闇が怖くてどうする
ウルトラレックスがスパンダーと交戦しているとそこにマスターオロチが現れた。龍の装飾が施された立派な薙刀をクルクル回してスパンダーに近付く。
「苦戦してるのかスパンダー?」
「マスターオロチ。」
「またなんか来た。」
(なんだこいつ。今までの怪獣と違う。殺意も敵意も感じない。)
郷田が最初に構える。日比野もマスターオロチを警戒しすぐに剣を構えるとフェルクニモンが震えながら直立しているのが目に入った。
「フェーラ、あの怪獣もカースロードと同じか?」
「うんそう。マスターオロチ。ボスに直接仕える四天王の中で二番目に強い怪獣。」
「ちなみにカースロードは?」
「四番目。」
「嘘でしょ。」
カースロードが四天王の中で一番弱いと知った空咲は顔を引きつらせる。さっきまで苦戦していて相手より強い怪獣が目の前にいるのだ。
マスターオロチはスパンダーに下がるように指示するとスパンダーはグランドファングにも下がるように指示しながら大人しく下がった。
「さて。よく来たな勇ましき者達よ。ここからは俺が相手しよう。」
マスターオロチは薙刀の真ん中を持ったまま肩に担ぎかかってこいと挑発した。
「1人で相手する気?」
「気を付けろ。四天王ならかなり強い。一斉に行くぞ。」
日比野達は武器を構えゆっくりと陣形をとる。そして、一斉に攻撃した。チームマーリンが射撃を始めるとそれに合わせてチームアーサーは右、チームガウェインは左、チームパーシヴァルは後ろ、ウルトラレックスとチームグィネヴィアが上から攻撃する。
しかし、マスターオロチはまず日比野達の斬撃を受け流し空咲を柄で突き飛ばすと薙刀の端まで滑らせて持つと郷田のライフルを真っ二つにした。後ろから来た飛鳥崎の拳を肘打ちで相殺すると腕を掴み堀垣に向かって投げ飛ばした。その間、上からの射撃を避けている。
「クソッ!全然当たらねぇ!」
弾が当たらないことに業を煮やした姫樹がビームソードに持ち替えて上から切り込む。マスターオロチはそれを避けジャンプして姫樹より高く上がると踵落としで姫樹を地面に落とした。
「なんだこいつ強ぇ!」
「落ち着け!陣形を崩さず常に攻撃し続けろ!奴の隙を作るんだ!」
日比野、佐古水、山瀬が同時に接近する。すると、マスターオロチは薙刀を地面に刺しポールダンスのように薙刀の周りを回りながら3人を蹴り飛ばした。そのまま薙刀の乗ってジャンプするとウルトラレックスに蹴りを入れた。ウルトラレックスを蹴り飛ばしたマスターオロチは落下と同時に接近したベルッドを殴り飛ばし薙刀を回収すると回転しながらアリスの剣と皇凰院の拳銃と朝比奈の杖を破壊した。
「ヤバっ!」
余りの強さに南が距離をとろうとするが一瞬で距離を詰められ足をかけられ転倒してしまう。そのまま持っていたクナイを薙刀で破壊されると首に一撃を入れられ気絶してしまった。
そこに小石川が狙撃するが避けるか薙刀で弾き返されてしまう。小石川も避けながら狙撃するとマスターオロチは弾き返すと同時に破壊したアリスの剣先を拾って投げた。剣先は避けた小石川の狙撃銃の銃口に命中し狙撃銃を破壊した。
「どうしたフェルクニモン?お前は参戦しないのか?」
「•••」
マスターオロチは怯えて動けないフェルクニモンに聞く。フェルクニモンも攻撃しようとはしたが乱戦になっているところに中々超能力で援護が出来ずあたふたしている。それに彼女達にとってマスターオロチはカースロードと同じ畏怖の対象であり圧倒的な力を見せつけられた今一対一で敵うわけないと思ってしまった。
それを感じたマスターオロチは一瞬でフェルクニモンに接近して薙刀で首を打ち気絶させた。
「お見事です。」
それを見たスパンダーは感激していた。すると、飛ばされていたウルトラレックスがレクシウムブラスターを放ちながらやってきた。マスターオロチはそれに対し薙刀を大きく振り払いレクシウムブラスターを真っ二つにした。
「嘘•••」
「強すぎだろ。」
「しかもムカつくことにこいつ、一切魔法や怪獣の能力使ってねぇ。」
そう。マスターオロチはこの戦いで使っていたのた薙刀と体術だけである。それなのに圧倒的な強さを誇るマスターオロチに飛鳥崎が愚痴を言う。
「そうだ。俺が使ったのはグランバレス帝国式槍術のみ。まぁ、そのグランバレス帝国もとっくに滅亡しているがな。」
「何なんだよ。」
マスターオロチに圧倒されあっという間に満身創痍になってしまう。すると、ウルトラレックスが来になったことを質問した。
「もしかして、元人間?」
「そうだ。俺は元グランバレス帝国騎士団長だ。」
「なるほど。怪獣の姿で人間として戦う。ジャギュラみたいだな。」
「人としての戦闘が身にしみているのだよ。」
マスターオロチが元人間と知った佐古水は格闘のみで自分達を圧倒したことあるジャギュラこと愛条崎博彦のことを思い出していた。
マスターオロチは佐古水の言葉に頷きながら一通りウルトラレックス達を観察すると喋り始めた。
「個々のチームとしての連携に関しては問題ない。が、全体のチームとしての戦闘経験が少ないのかそれぞれがそれぞれの強みを消してしまっている。仲間に被弾しないように立ち回っているのは素晴らしいがそれを意識しずぎて行動が遅れている。まずはチームをシャッフルし仲間の動きに慣れるところから始めてみたらどうだ。」
なんと敵である自分達に対してアドバイスを始めたのだ。しかも、さっきの攻防の中で問題点や改善点、その方法を考えていた。
「おいおい。敵に塩を送る真似なんかしていいのかよ?」
「問題ない。それに俺は人間だった頃から教えるのが好きだったからな。」
マスターオロチは気軽に受け答えしてくれる。すると、ウルトラレックスやマスターオロチがきたゲートからまた怪獣が現れた。
「どうだマスターオロチ。中々楽しめれそうか?」
「まだあなたの期待に添えることは出来ないでしょう。」
現れた怪獣を見た瞬間、ウルトラレックスは震え出した。その怪獣こそ全ての元凶であるグランウィザードだったからだ。