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ガウマ、発進

 ある日、夢宮達はサーガノアの港にいた。日比野達はある戦艦に乗っている。その戦艦の名前は”雅馬“。かつて別の世界で皇凰院達が乗っていた戦艦である。

 夢宮達は皇凰院に呼ばれて司令塔に来ていた。この世界に来てからはサーガノアで改修されていたようで悲惨は跡は無くなっていた。

「そういえば雅馬に乗るのは初めてだぜ。」

「はい。この前改修が完了ししました。」

 皇凰院は機械を操作した。すると、夢宮の前の台座から少女の立体映像が出てきた。夢宮達が驚いて下がった。立体映像の少女は夢宮達を見回すとスカートをたくし上げ自己紹介を始めた。

『初めまして。私は雅馬搭載自律型人工知能ガウマです。』

「ガ、ガウマ?」

「何これ?」

「雅馬は元々AIを搭載した自律して動くことが出来る戦艦なんだ。」

 皇凰院の説明に夢宮達が驚く。実は雅馬は皇凰院の世界ではすでに普通となっていたAIを使った自動運転が可能な戦艦だった。そのため60人でも戦艦を動かすことが出来ていた。ガウマはそれをここでさらに改良した学習する人工知能なのだ。

「すげー!何その未来技術!」

「飛鳥崎は知ってたのか?」

「まぁな。俺達は雅馬の試行に付き合ってたから分かる。」

 日比野が飛鳥崎に聞く。凄いと思いながらガウマを見ると郷田がガウマを質問攻めにしていた。

「年はいくつ?」

『18の設定です。』

「スリーサイズは?」

『上から•••』

「言わなくていいから!」

「お前は何を聞いているんだ!」

 皇凰院が慌てて止め山瀬が殴り飛ばす。女性陣が郷田に愚痴愚痴言っていると通信が入った。皇凰院が素早く通信に出る。

「こちら雅馬!」

『沖合東100kmに巨影確認!演習中の戦艦を破壊しながらまっすぐこちらへ進行中!』

「怪獣か!」

「すぐに行きます!」

「ここからタイタンホークまで結構距離が•••」

「雅馬、発進!」

『了解しました。』

 皇凰院がガウマに指示を出す。そして、懐かしむような表情で軍帽を掴むとそれを自分の頭に被せた。

「最大戦速で旋回して東に向かって!怪獣をこの港に入れないように防衛線を張ります!」

『了解しました。』

「さすが高校生軍人。」

 いつもの違う雰囲気を出している皇凰院にみんな感心していた。そうこうしているうちに雅馬は怪獣が向かってくる警戒海域に到達した。

 到達すると早速ソナーで怪獣の位置を特定する。すると、北東に巨大な影が映った。

「距離180…170…160…」

 レーダーを便りに怪獣との距離を測る皇凰院。すると、海面に背鰭が見えた。

「鮫型怪獣か!」 

「そういえば海から来る怪獣と交戦するの初めてだね。」

 初の海戦に空咲達は緊張している。すると、怪獣が海面から飛び出して目前の戦艦に体当たりした。

 その姿は鮫のような背鰭をしたエイだった。

「エイ〜!?」

 怪獣の姿に南が驚く。怪獣は体当たりだけで戦艦に大ダメージを与えた。そのまま海中に潜る。

「海の中って戦い難いでしょ!」

「夢宮!行けるか!?」

「わ、分からないけどやってみます!」

 日比野が聞くと夢宮は返事して甲板に向かった。その後を星雲寺とルギリナが追いかける。

「行くよ星雲寺さん。」

「もちろん!」

「レックスー!」

「キュアリアス!」

 二人が叫びながら変身する。ウルトラレックスは最初から巨大化した姿になった。ウルトラレックスは大きく息を吸い海中へと潜って行く。

(初めての海だけど意外と息が続く。)

 怪獣になったことで人間より遥かに肺活量が増加した上に巨大化で一度に吸う空気も大量のためある程度潜水が出来た。しかし、巨大化自体がそんなに長くもたないので速攻で怪獣を見つけ倒すことに専念した。

「大丈夫かな夢宮?」

『こちら本部、こちら本部。』

「こちら雅馬、どうぞ。」

『怪獣の全体像が確認出来た。これより怪獣をサメマンタと呼称。以後怪獣をサメマンタと呼称する。現在サメマンタは深海約5500m地点にいると思われる。』

「あの怪獣そこまで潜れるのか。」

(あれ?あれってどちらかというとマンタじゃなくてエイなのでは?)

 そう思っても口に出さない舞沢であった。

 一方、サメマンタを捜索しているウルトラレックス。しかし、見つからない。すると、顔の周りに空気の層を被っているキュアリアスとルギリナがやってきた。

(え?何それ?)

