奇跡のような確率
マルチワールド
グランウィザードから逃走下ウルトラレックスとキュアリアスは暗い通路を飛行している。辺りは薄暗いが通路自体はギガヒュドラも通れるぐらい広かったため飛行に問題はなかった。
二人が飛びながら逃走していると後ろから甲高い鳴き声がした。その声はだんだん大きくなり声の主が分かった。プテラノドンみたいな翼を拡げた怪獣が猛スピードで追って来た。怪獣は二人を見つけると口からレーザーを発射して攻撃して来た。
「危ない!」
二人はとっさに左右に避けた瞬間、地面から大量の蔦が現れ二人の間に壁を作り引き離した。
「星雲寺さん!」
「この触手は•••」
キュアリアスは思い当たる節がある。そう、この触手はギランジュラの触手だ。キュアリアスは襲って来る触手を避けながらボルケーノギロチンで触手や壁を攻撃していると怪獣が集まり始めた。
一方、ウルトラレックスの方にもさっきの怪獣の他にも多数の怪獣が現れた。
「星雲寺さん!後で会いましょう!」
「うん!気をつけてね!」
「はい!」
ウルトラレックスは返事すると怪獣達の攻撃を避けながら壁から離れた。しばらく攻撃を避けながら逃げていると眼の前にいきなり怪獣が現れた。マジシャンみたいな格好をしている怪獣はマントの中から怪獣を出してきた。
「お初にウルトラレックス。我が名はブラックシャーマン。あなたを生け捕りにしてNo.2の座をいただきましょう。」
「新手か。」
ウルトラレックスはブラックシャーマンが出した怪獣達の猛攻を避けながらブラックシャーマンに接近しレクシウムブラスターを発射した。
すると、ブラックシャーマンはマントを翻して消失した。どこに行ったのか飛びながら探していると突然ウルトラレックスの真後ろに現れたブラックシャーマンが両手から黒い波動を放ってウルトラレックスを撃ち落とした。
「!?」
ウルトラレックスは地面に墜落してしまった。ゆっくりと着地したブラックシャーマンはマントからカラスみたいな怪獣を出して攻撃するように指示した。カラスみたいな怪獣はブラックシャーマンの指示通りにウルトラレックスに向かって鋭い嘴を突き刺そうとした。その時、ウルトラレックスが間一髪で嘴を受け止めた。
(やはりあの程度では倒れないか。)
ウルトラレックスは嘴を掴んだままスターライトストレートでカラスみたいな怪獣を殴り飛ばして倒した。その様子を見たブラックシャーマンはニヤニヤしながら拍手した。
「ブラボー!さすがナンバーズを倒してきただけはある。それではお待ちかね。楽しい楽しいマジックショーの始まり始まり〜!」
ブラックシャーマンは指を鳴らした瞬間いきなり周りが燃え始めた。ウルトラレックスが炎に気を取られていふとブラックシャーマンは瞬間移動を繰り返し鳩みたいな炎、爆発するトランプ、ナイフなどを使って攻撃を始めた。
防戦一方になってしまいブラックシャーマンの攻撃に苦戦していると次々と怪獣達が集まり始めた。ウルトラレックスはブラックシャーマンの攻撃を避けるとイージスラッガーを自身の周りに展開させ全方位に光線を発射した。
「おっと。」
ブラックシャーマンが光線をかわした瞬間、ウルトラレックスはブラックシャーマンから離れ近くにいた怪獣の頭を踏み台にして飛んで逃げた。
「おやおや。逃げ足は速いですね。」
ブラックシャーマンは感心しつつすぐに瞬間移動してウルトラレックスに追いついた。
「無駄ですよ。あなた達がここから脱出できる可能性は1万分の1、いや1億分の1以下です。そう簡単に奇跡は起こらないものですよ。」
「それでも0じゃないなら諦めない!」
ウルトラレックスはトランプを出したブラックシャーマンの両肩を掴み口から光線を発射して吹き飛ばした。そのまま怪獣達の追撃から逃走する。
それからしばらく飛びながら逃走を試みているが1体1体がかなり強く相手をすれば時間と体力を消耗してしまうだけになってしまうので逃走を優先している。
「怪獣の数が多いうえに強過ぎる。特にあの怪獣。」
そう言ってウルトラレックスはある怪獣を見た。その怪獣は頭部と両腕が槍みたいになっている怪獣で絶妙な距離を保ちながら槍を突き刺して攻撃してくる。
「あの怪獣、自分の攻撃範囲以外は防御に徹している。それに機動力も高いから逃げきれない。」
ウルトラレックスは槍の怪獣から逃げていると前から肩から4つの首が生えている怪獣が現れた。怪獣はウルトラレックスをロックオンすると口から光線を発射した。
ウルトラレックスは光線を避けると前にいる怪獣にキックして倒す。次に壁を走りながらこっちへ向かって来る槍の怪獣に向かってイージスラッガーを飛ばして攻撃する。怪獣は両腕の槍で防御するとウルトラレックスは怪獣に体当たりして吹き飛ばした。
そのまま逃走しようとすると目の前に着物姿で刀を持った男ベンケイが現れた。それと同時にウルトラレックスの後ろから全身が燃えている怪獣、以前スパンダーと共にテラを襲撃していたイフリードが現れた。
「待ってたぜぇ!」
「一度お前と対戦してみたいと思ってたところだ。」
前後から同時に斬りかかるベンケイとイフリード。ウルトラレックスはイージスラッガーでイフリードの剣を防ぐとレクシウムソードを出してベンケイの刀を受け止め鍔迫り合いをした。
「何を信じている?ここに援軍が来る可能性は0に等しいぞ。」
「•••奇跡が起きること。」
「そう簡単に奇跡など起きるわけがないだろ。」
鍔迫り合いしているとどこからか声がした。聞き覚えのある声に反応してその場を離れるとさっきまでいた場所に光線がきた。ウルトラレックスが光線が放たれた方向を見ると声の主であるジェノジュファーがいた。
「No.5と同意見だ。」
また声がした。すると、ウルトラレックスの後ろの空間が割れゴルゴドゥーザとイリュテラスが現れた。
「貴様を生け捕り二して俺様の実験に使ってやろう。」
「いやいや。私のコレクションに加えましょう。」
「下がってろ。こいつは俺の獲物だ。」
いきなり現れたナンバーズに加えさつき倒した槍の怪獣やブラックシャーマンまでもが合流してしまいウルトラレックスは怪獣達に囲まれてしまった。
(どうする!?)
じわじわと逃げ場を奪われるウルトラレックス。すると、ナンバーズが周囲をキョロキョロし始めた。
「?」
「おい。どういうことだ?」
「誰だ?ゲートを開けたのは?」
ナンバーズが周囲を見回しているとグランウィザードの声が鳴り響いた。
「面白いことになったぞ。人類、いや全ての種族が二人を救出するためにこの世界に乗り込んできた。さぁ、戦争を始めようじゃないか!」
「なるほど。手引きしたのはNo.2かそれとも•••」
「どっちにしろ殺す数が増えただけだ。」
「そうだ。新しい実験の成果を試用するいい機会だ。」
ナンバーズは向かってくる人類に対抗するためその場から去って行った。
「みんな•••」
助けがきたことを知ったウルトラレックスは歓喜の涙を流した。それを気にせず他の怪獣達が襲ってくる。ウルトラレックスは涙を拭うと怪獣軍に勇ましく向かって行った。