表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
257/314

清らかなる海

 サタントレントの事件が終結し久しぶりにアースラタシア大陸へ帰ろうとするWISH。すると、一通の通報がきた。

「はいこちらWISH。…はい……はい、分かりました。すぐに向かいます。」

「どうしました?」

「ガレン工業地帯に謎の物体が出現。至急調査してほしいとのことです。」

 ラフィが日比野に報告する。日比野はすぐに頷き現場に急行した。

 現場であるガレン工業地帯は海沿いにあるドリアス重工が営むところで主に戦艦やストレイザーの製造をしている。

 WISHが現場に到着する。通報した社員から話を聞きながら向かう。人混みの中をかき分け進むと何かいた。銅鐸のような体に突き出た怪獣みたいな顔、そして銅鐸に書かれている清海が特徴的だった。

「清海?」

「この怪獣の名前だったりして。」

「もろ日本語、もろ漢字じゃん。」

 近付いて叩いてみたり分析してみるが反応しない。

「どうガウマちゃん?」

『生体反応は無くロボットと思われます。』

「ロボット怪獣か。」

 郷田が怪獣の顔をコンコンと叩いた時、顔の目が青く光った。慌てて下がる郷田。日比野達も何事かと警戒する。すると、怪獣が喋り始めた。

「ワガナハ清海。ケイコクスル。ニンゲンハコノウツクシイウミヲケガシツヅケテイル。イマスグオセンヲヤメシゼンニアルベキスガタヘトモドシナサイ。」

「いきなり喋った!」

「やっぱり清海が名前なんだ。」

 清海が喋ったことに驚く。しかし、清海が言っている内容には一理ある。確かにガレン工業地帯では製造による廃棄物が海に流れ出ていた。それはみんな理解している。それでも必要とする人達がいるためすぐに止めることは出来ない。それをガレン工業地帯の工場長が清海に伝える。

「悪いがそれは出来ない。」

「ナラバジツリョクコウシスルマデ。」

 清海がそう言った瞬間、海が渦を巻き巨体な清海が現れた。清海の全身像が見えると渦は消え凪となった海面の上に清海が立っていた。そして、日比野達の目の前にいる清海が消えた。

「退避!」

 日比野はすぐに社員達を避難するように橘達に命令する。清海は清海の文字から青い光線を発射し避難させていた橘達もろとも社員を包みこんだ。

「橘!みんな!」

 日比野達は焦って走った時、そこには全裸の橘達がいた。

「•••は?」

 日比野達はポカンとしている。橘達も傷1つないことを不思議に思い自身の体を見て全裸であることに気付くと悲鳴をあげてしゃがみこんだ。

「な、何故だ!」

「え?あれって変態光線かよ。」

「いや、服だけじゃなく武器も建物も消えてる。」

 佐古水の言う通り光線が命中したところは橘達以外は消えていた。また、よく見ると工場に住んでいたと思われる鼠や偶然いた鳥達も無事だった。

「ど、どうやらあの光線は生物以外を分解する光線みたいだな…」

 日比野が考察する。すると、清海がまた同じ光線を発射した。

「避けろー!」

「橘みたいになりたくねぇ!」

「ふざけるなぁ!」

 日比野達は急いで逃げる。しかし、光線は夢宮達に命中し夢宮達を全裸にした。その様子を新庄達がタイタンホークから見ていた。

「あちゃー。下手な破壊光線よりもヤバいぞ。」

「殺傷力ゼロなのが唯一の幸いかな。」

「ねぇ、もしあの光線がこっちに当たったらどうなるの?」

「そりゃ、全裸で転落死だろ。」

「「「それだけは絶対嫌!」」」

 清海の攻撃を見て慌てる舞沢達。清海はこちらを見ている。それに気付いた新庄はハンドルを目一杯回した。そのおかげで光線を回避することが出来た。

「まずいな。狙いがこっちに向いたぞ。」

 タイタンホークはギャラクシーメーサーキャノンを命中させるが清海に傷1つ着けることは出来なかった。そんなことよりもある意味地獄絵図になっている状況を見て日比野達は目のやり場に困っていた。

「服!とにかく服を貸してくれ!」

 日比野達が服を貸す。夢宮も恥ずかしさのあまり動けずにいたが思い出したかのようにウルトラレックスに変身した。

「よし!これでなんとか。」

「その手があった!」

 ウルトラレックスを見て星雲寺もキュアリアスへと変身する。

「ずるい!変身魔法ずるい!」

 礼崎から服を借りた橘が文句を言う。ウルトラレックスは深呼吸して巨大化すると清海に向かってレクシウムブラスターを放つ。命中はするが傷1つ着かない。すると、清海の銅鐸部分が割れ中から腕組みしている胴体が見えた。清海は腕組みを解くと海面を歩きながらウルトラレックスに近付いた。

