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突っ張れ怪獣大一番!

 リリスが去り静かな日々を過ごしている。みんな、サーガノアで特訓している。

「なかなかいい感じになったじゃないか?」

「そうだな。ウルトラレックスもキュアリアスも新しい戦い方を身に付けれたみたいだしな。」

 ルージュとルギリナが二人を特訓を見ていた。すると、いきなり雷が落ちる音がした。天気は晴天、雲1つない青空、しかも、雷はサーガノアの闘技場、この前リリスと対決した場所に落ちたのだ。

「なんだ!?」

『緊急警報!緊急警報!サーガスタジアムに怪獣出現!サーガスタジアムに怪獣出現!』

「怪獣だと!?」

「いきなりかよ!」

 武器を持ってサーガスタジアムに集まる兵士達。ウルトラレックス達も急いでサーガスタジアムに向かう。サーガスタジアムに入ると中央に怪獣がいた。

 黄色と黒の虎模様にカモノハシみたいな口、丁髷みたいな角、でっぷりとした体格の怪獣だった。

 ウルトラレックスは先に来ていた日比野達のところに行く。怪獣は周りをキョロキョロ見ると腹をポンッと叩いて喋り始めた。

「ここえぇとこやないかい!」

「喋った!」

「なぁ!わいと勝負せぇへんか!もしわいが勝てばここの美味そうなもん全部くれへんか!」

 怪獣は高らかに宣戦布告した。怪獣はニコニコしながら腹をポンッポンッ叩いて待っている。

「どうしますギーラさん?」

「•••侵略や破壊が目的でないうえに意思疎通が可能なら撃退する必要はないが面倒なタイプの怪獣だな。」

 ギーラが悩んでいると橘がギーラに近付いて提言した。

「ここは奴の勝負に乗って勝てば大人しく去ると思いますが。」

「う〜ん。それが一番平和的か。」

「大丈夫なのか橘?」

「大丈夫。私もそろそろ戦いたくなっていたところだ。」

 橘は日比野とギーラの許可を受けてライフルを装備して怪獣の前にやってきた。

「その勝負乗った。私が相手する。」

「おぉ!えらい別嬪さんやんけ!こりゃわいも元気になるわ!」

 別嬪さんと言われ満更でもない橘。大丈夫なのかとウルトラレックス達が心配している。

「じゃあ勝負や!わいはビリキラン!雷鳴轟かす怪獣闘士や!」

 ビリキランはパンッと手を叩くと辺りが光り出した。眩い光にみんな目を瞑ってしまう。しばらくして光が消え橘が目を開けるといつの間にか土俵の上に立っていた。そして、自分の格好を見るとまわし一丁でいた。

「う、うわぁ〜!」

 橘ほ悲鳴を上げてしゃがむ。その姿を見た日比野達は目を反らし郷田はカメラを取り出し撮影しキュアリアスが郷田を殴って気絶させた。

「じゃあ勝負やで!」

「ま、待て待て!なんだこれは!?」

「なんや?相撲を知らんのか?」

「知っている!が、相撲で勝負なんて聞いてないぞ!」

「せやな。言うの忘れてたわ。」

「それと私は女だぞ!もっとこうまわし以外に服を着させろ!」

「それやと相撲にならないで。相撲は裸と裸のぶつかり合いや。わいだってまわし一丁やで。」

「お前は元から裸だろ!」

「はよ四股踏まんと勝負できひんで。」

「参った!私の負けだ!こんな姿で勝負できるわけないだろ!」

 橘はそう言って赤面しながら土俵から出て更衣室へと消えて行った。

「や、やべぇ。ある意味ヤバい怪獣だ。」

「日比野君。」

「はい?」

「相撲ってなんだ?」

「え?」

 ギーラの質問に日比野は返答に困った。実はサーガノアに相撲なんてない。というよりこの異世界で相撲なんて流行るわけがないためほとんどの人は相撲なんて知る由もなかった。

「え、えっと。あの土俵というサークルから追い出すか相手の足以外を地面に着けさせたら勝ちという俺達の世界にあるスポーツです。」

「す、スポーツなのか?あの格好でやるのか?」

「本来は男と男の勝負なのでまわしたけなのですが•••」

 日比野がチラッと周りを見る。空咲達女性陣は勝負をしたくないと目で訴えギーラ達はルールを知らないため?を浮かべている。この状況で相撲で勝負できるのは、

「飛鳥崎、お前がやってくれ。」

「え、俺!?」

 日比野は飛鳥崎の肩を叩いて指名する。この状況で勝負できるのは相撲も知っている且つ裸を見られても平気な日比野達男子陣だけだった。その中でも格闘経験が豊富な飛鳥崎に白羽の矢が立った。

