この瞬間起こった奇跡きっと嘘じゃない
ウルトラレックスと行動を別にした直後
キュアリアスは地面から伸びる触手を避けながら飛んでいた。逃げるキュアリアスをしつこく追いかける触手。キュアリアスはどうやって振り切ろうか考えていると前から最初に会敵したプテラノドンみたいな翼を拡げた怪獣がレーザーを発射してきた。
「!?」
ギランジュラの触手に気をとられていたキュアリアスは避けきれず翼に被弾してしまった。そのまま回転しながら墜落するキュアリアス。ギランジュラはそれを見逃さず触手を向ける。キュアリアスはなんとか体勢を立て直すと回転しながらボルケーノギロチンを放って触手を焼き切った。キュアリアスは受け身をとって着地する。
「ここはどこ?」
ヨロヨロしながらも立ち上がって周りを見回す。けど薄暗く回りには太い柱しかない。近くに部屋らしきものもなくただ広いだけの廊下だった。
キュアリアスが周りを見回すと上からさっきの怪獣、下からはギランジュラの触手が襲ってきた。さらに騒ぎを聞きつけた怪獣達もキュアリアスに狙いを定めて襲ってきた。
「とにかく、ここから離れないと。」
翼をやられ飛べなくなってしまったキュアリアスは上からきた怪獣のレーザーを避けながら向かってくる怪獣達に突撃する。そのまま両手に光魔法を纏わせると先頭にいる怪獣に向けて放った。
「《シャイニング•マーブル•タイフーン》!」
キュアリアスが放った光の渦は先頭の怪獣に命中し周りの怪獣も纏めて吹き飛ばした。しかし、キュアリアスの攻撃を耐えたり避けた怪獣がキュアリアスを攻撃する。ある怪獣は角から光弾を連射しある怪獣は口から火炎を吐きプテラノドンみたいな怪獣が上からレーザーを発射した。
それに対しキュアリアスは冷静に六角柱のシールドを張って防ぐと全身を光らせて真上にいる怪獣に向かって光を放った。
「!?」
いきなりの攻撃に避けれずに命中した怪獣はそのまま爆発した。それを見た怪獣はキュアリアスから距離をとった。
(おかしい。あの植物怪獣が襲って来ない。)
息を整え少し落ち着いたキュアリアスが不思議に思った。さっきまで執拗に攻撃してきたギランジュラがキュアリアスが墜落してから一切攻撃してこなかった。
キュアリアスは周りをキョロキョロ見回してギランジュラを探しているとどこからかグランウィザードの声がしてきた。
「面白いことになったぞ。人類、いや全ての種族が二人を救出するためにこの世界に乗り込んできた。さぁ、戦争を始めようじゃないか!」
「みんな、来てくれたの。」
自分達を助けに来てくれたと知ったキュアリアスは喜び涙を流した。涙を拭き取り怪獣がいない方向に行こうとした瞬間、真下から触手が現れキュアリアスを襲ってきた。それをキュアリアスはあっさり避けた。
「今の私にその程度の不意打ちは効かないよ!」
キュアリアスは襲ってきた触手を光の剣を作って切り落とした。すると、キュアリアスの周りを囲むように触手が地面から現れ真上に伸びた。
キュアリアスがどこからくるのか警戒していると真後ろから殺気を感じた。前転して避けるとテラでスパンダーやヴァンキュラーと共に襲撃してきたケモミミの少女が鋭い爪で攻撃してきた。
「ねぇ、あなたテラにいたでしょ?」
「•••」
キュアリアスの質問に沈黙で答えた少女はキュアリアスを睨んだまま近付くと手甲から鋭い爪を生やして走ってきた。キュアリアスも光の剣で受け止め対抗する。しかし、獣のような動きで縦横無尽に駆け回る少女にキュアリアスは苦戦していた。そこにギランジュラの触手も攻撃してくる。少女はギランジュラの触手を木々を駆ける猿のように移動すると姿をくらました。
キュアリアスがどこから攻撃がくるのか分からないまま警戒していると触手の壁の向こうから光線が触手を破ってキュアリアスを攻撃した。
「!?」
赤黒い光線が来た方向を見るとロボット怪獣がこっちに狙いを定めていた。
「何あれ?ジェノジュファーやあいつが作った怪獣とは違う。けど似てる。」
ロボット怪獣は右腕の剣が付いていたライフルを向けて連射してきた。キュアリアスはとっさにバリアで防ぐが少女が後ろからキュアリアスの背中を斬って攻撃した。
「ぐっ!」
キュアリアスがよろけるとロボット怪獣は左腕の鉤爪付きの砲口から赤黒い光弾を発射した。光弾はバリアを割ってキュアリアスに命中した。キュアリアスも倒れないないようにしながらその場を離れようとするが地面から伸びたギランジュラの触手がキュアリアスの足に絡みつく。
「しまっ•••」
足を封じられ動けなくなってしまったキュアリアスにロボット怪獣が追撃してくる。そこに他の怪獣もやってきて火炎や雷撃でキュアリアスを襲う。
そして、キュアリアスが弱ってきたと判断したギランジュラが彼女を触手で拘束しロボット怪獣が胸から大砲を出した。その大砲にエネルギーが溜まるとキュアリアスを包み込むほどの特大の光線を放った。
「まだ!まだここで•••」
キュアリアスは口から光線を吐いて応戦するも威力が桁違いなためロボット怪獣の光線がキュアリアスの光線ごと彼女を包み込む。
(諦めたくない!)
その時、不思議なことが起こった。キュアリアスの体が燃え始めたのだ。彼女はまだ諦めてはいない。その思いが奇跡を起こしたのか、怪獣としての能力なのか、偶然なのかは分からない。キュアリアスは全身を燃やすとギランジュラの触手を焼き飛び立った。
その姿が変わっていた。神秘的な黄色と白の身体にはT字型の角、鋭い翼、ピンクのリボン、レックスタイマーに似た水晶体が付いていた。
新たな姿になったキュアリアスを見てもロボット怪獣は驚かず赤黒い光弾を連射して攻撃した。それを腰から出ているリボンの帯で払うとステッキを出して先から白い光を放った。
「《ミラクル•フレッシュ•ウェーブ》!」
光はロボット怪獣とその周りにいる怪獣を包み込み爆発した。キュアリアスは急いで外に出ようとすると少女とギランジュラが上下から挟み撃ちしようと攻撃してきた。それをリボンの帯から出したバリアで防ぐとボルケーノギロチンでギランジュラの触手の壁を焼き切った。
(とにかく上へ。)
キュアリアスが上を向くとさっきの攻撃を耐えていたロボット怪獣がミサイルを発射して攻撃してきた。そのミサイルに少女が乗ってキュアリアスに迫ってくる。すると、キュアリアスはものすごいスピードで翻弄しミサイルを全て避けた。
「!!」
キュアリアスのスピードに驚いた少女はジャンプして風の刃を放つがそれも全て避けた。そのまま天井から伸びるギランジュラの触手に向かって全身を燃やして突撃した。
「《ボルケーノ•ダイナマイト•ストライク》!」
金色に燃えたキュアリアスはギランジュラの触手を瞬く間に燃やし尽くし天井を突き破り続け遂にグランドームから脱出することが出来たのだった。