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怪奇シリーズ 見ている

 ある日、飛鳥崎、姫樹、アリスの3人はある廃墟の前に来ていた。以前、ここに来た数人が視線を感じると報告してきたため飛鳥崎達に依頼がきた。飛鳥崎達も小遣い稼ぎにと依頼を受けてここに来た。

 3人は廃墟に入る。廃墟というだけ暗いしボロボロである。ズカズカと進む飛鳥崎に対して姫樹とアリスはビクビクしながら飛鳥崎の後ろを着いていく。

「お前ら、動き辛いから離れろ。」

「無理に決まってるだろ!」

「私もこういうのは苦手なんだ。」

 飛鳥崎は1人でもいいと思ってたのかビクビクしている2人にイライラしていた。懐中電灯で辺りを照らす。その間も2人は飛鳥崎の服を握っていた。

「お前ら邪魔!俺1人でやるから帰れ!」

「お前1人じゃ絶対問題起こす!」

「私は何故か姫樹に呼ばれただけだ。」

「勝手に決めつけんな!」

 飛鳥崎が2人を振り払う。ある部屋に入り周りを照らす。ボロボロの家具に穴だらけの壁、落ちた絵画などお化け屋敷にも引けを取らない怖い雰囲気になっていた。

「や、やべ〜な。怖すぎだろ。」

「飛鳥崎君、懐中電灯を貸してくれ。」

「あ〜、分かった分かった。」

 飛鳥崎がアリスに懐中電灯を貸す。姫樹も懐中電灯が欲しくて貸してもらおうと歩くと寒気がした。なんだろうと壁を見る。壁には大量の穴が空いている。その穴を見ているとその1つの穴から目玉がギョロリとこちらを見ていた。

「ぎゃー!」

「なんだ!?」

 びっくりして飛鳥崎に飛び付く姫樹。飛鳥崎が姫樹を引き剥がそうとする。

「なにしてんだてめぇ!」

「壁!壁!あそこの壁に誰かいる!」

 アリスがビクッとして懐中電灯を向けるが誰もいない。

「誰もいねぇじゃねぇか。」

「あの穴から誰か見てたんだよ!」

 飛鳥崎はアリスから懐中電灯を受け取り壁を調べる。けど、誰もいない。一応壁の向こうも見るが廊下だけで誰もいない。

「おい、誰もいねぇぞ。」

 飛鳥崎が廊下を進んでいく。2人も慌てて飛鳥崎を追う。アリスが足が震えて下を向いた。その時、床に空いていた穴からこちらを覗く目とがっつり合ってしまった。

「キャー!」

「なんだ!?」

「目、目が…こっちを見てる…」

 目をグルグルさせ穴を指差すアリス。飛鳥崎がその穴を照らすが何も無い。

「五月蝿えからさっさと帰れ。」

「そ、そうした方が良いな。」

「お、俺も賛成。」

 2人は飛鳥崎の言う通りに帰ろうとするが帰り道が分からなくなってしまった。2人は互いに顔を見合わせるとスタスタと行く飛鳥崎に抱き着いた。

「「やっぱり一緒に行きまーす!」」

「帰れって言っただろ!」

 飛鳥崎が2人を引き離そうとするも2人はウルウルした目でこちらを見ているので断りにくい状況になり出口を探すことにした。

「しゃあねぇなぁ。…あれ?俺達今どこにいるんだ?」

 飛鳥崎も迷っていた。飛鳥崎の発言で2人は涙目になりガタガタ震え始めた。仕方なく闇雲に探していると鎖で繋がれた部屋を見つけた。部屋の扉には御札が貼られている。

「な、なぁ。ここ絶対に開けたらダメなとこだろ。」

 飛鳥崎が聞くと2人は凄い勢いで首を縦に振った。飛鳥崎が別の場所に行こうとする。すると、御札が貼られた扉の横にある穴からこちらを覗く目玉を見てしまった。

「お前ら、さっきのことは謝る。俺も目玉見たわ。」

「「いや〜!」」

 2人は耳を塞ぎ座り込む。飛鳥崎は目玉をじっと睨む。すると、目玉はスッと消えた。

「追うぞ。」

「無理無理無理無理!何考えてんだバカ!」

「ここには得体のしれない何かがいるのだ!早急に帰ろう!」

「いや、俺達はあれの正体を調べるために来ただろ。」

 そう言って飛鳥崎は思いっきり鎖を引き剥がし御札も剥がした。

「罰当たりー!」

「飛鳥崎君!それは呪われるやつだぞ!」

「五月蝿え!犯人がこの先にいるなら追いかけてとっちめるだけだ!」

 飛鳥崎は扉を開ける。そこは地下へと続く階段だった。飛鳥崎は意を決して階段を降りる。2人も飛鳥崎を追って階段を降りた。階段の先には同じように御札が貼られた扉がある。飛鳥崎は迷わず御札を剥がして中に入る。そこには長い腕と体中に目玉が付いた怪獣がいた。

「やっぱりいたぜ犯人。お前か?さっきから俺達を覗いてた変質怪獣は。」

 怪獣はか細い声で鳴くとこちらに近付いてきた。飛鳥崎は敵意あると判断し怪獣の腹にある目をパンチした。しかし、目は瞼を閉じてガードした。そのまま長い腕を鞭のように振り回す。

「おい!怪奇現象の正体が怪獣ならお前らでもやれるだろ!」

「無理だ。その怪獣、生理的に無理。」

「同じく。」

「バカヤロー!」

 飛鳥崎が後ろで見ているだけの2人にそう言って怪獣を殴る。

「体中目玉だらけの怪獣か。ドドメドンとかどうだ?」

「名前とか付けてる場合かよ。」

 ドドメドンは目玉を飛ばす。その目玉から光線を発射した。飛鳥崎は驚きながらも光線を避け水魔法で拳を包み殴り飛ばした。すると、ドドメドンは口を開き中の目玉から光線を発射した。

「ぬおっ!」

 飛鳥崎は前転して避ける。すると、姫樹がナイトミストを装着して飛鳥崎に命令した。

「おい!そいつの口開けろ!」

「いきなり何命令してんだ!さっきまでブルブル震えてただろうが!」

「早く帰りたい!」

「納得しちまったぜチクショー!」

 飛鳥崎が走る。ドドメドンは下がりながら目玉を飛ばして光線を放つ。それをアリスが剣で弾く。飛鳥崎は真っ直ぐ進みドドメドンの口を抉じ開ける。そこに姫樹が必殺技を放った。

《サイクロンアローレイ》

 姫樹の必殺技は見事ドドメドンの口の目玉に命中し倒れる。その隙に飛鳥崎達は部屋を出た。地下から出ると既に夜になっていて月明かりが綺麗だった。飛鳥崎達は光を頼りに廃墟を出る。

「助かった〜!」

「こ、怖かった。」

 脱出出来た飛鳥崎達は早速依頼主のギルドへ報告した。その後、ギルドが調査しに行った時にはドドメドンの姿はなかったという…

今回登場した怪獣


怪獣名 ドドメドン

別名 百目怪獣

身長 3m

体重 180kg

特徴

長い黒髪、鞭のように長い腕と体中にある目が特徴的な怪獣。目玉を飛ばしたり目から光線を撃つことが出来る。口の中にある目玉が弱点。目の中には暗視や透過、サーモグラフィ、幻覚を見せる能力などを兼ね備えた目もある。ただ見るだけの怪獣で目的は不明。

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