居眠り怪獣引越大作戦!
夢宮と星雲寺と溝霧、ルギリナ、ルージュ、そしてフェーラとクニンは特訓のためある村に来ているのだが…
「これ…どうするのですか?」
田園で気持ち良さそうに寝ている怪獣を見て唖然としていた。
発端は約1時間前、ウルトラレックスは新たな形態ブレイブグリッターへの変身が出来るように、キュアリアスは巨大化が出来るように、溝霧とフェーラ、クニンは単純に強くなるためにルギリナとルージュの特訓を受けることになり人里離れた山奥で特訓しようとした。
すると、空を飛んでいたルージュが村の方で何やら騒いでいるのを確認した。騒ぎを聞きつけ村に向かうと泥塗れのデカいオオサンショウウオみたいな怪獣がぐっすり眠っていた。
「どうしたんですかこれ?」
「ああ、旅人かい。この先の湖の沼神様が突如巨大化しこの田畑で居眠りしてしまったんだ。」
「突如?」
「そうだ。昨日までは2mぐらいだったのにいきなりだ。」
(それでも充分大きいわね。)
村人からいろいろ聞いている時にフェーラが不用意に触ろうとするのを他の村人が止めた。
「触ったらダメだぞお嬢ちゃん。沼神様の皮膚には毒があるんだ。触ったら被れるぞ。」
そう言って村人が真っ赤になった掌を見せたのでフェーラは苦笑いしながら沼神様から離れた。
「それでこの辺りの警備隊はどうしたんだ?」
「一応通報はしたが沼神様を傷付けないでほしいって言ったから駆除も出来ずに名前をヌマラにしたってぐらいしか進展がない。」
「それって進展って言うのかなぁ?」
溝霧がそう言っていると警備隊と思われる人達が防護服を着てやってきた。空からはヘリの編隊もいる。どうやらヌマラを釣り上げようとしているらしい。
「下がって下がって!」
「君達は?」
「あ、WISHに所属している夢宮勇輝っていいます!」
「WISH?ああ、確かアースラタシア大陸の対怪獣組織か。」
リーダーと思われる男は夢宮達から事情を聞く。事情を聞いたリーダーはヌマラを見る。ワイヤーを使った作戦がワイヤーが切れて失敗しヌマラがまだぐっすり寝ている。
「そうだな。仕方ない。お前達にも手伝ってもらうか。」
「分かりました。」
「作戦はこうだ。ヌマラをこのルートでここにあるエルネマ湖に移動させる。ここならあの大きさでも充分に過ごせるし水質もほぼ同じだ。後は原因を探りつつ元の大きさに戻す方法を模索する。こんなところだ。」
「はい!」
リーダーから作戦内容を聞いた夢宮は息を整えウルトラレックスに変身した。それに続いて星雲寺達も怪獣に変身する。ウルトラレックスはそのまま巨大化しヌマラを押し出す。しかし、ヌルヌルしているうえに触るとヒリヒリするので苦戦していた。
「手が痒い〜!」
「なぁ、お前のサイコキネシスでなんとかなんないのか?」
「無理。デカ過ぎ重過ぎ。持ち上げれない。」
「じゃあ小さくは?」
「そんな能力ない。」
ヘリから放たれた網を使って引っ張るもまた失敗しているウルトラレックスを見て首を横に振るフェルクニモン。それからイージスラッガーで押し出したり起こそうとアンモニアを嗅がせたり一応フェルクニモンがサイコキネシスを使ってみるが全く効果がない。
「ダメだな。」
「どうします?」
「最悪火力による駆除になってしまう。」
「そんな!」
リーダーの発言に村人達が抗議する。リーダーも出来れば倒すことなく穏便に済ませたいと思っているので悩んでいた。すると、ルージュがウルトラレックスに近付き声をかけた。
「夢宮、奴を小さくするってのは出来ないのか?」
「や、やったことないですけど…」
「試してみる価値はあるわね。」
ウルトラレックスの胸から出てきたモルフィナがルージュの提案にのる。
「今のあなたならなんでも出来そうだしやってみたら?」
「そんな無茶振り…」
ウルトラレックス達が会話していると村人がヌマラが元々住んでいた湖で釣った魚を焼いて誘っていた。すると、ヌマラの鼻が少しずつ動きとうとう目を覚ました。
「え!?それで起きるの!?」
「沼神様〜!好きなサボラですよ〜!」
ヌマラは目覚めると村人達が投げたサボラの丸焼きをペロッと平らげた。しかし、大きくなり過ぎたせいか全然腹が満たされず暴れてしまった。
「ちょっと何やってるの!?」
「いや。これは逆にチャンスだ。このままヌマラをエルネマ湖に移動させるぞ。」
起きたヌマラは暴れてながらウルトラレックスに体当たりする。がウルトラレックスにダメージはなかった。ヌマラは短い手足をバタバタさせ泥をかける。それも余り効果がなかった。
「こ、こっちです!」
ウルトラレックスは下がりながらエルネマ湖に向かう。ヌマラもウルトラレックスを追いかけて移動を開始した。
「よし、このまま…」
ヌマラが他の方向へ行かないようにルージュ達やヘリで周りを囲いながらエルネマ湖へと先導する。しかし、ヌマラは長い道のりに飽きたのか突如ウルトラレックスの尻尾を噛んだ。
「痛〜い!」
噛まれたウルトラレックスは涙を流し尻尾を振り回してしまった。
「夢宮君!?」
キュアリアスが声をかけるもウルトラレックスはそれどころではない。ウルトラレックスは早く解放されたくてエルネマ湖にまで飛びエルネマ湖に突っ込んだ。そのまま小さくなって湖から出る。当のヌマラは湖から顔を出して満足そうな顔をすると湖の中へと消えて行った。
「今回、僕なんか出来ました?」
「まぁ、こんな時もある。」
「礼を言う。我々だけではもっと時間と労力がかかっていただろう。」
ぐったりしているウルトラレックスのところにリーダーがお礼を言った。
「そうですよ。結局僕は何もしてませんし。」
「わしら全員大したことはしておらんな。」
「そうね。」
「我らこれで。」
「ありがとうございます。後はこちらで調査しますので。」
ルギリナは一礼し去って行く。キュアリアス達もウルトラレックスを連れて一緒に去って行った。
「それで特訓はどうするの?」
「明日かな?」
こうして、特訓するため山奥へと向かうのであった。
今回引っ越しした怪獣
怪獣名 マヌラ
別名 オオサンショウウオ怪獣
全長 2.0〜50m
体重 125kg〜1万8000t
特徴
村の人達が沼神様と呼んでいた怪獣。大人しく危害を加える怪獣ではない。一応、体当たりや泥かけなどの攻撃方法はある。また、皮膚からは毒を出すが痒くなるだけで致死性は全くない。突如巨大化してしまった理由は現在不明。




