再会 クラスメート
グランドファングに連れられた勇輝と友子は森を抜けることができた。森を抜けると遠くに村があるのが見えた。
「やったー!村だ!」
喜ぶ二人だが、少し走った後に互いを見て落ち込んだ。
「あの、この体で村に行ったらどうなるんですか?」
「十中八九殺されるな。」
グランドファングの言葉に二人とも、膝をついた。
「どうしよう。」
「簡単だ。あの村を襲い全て奪う。」
「待って待って待って待ってください!」
村に向かうグランドファングを全力で止める勇輝と友子。
「何でいきなりそんな物騒な考えをするんですか!?」
「そういや言ってなかったな。そもそもこの世界は人間や亜人、魔族と怪獣の間で戦争が起きている。だから、相手を殺して物資を奪うのだ。」
「戦争!?」
「だからっていきなり私達を巻き込まないで!」
「そうか。ならお前達も俺達のところに来い。」
「「え?」」
「その見た目じゃ人と一緒になんてとてもじゃないが無理だ。俺達ならお前達を歓迎するぞ。」
グランドファングの提案に少し困る二人。確かに怪獣の見た目じゃ普通の生活はできない。けど、怪獣として戦争に参加したくないのも事実。どうしようか悩んでいるとグランドファングが声をかけた。
「なら、そこで見ているといい。お前達は何もしなくて大丈夫だ。」
そう言ってグランドファングは村に向かった。
村では村人の一人がグランドファングを見つけた瞬間、急いで鐘を鳴らした。
「怪獣だ!怪獣が現れたぞ!」
グランドファングの出現で村はパニックになり、村人達は逃げだした。グランドファングは逃げ遅れた少女に目をつけると少女に爪を振り下ろした。
少女が目を瞑った瞬間、勇輝が少女の前に立ちグランドファングの爪を受け止めた。
「・・・やっぱり人を襲うのは間違ってます!戦争とかは全然分かりません。ですが、目の前に助けを求める人がいるならば、僕はその人達の力になりたい!」
「例え、人に嫌われ迫害される結果になるとしてもか?」
「その時はその時に考えます。」
「そうか。」
グランドファングは力を入れ勇輝を押し始めた。勇輝も押されないように耐えるが力及ばず押されてしまう。
その時、グランドファングに馬に乗った女騎士が槍で攻撃した。グランドファングは下がって避け、その女騎士を見ると他の方からも人達が来た。
勇輝がその人達を見ると勇輝のクラスメート達だった。
「え、みんな!」
勇輝は駆け寄ろうとしたが、自分の姿を見て戸惑い始めた。その隙にグランドファングは女騎士から距離をとり見ていた。
「失敗か。また出直すとしよう。」
「お前、話せるのか。」
女騎士の問いかけに答えることなく、グランドファングはそのまま去って行った。残った女騎士は勇輝に剣を向けた。
「貴様は?」
「ぼ、僕は夢宮勇輝って言います。ここにきた時にはこんな体になっていたんですけど、人間です!」
「そうか、君もか。」
女騎士は剣をしまい、後ろにいたクラスメート達に声をかけた。
「君達の中に夢宮勇輝って子を知っている者はいるか?」
「え、夢宮君!?」
女騎士の問いかけに真っ先に反応したのは僕のクラスの担任、中島藤子先生だった。
「嘘、あなたまで怪獣になってしまったの!?」
「えっと、実は。」
勇輝が言葉に詰まっていると友子が恥ずかしながら藤子に近づいた。
「あの、私は星雲寺友子です。」
「嘘、星雲寺さんまで!?」
二人の姿に戸惑いを隠せない藤子。それは、方のクラスメート達も同じだった。
「とりあえず、詳しい話は船の中で聞こう。」
そう言われて僕達は船に向かった。
怪獣名 グランドファング
身長 250㎝
体重 200㎏
特徴 全身に付いている口みたいなものと百足みたいな尻尾