見えざる支配者
全員がタイタンホークに帰った後
オペレーションルーム
「・・・以上が今回の結果だ。新庄ジョージさんは確かに凄い人だし前向きに考えてくれるらしい。」
「とりあえずはそれでOKだな。」
「買い物も粗方済んだしな。」
「とにかく、今日はもう休んで明日、もう一度新庄さんに会いに行く。」
こうして、1日が終わった。
翌日
中島先生、天谷、ベルッド、ラフィ以外は新庄さんが住んでいるマンションに向かっていた。そこに向かう途中に物々しい警備の人達と一緒に運ばれているコンテナみたいな大きな箱を目にした。
「あれは何ですか?」
「多分、怪獣を運んでいるんだと思う。」
ウルトラレックスの質問にアリスが答えた。綾宮市はどちらかといえば、怪獣に対して好意的であり傷付いた怪獣やおとなしい怪獣の保護とかをしているとアリスは簡単に説明した。
しばらく歩いていると新庄が暮らしているマンションに着いた。そのマンションは8階建てでその最上階に住んでいるという。
ちなみに、そのマンションはさっき怪獣が運ばれた研究所のすぐ側だった。
いきなりみんなで行くと迷惑だろうということで日比野、佐古水、橘、朝比奈、舞沢、アリスが行くことになった。
「大丈夫かなぁ?」
下で待機している郷田がボソッと呟いた。
「何が?」
「いや、姫樹は知らないだろうけど俺の勘が正しければ、新庄さんは風間さんと同居している。」
「それがどうした。同居は別におかしくないだろう?」
「そう。同居はおかしくない。問題は風間さんの服装だ。」
「あ。」
郷田の発言で風間を知っているウルトラレックス達は呆然としていた。
一方、新庄の部屋に着いた日比野達が呼び鈴を鳴らすと中から風間が出てきた。セクシーなランジェリー姿のまま。
「あら、昨日の子達じゃない。」
「・・・」
全員顔を赤く染めて下を向いた。すると、風間の後ろから新庄がやってきた。ボクサーパンツ一丁で。
「・・・また今度にします。」
「どうした?」
その場が静まりかえった。
「どうだった?」
「・・・アウト!」
空から偵察していたキュアリアスが高らかに答えた。
「気にするな!俺達は寝る時は下着姿で寝てるってだけだ!」
研究所に用事があるという新庄と共に日比野達は歩いていた。
「驚かせてごめんね。安心して。昨日はしてないわ。」
「そ、そうですか。」
「待て“昨日は”と言ったぞ。」
「それ以上しゃべるな。」
研究所に着くと新庄はある場所へ向かった。そこに行くとジャングルみたいにたくさんの植物が植えられ、様々な怪獣がいた。
「凄い。」
「ここは?」
「ここは怪獣が安心して暮らせるように設計された擬似自然フィールド、メモリアだ。」
ウルトラレックスの質問に白衣を着た角が生え緑色の肌をした大男が答えた。
「鬼?」
「いや、オークだ。」
「あれ?ベルッドさんのような猪のような顔じゃないんだ。」
「それは獣型オーク。俺のようなのは鬼型オークという。ここで研究員をしているヌーリストだ。」
ヌーリストは自己紹介を済ませると風間のところにきた。
「今日も新庄の付き添いか?」
「えぇ、日課ですから。」
「新庄さんって毎日ここに来るんですか?」
「そうよ。昔、保護した怪獣に懐かれてね。それ以来、毎日ここに来てその怪獣に会っているの。」
「へぇ。」
「ちなみにその怪獣は見た目からヒュプシュタオゼントフースって新庄君が名付けたの。」
「ヒュプシュタオゼントフースって凄い名前だな。」
「確かヒュプシュってドイツ語でかわいいって意味だったわね。」
「へぇ。かわいい怪獣なら見てみたいかも。」
「凄いな、朝比奈。ドイツ語が分かるのかよ。」
「習っている途中だからまだまだよ。実際、タオゼントフースってなんて言うかわからないし。」
みんなが話していると奥から新庄の声がした。
「よ~しよしよし!かわいいなぁ、今日も!」
「お、あっちにいるみたいだな。」
「行って見ようよ!」