「わ、分かった分かった。俺があいつをぶっ飛ばせばいいんだな。」

「一応、相撲のルールは守れよ。」

 飛鳥崎は溜息をついて土俵に立つ。

「お、今度はあんさんが相手かいな?」

「そうだ。ってか俺達は何回勝てばいいんだ?」

「1回でええで!わいはあんさんら全員に勝つつもりでいるさかい、遠慮せんでもええで。」

 ビリキランは手を鳴らし飛鳥崎をまわし姿にさせる。すると、今度ほ両手から雷を発生させて二人の間や周りに人型を作った。

「なんだこいつら?」

「行司さんや。相撲には必要やろ?」

「あ〜なるほど。さっさと終わらせるぞ。」

「ほなっ、行きまひょか。」

 二人は位置について用意されていた塩を巻き四股を踏む。そして、お互い構え行司が軍配を上げた瞬間、同時に前に出て体をぶつけた。が、飛鳥崎よりもビリキランの方が体格が大きく飛鳥崎は弾かれた。ビリキランはそのままで飛鳥崎を突っ張りで圧倒する。

(やべぇ。強過ぎだろ。)

 飛鳥崎もなんとか突っ張りするがビリキランの圧倒的な張り手に徐々に押され最終的に顔面に張り手をくらった飛鳥崎は土俵の外に吹き飛ばされてしまった。

「わいの勝利や!」

 行司が軍配をビリキランの方に上げる。日比野達が飛鳥崎に駆け寄る。脳震盪を起こしているのか飛鳥崎はクラクラしている。

「こりゃマズい。飛鳥崎がこんな簡単にやられるなんて。」

「次は僕が行きます!」

「待って!皇凰院君はなんかダメ!」

 飛鳥崎の仇を討とうと皇凰院が土俵に向かう。それを礼崎達が全力で止める。すると、皇凰院の代わりに佐古水が土俵に入った。

「佐古水!」

「パワーで勝てないのは分かった。なら相撲のルールを利用して勝つ。」

 佐古水が土俵に入るとまわし姿になった。そのまま飛鳥崎と同じように塩を巻き四股を踏む。そして、行司が軍配を上げた瞬間、佐古水はビリキランの前で手を鳴らした。

「!」

「あれは!」

「猫だましにゃ!」

 佐古水の猫だましにビリキランが驚いたその一瞬、佐古水はビリキランの懐に入りまわしを掴み土俵の外に出そうとした。

「や、やるやないかい。やけど、わいもそう簡単に負けられまへんな!」

 ビリキランは足を踏ん張り耐えると佐古水のまわしを掴み投げ飛ばした。佐古水はそのまま背中から着地してしまい敗北してしまった。

「佐古水!?」

「大丈夫か!?」

「大丈夫だ。クソっ。モロ出しも狙ったがまわしが固い。」

「モロ出し?」

「相撲はまわしが取れる。つまり全裸になったらモロ出しという反則負けになるということだ。」

 佐古水の作戦にルージュ達が顔を紅く染める。勝利したビリキランは腹をポンポン鳴らして挑発していた。

「どうする?次誰が行くんだ?」

「どう考えても飛鳥崎や佐古水より弱い俺達が行っても瞬殺されるだけだしギーラさん達はルールを知らないし•••」

 姫樹が観客席を見るといつの間にかお酒や食べ物を用意して観戦している人達がいた。

「おい!完全に楽しんでいるぞ!」

「まぁ、本来相撲は楽しんで見るものだし。」

「今回は誰も死なないから気軽に見れるしな。」

 観客席を見て他人事かよと呆れている姫樹達。話を戻して次は誰が挑戦するか会議する。

「とにかく、相撲をある程度知っていてあの怪獣に負けないパワー持ちと考えると•••」

 堀垣の言葉を聞いた日比野達は思い出したこのようにウルトラレックス達を見た。

「そうだ!夢宮君達ならあの怪獣に対抗出来るかも!」

 礼崎が指差して叫ぶ。ウルトラレックス、キュアリアス、アルギラ、フェーラ、クニンは自分がやるのかと自身を指差した。すぐさま、女性であるキュアリアス、フェーラ、クニンは両腕を交差させ✕を作って断った。

「確かに夢宮君達なら対抗出来るし、それに•••」

 舞沢はアルギラを見て思いつく。

「溝霧君なら行けそうじゃない?」

「確かに!」

 アルギラのトゲトゲしい体なら掴めないと考えた舞沢達はアルギラを土俵に連れていく。アルギラは戸惑いながらもビリキランと相撲勝負をすることになった。

「はっけよーい、のこった!」

 今まで言ってなかったことを気絶から覚めた郷田が言う。二人は同時に飛び出し、ビリキランの張り手一発で吹き飛ばされた。

「溝霧〜!」

 一瞬でやられたアルギラに駆け寄る日比野達。

「トゲトゲ関係なかった!」

「そうか。溝霧の強さは特殊攻撃にあるから純粋なパワー勝負だと分が悪かったわ。」

 目をぐるぐる回して気絶しているアルギラを見て反省した舞沢。郷田がキュアリアスをチラリと見る。キュアリアスはまだ両腕で✕をしている。

「次は星雲寺行ってみようぜ。」

「いやよ!」

「こうなったら、夢宮、お主が行け。」

「僕!?」

「修行の成果を見せてこい!」

「相撲の修行なんてしたことないけど。」

「さっさと行けい!」

 ルージュがウルトラレックスの背中を押して土俵に入れる。

「お、次はあんさんかい?」

「み、みたいです。」

 まわしを付けたウルトラレックスがビリキランと同じように塩を巻き四股を踏む。すると、気になることがあったのか新庄が挙手して質問した。

「確か相撲って足裏以外着いたらアウトだよな?」

「せやで。」

「じゃあレックスの尻尾ほどうなるんだ?」

「もちろんアウトや!」

 ビリキランの回答にみんなウルトラレックスの尻尾を見る。尻尾は今も地面に着いている。それを見たウルトラレックスは顔を青くさせビリキランを見る。ちなみに、ビリキランの尻尾はものすごく短くピョコンと出ているだけだった。