「ニンゲンハモトアルシゼンニカエルベキダ。センソウ、オセン、シゼンハカイ。スベテヲヤメキヨラカナルセカイヘトモドルノデス。」

「完全に原始時代に戻れって言ってるよね?」

「極端過ぎる。」

 清海の言葉に郷田達は呆れている。ウルトラレックスはイージスラッガーから光線を出しながら向かう。光線は清海に効かず取っ組み合いになる。しかし、清海の方がパワーは上でウルトラレックスを押し込む。

「つ、強い。けど…燃〜え〜滾れ〜情熱!レックスー!!」

 ウルトラレックスはバーンスマッシュタイプに変身すると清海を押し返した。清海も胸の文字から光線を発射して攻撃する。ウルトラレックスは一瞬怯むが蹴り飛ばして体勢を整えた。すると、清海は頭の角を光らせた。その時、さっきまで凪いていた海が荒れ大津波が襲ってきた。

「退避!」

「あれ間に合わねぇぞ!」

「まずい!冴えわたれ純情、レックス!」

 ウルトラレックスはスカイライジングタイプに変身するとレックスサイコキネシスで津波を止めた。しかし、清海は止まらない。そこに姫樹と小石川が清海の目を攻撃した。それに合わせてルギリナとルージュも攻撃する。傷は着かなかったが清海はよろけこちらを見た。

「これ、どうすればいいんだ!?」

「硬すぎる。」

「だったら…輝け、輝け勇気!レックスーー!」

 ウルトラレックスは叫びブレイブグリッターへと変身すると清海に突撃した。そのまま津波を割って消すと清海と一緒に海へと潜った。

 海底に着地すると清海は口から青い光弾を発射して攻撃を始めた。ウルトラレックスはイージスラッガーで弾きながら近付くと右肩に装着していた武器とレクシウムソードで清海を攻撃した。

《レックススラッシャースペシャル》

 ウルトラレックスの連続攻撃に清海はよろける。清海は体勢を整えると全身から青い波動を放った。その波動はウルトラレックスを少し飛ばすと同時に浮いているゴミや油などを分解した。

「凄い技だね。…ねぇ、もう少し待ってくれませんか?」

「ナゼ?ニンゲンハソウイッテエイエンニカワラナイ。コレイジョウウミヲオセンスルノヲミスゴスツモリはナイ。」

「分かるよ。凄く分かる。確かに自然を汚す人達はいる。たくさんいる。」

「そうね。そこは賛成するわ。」

 ウルトラレックスから出たモルフィナがウルトラレックスの言葉に賛同する。清海は黙って聞いている。ウルトラレックスは話を続けた。

「けどそんな人達だけじゃない。だから、変えてみせるよ。美しい海を、自然を、世界を、みんなが綺麗と言うように努力する。」

「•••キミヒトリノコトバデスベテガカワルトハオモエナイ。シンヨウスルニアタイシナイ。•••ガカワロウトスルイシハリカイシタ。ワタシモコレイジョウノハカイハシゼンニトッテアクデアルトハンダンシカンシニイコウシヨウ。」

「ありがとう。」

「タダシ、マタニンゲンガシゼンヲ、ウツクシイウミヲヨゴスナラバコンドコソニンゲンヲハイジョスル。」

「そうならないように全力を尽くすよ。」

 ウルトラレックスの言葉を聞いて清海は笑うと銅鐸に戻り海底に潜った。ウルトラレックスはそれを見届けると海上に上がった。海上では今から突撃しようとしているコスモスがいた。

「夢宮君!」

「夢宮!大丈夫だったか!?」

 ウルトラレックスは夢宮に変身してみんなの前に降りる。

「説得出来たよ。けど次はないってさ。」

「なんとかなったのか。」

「それより勇輝。」

「?」

「服着ろ。」

 郷田に言われて下を向く。さっき清海によって全裸にされていたことを忘れていた夢宮は顔を真っ赤にし叫びながらウルトラレックスに変身する。

 後日、環境汚染について議論され自然を壊さないよう新たな法律が作られることになるのであった。

今回登場した怪獣


怪獣名 清海

別名 自然コントロールマシーン

身長 66m

体重 9万t

特徴

海を守るために出現した自然コントロールマシーン。塔や銅鐸のような姿が特徴的。戦闘時には手足を生やして怪獣型に変形する。

 自然物以外を分解する光線や浄化作用を持つ波動、口から放つ青い光弾が武器。パワーも高く体は頑丈で高い防御力を誇る。

 片言だが人の言葉を発することができ、小型の清海を召喚して人類に警告した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