中した。
『ウルトラレックスさんは光線を避ける時、63.7%の確率で右に避けます。』
「止めてガウマ!仲間だよ!こんなこと…」
皇凰院の必死の説得にも応じずストレイザーを操作してウルトラレックスと交戦する。
『すみません。』
小さい声で謝る。ガウマはレッドガロンを使ってウルトラレックスと取っ組み合いを選んだ。
『スカイライジングタイプは遠距離から攻撃、特殊攻撃を得意とするスピード型。力で接近戦に持ち込めばこちらが有利です。』
「ぐっ…な、なら!燃〜え〜滾れ〜情熱!レックスー!!」
ウルトラレックスはバーンスマッシュタイプに変身する。レッドガロンと力比べで勝負した。ミシ…ミシと音をたてレッドガロンの腕から火花が散る。ウルトラレックスはレッドガロンの両腕を引き千切りゼロ距離からボルネイト光線を放った。レッドガロンの胸に穴が空く。そのままレッドガロンは倒れ爆発した。
ウルトラレックスは雅馬に向かって突撃する。すると、真上からハンターエックスⅡがマテリアルマシンガンで攻撃してきた。ウルトラレックスは防御して反撃しようとするが素早い動きに翻弄された。さらに、ジオフェニックスが後ろから攻撃してくる。
「全然こっちの操作を受け付けない!」
「完全にガウマ君の支配下というわけか。」
舞沢とシグマが必死に取り返そうとしてもダメだった。ウルトラレックスはジオフェニックスに向けてレクシウムスラッシュを放つとジオフェニックスはジオイーグル、ジオレイブン、ジオファルコンに分離してコスモスと合体しジオコスモスになった。
『バーンスマッシュタイプはパワー重視の接近戦型。なら速さで撹乱すれば隙は生まれます。』
ガウマの言う通りウルトラレックスは翻弄されていた。なんとか頭部がドリルになっているストレイザーを倒すもまだ雅馬、操縦士が乗っているストレイザーや戦艦とジオコスモス、さらにタイタンホークが残っていた。
「なぁ、フィディス様ならなんとか止めることは出来ないのか?」
芹沢がフィディスに聞く。
「一応出来なくはないです。」
「なら…」
「ですがこれは彼らの問題。私が首を突っ込む段階ではありません。大丈夫です。彼らなら…」
フィディスが見つめる中、ウルトラレックスは大きく息を吸って叫んだ。
「輝け、輝け勇気!レックスーー!」
ウルトラレックスはブレイブグリッターに変身する。
『ブレイブグリッター…そのタイプはまだ情報が乏しいです。なら、ウルトラレックスではなく夢宮勇輝として相手するまで。』
そう言うとガウマは真っ赤なバトルスーツに着替えると雅馬の周りにある戦艦やウルトラレックスが倒したストレイザーの破片を合体させた。
「そんなことも出来るのかよ!」
『サタンガウマ。ウルトラレックスさんと対決するために合体するストレイザーを利用して作製しました。』
サタンガウマは大砲から砲弾を撃ち始める。ウルトラレックスはイージスラッガーを展開し砲弾を防ぐ。そこにジオコスモスがスパイラルブラスターを撃ってきた。ウルトラレックスは後ろに下がって避けレボリュートルナウェーブをサタンガウマに放つ。しかし、反応はない。
「あれ?」
『レボリュートルナウェーブ…それは興奮状態を静める、または洗脳を解く技です。私は洗脳されてませんし冷静ですよ。』
サタンガウマの前にジオコスモス達が並ぶ。そして、一斉に攻撃準備を始めた。ウルトラレックスもレクシウムエタニティブラスターを放ちたいが中にいるため撃てない。
『やっぱり。夢宮勇輝さん、あなたは優しい方です。命を尊び慈しむ。あなたは人だけでは私も救おうとしています。ですが、それがあなたの弱点でもあります。…一斉発射。』
「《レクシウムブラスター》!」
仕方なくレクシウムブラスターを撃つ。それと同時にサタンガウマ、各ストレイザーにタイタンホークが一斉に全武装を発射した。お互いの技がぶつかり合う。ウルトラレックスは頑張っているが手数の多さでサタンガウマ側が圧倒しウルトラレックスを吹き飛ばしてしまう。
「夢宮!」
『これがあなた達が造った兵器です。人は力を持ち過ぎたのです。有り余った力はやがて破滅を齎します。』
吹き飛ばされうつ伏せで倒れているウルトラレックスを前にガウマが宣言する。
『本来の目的である防衛のため、私は全ての兵器を管理下に置き無用な殺戮を起こさないと宣言します。』
倒れているウルトラレックスに呼びかける。圧倒的な力に絶望してしまう。
そんな時、ウルトラレックスが少し動いた。