「酷い!それなら溝霧君既にアウトじゃん!」

「せや。それわいも忘れてたわ。ありがとな!」

「あ、余計なこと言っちまったか。」

 悪いと両手を合わせて謝っている新庄をジーと見ながら尻尾を真上に上げ地面から離した。尻尾が地面に着かないようにしながら塩を巻き四股を踏む。そして、行司が軍配を振り上げた。振り上げると同時にお互いの体がぶつかり合う。

「のこったのこった!」

「頑張れ夢宮〜!」

「お前が負けたら食べ物全部取られるぞ!」

「踏ん張れ!」

 みんなの応援を受けウルトラレックスは力を振り絞る。しかし、パワーはビリキランの方が上のようで徐々に端に追い詰められていく。

「や、ヤバい。」

「これでしまいや!」

 ビリキランはウルトラレックスを持ち上げようとする。ウルトラレックスも耐えてはいるがこのままでは負けてしまう。その時、ルージュがウルトラレックスに叫んだ。

「レックス!あの時の特訓を思い出せ!」

 ルージュのアドバイスにウルトラレックスは特訓を思い出す。ウルトラレックスは巨大化させる魔法の他にも特訓していたことがある。

 その成果を見せる時が来たのだ。ウルトラレックスは体を捻らせて土俵の中央に移動する。その勢いでビリキランから逃れると両腕を前でクロスさせた。

 その瞬間、ウルトラレックスの体が燃え始めたのだ。

「な、なんや?」

「燃〜え〜滾れ〜情熱!レックスー!!」

 自身の周りに炎の渦を纏わせたウルトラレックスが両腕を左右に振り払い炎の渦を掻き消すと全身が真っ赤になっていた。

「なんや?姿が変わったかいな?」

「ルージュさん、あれはなんですか?」

「一種の身体強化魔法じゃ。パワーに全振りしたタイプ。レックスはあのタイプをバーンスマッシュと名付けたぞ。」

 新しく会得した力ウルトラレックスバーンスマッシュタイプは燃え盛る炎のような赤色をしているだけではなく所々に金の帯が走っていたり筋肉質になっていたりイージスラッガーが炎のような形をしてたりと少しずつ姿が変わっていた。

 ウルトラレックスは再び四股を力強く踏んでずっしりと構える。ビリキランも興奮して同じように四股を踏み構えた。そして、両者同時に駆け出しぶつかる。すると、今度はウルトラレックスが徐々に押し始めたのだ。

「や、やるやないか。さっきよりパワーが上がっとる。」

「す、すげぇ。あの怪獣を押し出したぞ。」

「いけー勇輝ー!」

 さっきとは違いウルトラレックスがビリキランを外へと押し出して行く。ビリキランも負けじと踏ん張り突っ張りそ始めた。ウルトラレックスは突っ張りに耐えながらまわしを掴む。

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」

「ぬがぁぁぁぁぁぁぁ!」

 お互い叫び力の限りを振り絞る。すると、ウルトラレックスがビリキランを持ち上げた。驚いたビリキランは足をバタバタさせて離れようとする。しかし、ビリキランのまわしをしっかり掴んで逃さない。ウルトラレックスはそのままビリキランを地面に叩き着けた。その瞬間、勝負が決した。

「か、勝ったぞー!」

 ウルトラレックスの勝利に大歓声が上がる。ウルトラレックスはバーンスマッシュタイプから元のスプリームドリームに戻るとヘナヘナと座り込んだ。そこに立ち上がったビリキランがウルトラレックスの前で蹲踞した。

「参ったわ!あんさんなかなか強いやないの!」

「え、ええ。」

「わいの負けや!大人しく帰るとするわ!」

 ビリキランは行司や土俵を片付けると楽しそうに笑いながら腹を叩いて雷を起こして消えて行った。

「潔い怪獣だな。」

「あんな怪獣もいるのかよ。世界は広いな。」

 こうしてビリキランとの相撲対決は終わった。

 後日、サーガノアで相撲がブームになるのだがそれはまた別のお話。

今回相撲した怪獣


怪獣名 ビリキラン

別名 雷鳴獣士

全長 1.8m

体重 154㎏

特徴

相撲と大食いが好きな怪獣。ものすごいパワーの持ち主でそのパワーから繰り出される突っ張りは1tを軽く超えることが可能。他にも両手から放つ雷撃や衝撃波を武器とするが基本使わない。好きな料理はちゃんこ鍋と餡子たっぷり饅頭だ。

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