表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
258/314

その剣の名は

 アースラタシア大陸へ帰ったWISHはサーガノアに着艦ししばらくの間休息をとることにした。サーガノアでは近いうちに兵器の博覧会を開く予定のようで慌ただしかった。

「どうだガウマ?」

『良好です。』

 新庄がタイタンホークと雅馬のネットワーク状況をガウマに聞く。サーガノアのシステムとガウマを繋げハザードハッカーのようなハッキングする怪獣や悪意のある人間からシステムを守るようにしていた。

 その手伝いを日比野達がしている。すると、郷田が日比野の剣を見て気になっていたことを聞いた。

「日比野、そういえばその剣の名前って結局決まってないのか?」

「あ、確かにまだ考えてなかったな。」

 日比野が剣を見て思い出す。この剣はウルトラ•グラン•ウォーの時にもらったクラークシードで開発された対怪獣用新型ソードである。今は日比野が使っている。

 日比野がどんな名前にしようか悩んでいると一報が入った。内容は近くのスイレンという村でゴブリンやオークの集団に襲われたというものだとラフィが伝える。

「分かった。ギーラさんの代わりに俺が行く。夢宮は…ルギリナさん達と特訓、佐古水もストークフェスティバルの準備………郷田、行くか?」

「俺は即決じゃないんか。まぁ行くけど。」

「あとは…」

 日比野は駆け回り郷田の他に橘、姫樹、空咲、中島先生、ベルッドが同行した。

 スイレンの村はサーガノアから西南に位置する小さな村。近代的な発展はしていないが村人は皆仲良く平和に暮らしている。スイレンの村に到着した日比野達は村長に話を聞く。

「突然ゴブリンとオークの群れがこの村を襲ってきたのです。女性達は誘拐され食べ物も奪われました。息子達が追い払おうとしたものの中に怪獣らしき者もいて蹴散らされ重症を負いました。」

「なるほど。だから、怪獣退治の俺達やギーラさんのところに通報がきたと。」

「なんとかして村人を取り返してほしいのです。お願いします。報酬ならいくらでも払います。」

「分かりました。拐われた人達は全員助けます。報酬もいりません。」

 日比野は即答する。郷田達も同じ答えのようで黙って頷く。村長は涙を流しありがとう、ありがとうとお礼を言った。

「同じオークとして許せん。」

「というより俺達のゴブリンやオークのイメージがこれなんだよなぁ。ベルッドさんが珍しい方だぜ。」

 村を出てゴブリン達を捜す。昨夜襲ったのならそう遠くに逃げていないはず。その推理して怪しいところをいくつかピックアップした。すると、そのうちの1つがビンゴした。いかにも怪しい洞窟の前にたくさんの足跡があった。

「どうする?突撃するか?」

「いや、中がどうなっているか分からない状態じゃ無謀な突撃は無理だ。」

 どうやって調べようか悩んでいるとベルッドが立ち上がり洞窟に向かった。

「なら俺が行こう。」

「ベルッドさん!」

「俺ならお前らよりは警戒され難い。俺が合図したら俺の後を追ってきてくれ。」

 ベルッドの作戦に少し悩む。しかし、長考する暇はない。日比野はベルッドの作戦にのり送り出す。ベルッドが洞窟の入口に近付くと中からゴブリンが数人現れた。ベルッドと何か会話している。すると、中を案内してくれるのかベルッドを招き入れた。ベルッドが手を背中に回し合図した。

「よし、行くぞ。」

 日比野を先頭にベルッドの後をついていく。洞窟の中は所々松明が立てられ明るかった。長い道程を歩いて行くと拓けた場所に出た。そこには拐われた女性達が裸で磔にされていた。日比野達は今すぐゴブリン達を全滅させ救出しようと考えたがまだ全体が把握出来ていない。何より例の怪獣がどこにもいなかった。

