きめられたじぶんのストーリー、あらがうたびきずくヒストリー
グロブシンをなんとか倒した二人は息を整えてグランウィザードとカースロードを見る。二人からは光の粒子が消えている。
「見事!やっぱり生で見るのが一番分かりやすい。」
グロブシンを倒した二人にカースロードが拍手を送った。グランウィザードも満足そうに笑っている。
「さて、教えてもらうよ。」
「そうだな。まずは最初の質問。何故、こいつらが生きているのか。その答えがこれだ。」
そう言ってグランウィザードは何もないはずの空間からさっき倒したグロブシンを蘇らせた。しかも、斬り落としたはずの腕と尻尾も再生している。
「な、何それ。卑怯過ぎない?」
「これが俺の能力の1つ。死んだ奴の魂を元の形にして蘇らせる技だ。」
「そ、そんな・・・」
グランウィザードの能力に二人は絶望した。今まで苦労して倒した怪獣達が簡単に蘇るということはグランウィザードを倒さない限り他の怪獣を倒しても無意味だということが分かったからだ。
「そして、2つ目の質問。お前らが怪獣になった理由だがそれは実験に成功したからだ。」
「は?それどういう意味?」
「実験って何?」
キュアリアスが聞くとグランウィザードは丁寧に説明を始めた。
「俺は異世界に干渉する能力がある。この能力と死んだ奴の魂を使って蘇らせる能力を使って異世界で殺したお前らをあの異世界に運んで蘇らせた。その時にお前らに俺の遺伝子を植え込んだ。」
「「!?」」
グランウィザードの説明に驚いた二人は説明の途中でグランウィザードに突っ掛かった。
「それどういうこと!?異世界に干渉?私達を運んだ?それインチキ過ぎるでしょ!?」
「それになんで僕達だけに遺伝子を?」
「まぁ話は最後まで聞け。そもそも遺伝子はお前ら全員の魂に植え込んだ。」
「な!?」
「その結果、魂と遺伝子が上手く融合し怪獣化したのがお前らだったってことだけ。」
「そんな・・・」
グランウィザードの説明に二人は驚愕した。なんと、自分達だけではなく日比野達いや、異世界に転生した全ての魂に怪獣になる遺伝子を植え込んだと言ったのだ。
「今までやった実験で怪獣化に成功したのは約18%、その中で理性を保てたのが23%。お前らの時は一番いい結果となった。怪獣化したのが4体、理性を保てたのが3体は素晴らしい結果と言えよう。これで質問には答えた。」
グランウィザードは質問に対する解答を終えると二人に近付いた。二人は事実に動揺している。グランウィザードはニヤリと笑うと腕を伸ばした。
「さぁ来い。お前らは今までで怪獣化させた中で最高傑作だ。俺達のところで戦争をしようじゃないか。」
グランウィザードが勧誘してくる。ウルトラレックスは勧誘の言葉の中で気になったことを質問した。
「戦争・・・なんで異世界にまで戦争をする?」
「ん?簡単だ。戦争こそが俺が生きていると実感できるからだ。」
「は?」
「俺は戦争のために生まれた。戦争こそが俺の生き甲斐なのだよ。」
グランウィザードの言葉を聞いた二人は顔を下に向けた。そして、顔上げグランウィザードの腕を振り払った。
「「嫌だ!」」
「ならどうする?お前らはすでに人間ではない。どの世界にもお前らを理解する者などいない。いや、いなくなる。それでも抗うか?」
「もちろんよ!あんたが勝手に決めたルールになんて従うわけないでしょ!」
「僕は、いや僕達は抗うよ。そんな戦争の歴史なんて変えてみせる!」
「やってみろ。」
グランウィザードは抵抗しようとする二人に対してハサミを開けた瞬間、二人は同時に飛んで空いていた道を通って逃走した。