 二人を見て驚くウルトラレックス。ルギリナはサメマンタがどこにいるかウルトラレックスに身振り手振りで聞く。ウルトラレックスはどこにも見当たらないと首を横に振る。

 その時、真下の暗い海底からいきなりサメマンタが現れた。ウルトラレックスはとっさにイージスラッガーを使ってガードするが猛スピードで向かってくるサメマンタの体当たりで一気に海面まで浮上した。

「北東210mからサメマンタ急浮上!」

 その姿は雅馬からレーダーでも捉えられていた。日比野達が目視すると水飛沫と共にサメマンタの体当たりをくらったウルトラレックスが飛んできた。そのままウルトラレックスを海中へ引き込む。

「まずくないか!?」

「早く助けないと!」

「でもどうやって?」

 サメマンタの位置はレーダーで分かる。しかし、海中での戦闘に関しては全くの素人である日比野達はどうしようと迷っていた。すると、皇凰院がある作戦を提案した。

「サメマンタを…一本釣りしましょう。」

「えぇ!?」

 皇凰院の作戦に礼崎が驚く。日比野達も声が出せず目を点にして皇凰院を見る。

「あの怪獣を?」

「はい!」

「いやいや。それこそどうやって釣るんだよ。勇輝をエサにしようって言うのか?」

「いえ。これを見てください。」

 皇凰院がある映像を見せる。虎柄の潜水艇が格納されている映像だ。

「これはサーガノアの皆さんが付けてけれた雅馬に格納された小型潜水艇”タイガダイバー“です。」

「タイガ•••?」

 郷田と堀垣が飛鳥崎を見る。飛鳥崎はそっぽを向いて黙っている。どうやら命名したのは皇凰院のようで飛鳥崎をイメージしているみたいだ。

「このタイガダイバーにワイヤー付きミサイルを付けてサメマンタの口の中に入れます。その後にワイヤーを回収しサメマンタを一本釣りします。」

 皇凰院の作戦にみんな驚いている。

「なぁ、これ誰が操縦するんだ?」

 郷田が質問する。さっきまでそっぽを向いていた飛鳥崎が前に出た。

「俺が行く。」

「え?飛鳥崎さんって潜水艇の操縦出来んの?」

「コウから教わってる。少なくともてめぇらよりはマシだ。」

「なら私も行く。」

 そこに舞沢が挙手して前に出た。飛鳥崎が嫌そうな顔で舞沢を見た。

「なんでてめぇが出しゃばるんだ。」

「あんただけじゃ心配だから。私ならジオフェニックスを操縦した経験があるから。」

「そういうことなら私も行くわ。」

 舞沢に続いて中島先生も飛鳥崎の前に出た。

「私もコスモスの操縦で慣れてるわ。」

「全然ちげぇだろ。」

「議論している暇はありません。タイガダイバーは3人乗りなので問題ありません。お願いします。」

「任せろ。」

 皇凰院が飛鳥崎にお願いすると飛鳥崎は親指を立て返事する。そのまま舞沢と中島先生を格納庫へ連れて行った。

 格納庫へ着くとタイガダイバーを整備しているベルッドや整備士達が飛鳥崎達を見て敬礼する。

「フックミサイルの設置完了しました!」

 ゴブリンの整備士が飛鳥崎に報告する。飛鳥崎達はすぐにパイロットスーツに着替えタイガダイバーに搭乗する。

「このスーツ、ぴっちり過ぎるんだけど。」

「文句言うな。」

 格納庫が密室になり海水が注入される。格納庫が海水で満たされると底が開きタイガダイバーが海へ出た。

「行くぞ、タイガダイバー!」

「それ、誰が名付けたの?」

「コウだが。」

 舞沢はジト目で反らす。タイガダイバーが海上に出るとルージュがワイヤーをフックミサイルに取り付けた。

「任せたぞ。」

「分かってる。怪獣一本釣り作戦開始!」

 ワイヤーをフックミサイルに取り付けるのが完了するとタイガダイバーはレーダーを便りにサメマンタを捜索する。

 すると、すぐにサメマンタを発見することが出来た。サメマンタはウルトラレックスを食べようと大きな口を開けて襲っていた。ウルトラレックスも負けじと踏ん張っている。その周りでキュアリアスとルギリナがウルトラレックスを助けようと攻撃を仕掛けている。しかし、いくら攻撃してもサメマンタは怯まなかった。ルギリナがサメマンタの歯を折ってもすぐに新たな歯が生えてくる。

「おい!そこどけ!」

(飛鳥崎君!?)

「今からそいつを釣り上げる!」

 特殊なスピーカーを使ってキュアリアス達に命令する。サメマンタも飛鳥崎の声に反応して襲ってきた。

「来た!」

「任せて。」

 中島先生がサメマンタの目を狙って閃光弾を発射する。閃光弾はサメマンタの目の前で爆発し眩い光を放つ。その光にサメマンタは怯み噛む力を一瞬弱めた。

「よっしゃ!」

(きた!)