「これは?」

「昨日奪った戦利品だ。」

「ほぅ。そういえば、君達は怪獣を連れていると聞いたが。」

「何が聞きたい?」

「単なる興味だ。」

「嘘が下手だな。」

 ゴブリンが手を挙げた。その時、日比野達の後ろからゴブリンやオークが襲ってきた。日比野達は攻撃を避けベルッドの元へ向かう。周りをゴブリン達に囲まれる。

 そこに怪獣が現れた。全身筋肉質な皮膚、大きい一本角が特徴的だった。怪獣はゴブリンの中を掻き分け日比野達の前に出る。

「ハマったなバカ共め。いい女もいるじゃねぇか。」

「喋る怪獣…もしかして元ゴブリンだったりする?」

「そうさ!俺はゴブリンから怪獣ゴブリンライザーになった!そして、ゴブリンを率いる将にまで登りつめた!」

 ゴブリンライザーは高らかに自己紹介する。

「怪獣を連れたゴブリンじゃなくてゴブリンを連れた怪獣ってわけかい。」

「ゴブリンが怪獣になるってありえる?」

「ありえん。夢宮達のようなケースじゃない限り勝手に怪獣化など…」

 ベルッドの発言で日比野はある仮説を立てた。その仮説を確かめるためにゴブリンライザーに聞く。

「なぁ、お前ってさ…ヴァンキュラー知ってるか?」

「知ってるとも。奴のおかげで死にかけだった俺は怪獣として復活したんだからな。」

「やっぱりあいつの仕業か!」

 ヴァンキュラーが関わっていると知り橘は嫌な顔をする。ゴブリンライザーは一歩、また一歩近付き橘達を品定めするように見回した。

「いいねいいね。合格だ。孕ませるには充分だ。」

「下品だな。」

「全くだ。」

 日比野達が構える。それを見てもゴブリンライザーは余裕そうだった。ゴブリン達も構える。静寂が洞窟を包む。鍾乳石に滴る水が落ちる。水が地面に着いた瞬間、日比野達は散開しゴブリンライザー達に先制攻撃した。

 日比野の剣をゴブリンライザーは拳で受け止めると力任せにパンチした。日比野は紙一重で避け剣に魔力をため簿柄に付いているボタンを押しゴブリンライザーに突撃し剣を振り回し連続で切った。

《ヒビノメビュームアタック》

 日比野の連撃をゴブリンライザーは両腕を前に構えて耐えた。そのまま隙を見て尻尾の一撃で日比野を弾き飛ばす。

「ガハハハハハ!その程度で俺を退治しようってか!?笑わせるぜ!」

 ゴブリンライザーは笑いながら日比野に接近する。すると、日比野は倒れた状態から転がりながらゴブリンライザーを一閃する。

「俺はいつだって本気だ。」

 ゴブリンライザーはよろけるもすぐに口から光線を吐いて攻撃する。日比野が光線を避けると後ろにいたゴブリン達に命中し吹き飛んでいった。日比野はゴブリンライザーの攻撃を何度も避けながら剣を当てていく。次第に日比野の動きについてくれなくなったゴブリンライザーは仲間に命令した。

「おい!捕らえた女共を人質にしろ!…おい!」

 ゴブリンライザーが振り向く。そこにはゴブリン達を倒し女性達を解放した郷田と姫樹がいた。

「残念だったな!既にお前の部下は倒したぜ!」

「人質は最初に使うべきだったな。調子に乗って挑んだのが失敗だった。」

 ゴブリンライザーが見回す。既に橘達がゴブリンやオークを全滅させていた。日比野が突撃する。ゴブリンライザーは振り向き口から光線を吐こうとした。すると、落ちていた兜を光を纏わせた足で蹴り飛ばした。

《ライトニングシュート》

 兜はゴブリンライザーの鼻に命中しゴブリンライザーは鼻を抑え仰け反る。そこに日比野がボタンを4回押した。剣は日比野に呼応するように光る。その光を纏い日比野はゴブリンライザーをX字に斬った。

「《ヒビノライトニングX斬》!」

「なんだ…そのダサい技名は……」

 そう言い残しゴブリンライザーは倒れ爆発した。郷田達は喜び日比野の元へ行く。そのまま女性達を救出しギーラ達に報告しゴブリン達を確保してもらう。

 村に戻ると村人達は喜び日比野達にお礼を言った。日比野達は手を振ってお別れを言うと帰路に着いた。

「これで一件落着!」

「そうだな…」

「どうしたの日比野?」

「•••決めたよ。」

「?」

「この剣の名前。」

 日比野は剣を高くあげた。

「この剣の名は…日比野スーパーブレードだ!」

「「「•••」」」

 日比野の命名に郷田達は唖然とする。日比野がこちらを振り向くとないないと手を振りながら言い始めた。

「ダサい。ダサ過ぎ。」

「え!?なんで!?」

「まず武器に自分の名前はないわ〜。ウルトラレックスとかならまだしも。」

「それとスーパーが安直過ぎる。なんか小学生が数秒で考えました感が凄い。」

「それと漢字とカタカナが交じるとなんか厨二に聞こえる。」

「全体的に捻りがない。」

 郷田達のキツい評価に日比野はガックリしてしまう。

「本当にチーム名を決める時に佐古水君がいてくれて良かったわ。」

「何て名前にしたんですか?」

「異世界ウルトラスーパーヒーローズよ。」

「ダサっ!」

 みんなからの酷評に日比野は項垂れるのであった。

今回倒した怪獣


怪獣名 ゴブリンライザー

別名 小鬼怪獣

身長 2.5m

体重 155kg

特徴

ゴブリンがヴァンキュラーによって怪獣化した姿。怪力と口から吐く破壊光線が武器。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