宗教は全てを救わない
ウルドセイザーに向かうタイタンホーク内部
「どうしました?」
トゥルディス教を調べていると日比野がモニターに映るスピーチ中のフィディスをルギリナが睨んでいることに気付いた。
「いや。私はトゥルディス教が嫌いなだけだ。」
「へぇ、気になるのぉ。」
ルージュが郷田の頭に乗ってルギリナを見てニヤニヤしながら聞いてくる。ルギリナはルージュを見て再びモニターを見ると話始めた。
「私の兄がトゥルディス教信者だ。」
「・・・」
「言葉が通じる怪獣なら共存できると信じていた。あの時も言葉の通じる怪獣なら共に生きれると思って出発した。その結果があれだ。」
ルギリナが話した過去にさすがのルージュもニヤニヤを止めて真剣に聞いていた。ルギリナの父であり当時魔王だったゲルゼラとルギリナの兄だったイグロスは昔怪獣討伐に出向した時ジェノジュファーに惨殺されていた。
「・・・だから私は怪獣と共存なんて絵空事を言っているこの宗教が嫌いだった。この宗教のせいで兄が、父が死んだと思うと・・・」
「それは違うよ。」
ルギリナの話に夢宮が入ってきた。
「確かにひどい怪獣はいた。共存なんてできない怪獣もいた。けど、みんな仲良くなんて綺麗事かもしれないけど素敵だと思うよ。実際、僕達はいろいろな怪獣とも共存できてるよ。」
「ヒュプシュタオゼントフースともな。」
夢宮の話に新庄も乗ってきた。実際、夢宮達は様々な怪獣と出会ってきたが倒してきた怪獣もいたが共存ができた怪獣もいた。そして、夢宮、星雲寺、溝霧は怪獣となっても今日比野達と一緒にいる。
「・・・そうだな。私も考えは改めた。が、やはりトゥルディス教は好きになれん。そもそも何故侵略や殺戮を繰り返している奴らのNo.1が共存なんて謳っているのか不明だ。」
ルギリナの言うことも一理ある。何故ナンバーズのNo.1と思われる怪獣が人間と怪獣の共存を宗教に取り入れているのか分からなかった。
「それは本人に聞こうぜ。それより、トゥルディス教って今信者が80億人以上いるって俺達が元いた世界の総人口より上じゃねぇか!」
慣れたのかルージュを頭に乗せた郷田がネットでトゥルディス教を調べていた。
「元々この世界には約120億人の人間と魔族がいるの。そのほとんどの人間と少しの魔族がトゥルディス教なのよ。」
「なんせ、身分、種族問わず誰でも簡単に入信できるうえに教皇様があのお人柄だからな。絶大な人気があるわけよ。」
郷田の調査に風間と新庄が付け足した。トゥルディス教の強大さを知ると同時に今から相手する怪獣に緊張してきた。
「どっちにしてももう戻れない。例え彼が人間として素晴らしい人だとしても敵対する怪獣なら倒さないとならない。」
フィディスと出会ったことがあり彼の人柄も知っている日比野はモニターを見て思うところがある様子だったが決意したようで自分の意志をみんなに話した。
「あと半日でウルドセイザーに到着するぜ、リーダー。向こうにはとっくに手続きは済ませてるから到着したらすぐ作戦決行できるぜ。」
「分かりました。」
日比野はみんなに休むように言うと自室へ戻った。
そして、半日後タイタンホークは英獣勇極祭で賑やかになっているウルドセイザーに到着した。