郷田、礼崎、空咲、小石川、南、キュアリアスが奥に行った。佐古水はスマホで何か調べていた。
「何しているの?」
「タオゼントフースの意味を調べている。」
郷田達が行くと新庄がある怪獣を可愛がっていた。その怪獣の顔は白くパッチリとした目、後ろに伸びた触覚みたいな角をしていた。怪獣はキューッ、キューッと鳴きながら新庄に懐いていた。郷田達がその怪獣に近寄ってみると体は
「タオゼントフースってドイツ語でムカデという意味らしい。」
脚が人の腕になっているムカデのような体だった。
「ぎゃーっ!」
郷田達の叫び声が聞こえた。
「もう遅いみたいだな。」
佐古水達が手遅れになった悲鳴を聞いているといきなり警報が鳴った。
「な、何だ!?」
「何?職員が急に暴れ出しただと!?」
ヌーリストが無線で状況を知った。
「僕達に手伝えることはありますか?」
「今はない。自分達の身の安全を最優先しろ。」
ヌーリストがその場を去ろうとした瞬間、メモリアの怪獣達が急に暴れ出した。新庄達も暴れ出した怪獣に驚いていると今度はヒュプシュタオゼントフースが急に暴れ出し、新庄に襲いかかってきた。
「どうなっているんだ!?」
ヌーリストが事態の把握をする前に近くにいた職員の一人がヌーリストに襲いかかってきた。日比野はその職員を体当たりで倒した。
「ありがとう。どうなっている!?」
「このままだとまずいよ!」
みんなが混乱しているとメモリアの壁を破壊して怪獣が現れた。
その怪獣は茶色い体躯に横に張り出した角や触覚を持った顔、カマキリみたいな腕をしていた。
「あれはさっき運ばれた怪獣!」
怪獣はキーッ、キーッと鳴きながら炎を吐いた。虫みたいな口から吐かれた炎はメモリアの植物を燃やし、逃げる怪獣達も襲った。
「止めろー!」
その時、ウルトラレックスが怪獣の前に立ち、バリアを張って炎から逃げる怪獣達を守った。
怪獣は腕の鎌でウルトラレックスに攻撃を始めた。ウルトラレックスは鎌を避け、腹にパンチした後に尻尾で怪獣を吹っ飛ばした。
「あの怪獣、自分の意思で動いてないか?」
佐古水が怪獣の動きに不審に思っていた。日比野達もウルトラレックスに加勢しようとした瞬間、飛鳥崎がいきなり日比野達に襲いかかってきたのだ。
日比野達が下がった時、今度はエメラナと風間が暴れ出したのだ。
「おいおいおい。マジでどうなってんだ!?」
郷田が叫んでいた。小石川達も新庄を助けるためにヒュプシュタオゼントフースを離そうとした時、キュアリアスが新庄達に攻撃してきたのだ。
「おい!次は星雲寺がおかしくなったぞ!」
キュアリアスが光線を吐こうとした瞬間、Gパワードスーツを纏った小石川がスナイパーライフルでキュアリアスを撲った。
「とりあえず、ごめんなさい!」
撲られたキュアリアスは倒れたがすぐに起き上がり、小石川に光線を放った。そして、そのまま空を飛んだ。小石川も後を追うように飛び、メモリアで空中戦が行われた。
一方、暴れている飛鳥崎達を日比野達が抑えていた。エメラナと風間はすぐに抑え、拘束銃で拘束したが飛鳥崎はボクシングの動きで拘束銃を避けながら攻撃した。そこに、山瀬が截拳道で飛鳥崎と交戦した。
「くそっ!どうすれば!?」
「多分、みんな何者かに操られているんだと思う。そいつを倒せば戻ると思うが。」
メモリアで激戦が広がる中、郷田が礼崎のうなじをおもいっきり叩いた。
今回登場した怪獣
怪獣名 ヒュプシュタオゼントフース
別名 ムカデ怪獣
全長 12m
体重 450㎏
特徴
異世界に来た新庄ジョージが偶然助けた怪獣。リュウグウノツカイみたいな顔におちょぼ口、パッチリとした目に後ろに伸びた触覚みたいな角をしている。体はムカデの体に脚が全て女性の腕になっていて尻尾は蛇みたいににょろにょろしている。大好物はさくらんぼ。
ちなみに、ヒュプシュタオゼントフースはドイツ語でかわいいムカデという意味らしい。名付け親は新庄ジョージである。