「燃〜え〜滾れ〜情熱!レックスー!!」

 ウルトラレックスは怯んだ一瞬の隙をつきバーンスマッシュタイプに変身する。そして、力強くで押し上げ脱出した。

(やったー!)

「今だチビ!」

「黙ってなさい!」

 サメマンタが怯みウルトラレックスが脱出した瞬間、舞沢はサメマンタの口の中に向けてフックミサイルを発射した。フックミサイルは見事にサメマンタの口の中に入り飛び出たフックが喉に刺さる。

「成功だ!引っ張れコウ!」

「了解!ワイヤーを引いて!」

「あいよ!」

 皇凰院の指示で郷田がワイヤーを回収する。キュルキュルと音をたててワイヤーがリールに回収される。サメマンタは一瞬釣られるがすぐに引きちぎろうと深海に逃げる。

(なるほど。そういう作戦か。)

 作戦の意図を瞬時に理解したルギリナはサメマンタを弱らせるため頭に渾身のパンチした。ウルトラレックスも作戦を理解しワイヤーを掴んで引き上げる。

「いいぞ。そのまま引っ張れ!」

 パワーアップしたバーンスマッシュタイプが引き上げることでサメマンタは徐々に海上に釣られていく。そして、とうとう海上まで釣り上げることに成功した。

「成功した!」

「全主砲用意!」

 皇凰院が叫ぶ。雅馬の主砲がサメマンタに向けて狙いを定める。すると、サメマンタは口から水色の光線を発射した。

「何!?」

「任せて!」

 雅馬の前にきたキュアリアスがシールドを大きく広げて光線を防ぐ。

「撃てー!」

 雅馬が主砲を撃つ。それに合わせて他の戦艦も主砲を撃つ。光線を防ぎきったキュアリアス、隣にきたルギリナとルージュもサメマンタに向けて光線を放つ。そして、ウルトラレックスもサメマンタに向けて赤い光線を放った。

「《ボルネイト光線》!」

 みんなの光線や砲弾がサメマンタに命中する。正面にいたウルトラレックスや雅馬の攻撃が口に入るとサメマンタは膨らみ爆発した。

「よし。」

 それを見て倒したと判断した皇凰院は小さく頷くと軍帽を脱いで一息ついた。ウルトラレックスも一息ついていると時間切れになったのか体が元の大きさに戻った。

「大丈夫、夢宮君?」

「はい、なんとか。」

 二人は一緒に雅馬の甲板と着地する。タイガダイバーも浮上し海上に出ると中から飛鳥崎達が出て雅馬を見る。皇凰院がタイガダイバーからこちらを見ている飛鳥崎に気付くと笑顔でグッドポーズをした。

「良かったぁ。なんとか倒せて。」

「そう言えば私達をここに呼んだ理由はなんですの?」

 サメマンタを倒し一安心したところで小石川が皇凰院に質問した。皇凰院もその時まで忘れていたみたいでポカンと口を開けていた。そこに丁度ウルトラレックスや飛鳥崎達が戻ってきた。

「実はこのガウマをタイタンホークと連動させようと思っているんです。」

「マジで!」

 郷田が最初に驚く。その後夢宮達も驚いた。飛鳥崎と山瀬は最初から知っているようで驚いていない。

「ガウマをタイタンホークのメインシステムに連動させることで基本操縦を彼女に任せたり雅馬と連動して情報を共有させることも出来ます。」

「凄いな。」

「私は賛成!ガウマちゃんと一緒にいたい!」

「私もです。」

 皇凰院の提案に天谷とエメラナが賛成した。断る理由もないため次々と賛成する。

「そうだね。俺も一緒にいた方が楽しくなりそうだし賛成だ。」

 日比野も賛成したことで皇凰院は喜んだ。早速タイタンホークと連動させるため日比野達はタイタンホークへと向かう。雅馬で待機している皇凰院は軍帽と一緒に写真を見る。

「香太郎さん。僕は新しい仲間達と一緒に歩んでいます。だから、天国から見守ってください。」

 香太郎ほそう言って艦長席に軍帽と写真を置いてガウマのシステム連動に取り掛かった。

今回倒した怪獣


怪獣名 サメマンタ


別名 深海獣

全長 80m

体重 5万5000t

特徴

 海中を自由自在に泳ぎ獲物を捕らえるエイとサメが合体したような怪獣。突進攻撃と鋭い牙を使った噛みつき、水魔法光線が得意。海を時速200ノットで進み、背鰭で戦艦を切り裂くことも出来る。

 元々は深海に生息している怪獣のため光や振動に敏感である。尻尾の付根には猛毒が仕込まれた鋭い棘がある。

 サメマンタという名前で呼ばれているが先程説明した通り合体しているのはサメとエイである。

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