悪夢(トラウマ)
溝霧とヴァンキュラーの会話を陰から郷田が聞いていた。
(記憶にスクウェア?過去を食べる?溝霧のトラウマ?何なんだあのミラグライとかいう怪獣?あの幻影みたいなのは本体じゃないってことか?)
様々な疑問が脳裏に浮かぶ。しかし、考察するのほ後回しにしようと自分の仕事に戻る。溝霧もヴァンキュラーの言葉を一旦置いといて仕事に戻る。
一方、空からミラグライをスキャンして調査しているウルトラレックス達。しかし、何の反応もない。ミラグライは一切動かない。
「反応無し。ここまで反応ないと逆に怖いんだけど。」
ミラグライに不気味さを感じたウルトラレックス。すると、突然顔を覆っていたヒレが開き顔を露わにした。
「動いた!」
「マズい!例の波長だ!」
調査基地で観察していたチヒロがウルトラレックス達に退避するように命令する。それを受けてウルトラレックス達はすぐに退避する。しかし、ウルトラレックスはいきなり頭痛がして上手く飛べなくなってしまった。
(なんだ!?この頭が割れるような感覚は…)
突然の頭痛に悩まされるウルトラレックス。その異変を素早く感じたルギリナがウルトラレックスを抱える。
「どうした!おい!返事しろ!」
ルギリナが声をかけるがそれどころではない。ウルトラレックスは頭を抱えていると昔を思い出した。
初めてこの世界に来て怪獣になったこと。怪獣だからと隔離されたこと。殺人の罪を着せられたこと。
ウルトラレックスにとって嫌な思い出が突如フラッシュバックしてきた。それになんとか耐えようとしているといつの間にか頭痛が収まった。
「あ、あれ?」
「おい。どうした?」
頭痛が消えてポカンとするウルトラレックス。ルギリナも戻ったことを感じるとすぐにウルトラレックスを基地に連れて行った。
「大丈夫か夢宮!?」
「は、はい。」
心配した日比野がウルトラレックスに容態を聞く。突如頭痛がきて収まったことを報告していると空咲が溝霧を抱えてやってきた。
「大変だよ!溝霧が起きなくなった!」
「何!?」
「チーフ!」
「なんだ!?」
「怪獣が…消えました。」
「なんだと!?」
チヒロが基地を出るが既にミラグライの姿はなかった。
「一体どうなっているんだ。」
調査基地では溝霧の介抱が行われた。さっきまで苦しんでいた調査員達が何故か元気になった。そして、今苦しんで眠っているのは溝霧だけだ。
「どうなっているんだ?」
チヒロが頭を抱えていると郷田が前に出て一部始終を日比野達に話した。
「•••ミラグライ。ヴァンキュラーは溝霧にそう言ったんだな?」
「ああ。記憶を食べる怪獣だってハッキリ言った。」
「んなわけあるか…と言いたいところだが怪獣自体よく分からん能力を持っている奴が多いからな。」
溝霧の症状の原因が分かった。しかし、対処法が分からない。今までの怪獣と明らかに違う能力を使っている上に実態がないのだから戦いようがない。
手詰まり状態に困っているとルギリナが提案してきた。
「なら溝霧の夢の中へ行ってみるか?」
ルギリナの提案に日比野達はポカンとした。
「行けるのか?」
「レックス、アルティメットフォースを覚えているか?」
「確か合体魔法でしたよね?」
「そうだ。その際、意識は共有出来ただろ。それの応用でレックスの意識を溝霧の意識と合体させて記憶に巣食うというミラグライを倒す。どうだ?」
「ん〜。いい方法が思い付かない。その方法で行こう。頼めるか夢宮?」
「分かりました。」
ウルトラレックスは夢宮に変身して溝霧の隣に寝る。ルギリナが二人の頭を掴み魔法をかけた。外からではどうなっているのか分からない日比野達。
夢宮が目を覚ます。すると、知らない空間にいた。どこかの中学校みたいで夢宮は校庭にいる。周りを見ると校門に有名大学付属中高一貫校の名前があった。
(もしかして、溝霧君が転校する前に通っていた学校•••)
夢宮はそう思い学校内を探索していると声が聞こえた。その方向に行くと水泳の授業を終えた中学生達が教室に戻っていた。その中に溝霧がいた。




