信疑
「トゥルディス教教皇のフィディス・キリエロファントが私達のNo.1よ!」
フェーラの発言で夢宮達は動揺した。
フィディス・キリエロファント。この異世界唯一の宗教であるトゥルディス教教皇であり過去何度も夢宮達と出会っていた。
「嘘を言うな。」
「嘘じゃないよ。」
ヒジリが詰め寄るがフェーラは余裕な態度を見せ答えた。その後ろでアリスが震えている。彼女だけではない。この中には何人ものトゥルディス教信者がいる。自分が信じていた宗教のトップが怪獣、しかも敵対している組織のトップクラスと言われたのだから無理はない。
「じゃあ、トゥルディスの怪獣としての姿、能力は?」
「知らない。私達もこの前初めて知った時も人の姿だったし。まぁ、そのおかげでフィディスって分かったわけだけどね。」
これ以上尋問しても意味がないと判断したのかヒジリは二人に再び目隠しをさせると夢宮達と一緒に部屋を出て行った。
オペレーションルームに着くとすぐに会議を始めた。
「お前らはあの女の発言を信用できるか?」
「私は無理ですね。私自身トゥルディス教信者ってのもありますがあの二人は彼らを騙して侵入した怪獣です。助かるために嘘を言っている可能性があります。」
ヒジリが聞くと近くにいた男が最初に発言した。彼の意見と同じ者が多くみんなフィディスが怪獣だと信じることが出来なかった。
「私も同意です。」
「私も信じれません!」
周りが賛同していく。夢宮達も同じ気持ちだった。以前、フィディスはメカギルザが暴走した時に共に戦ってけれたり、夢宮達に怪獣から人間へ戻る術を教えてくれた。そんな彼が敵になるなんて考えられない。
すると、佐古水が挙手した。みんなが彼を見る。ヒジリが何かと聞くとある提案をした。
「ダメ元で本人に聞いてみたらどうだ。」
「は?」
「あいつの発言が真実かどうかを調べてから決めても遅くはないだろ。」
佐古水の提案に最初は誰も何も言わなかったが最初に郷田が賛成した。
「確かに頭ごなしに決めつけるのはまずいかも。だからよぉ、まずは調査するってのもありじゃないかなぁ?」
「あんた、まだあの女の味方するつもり?」
「い、いや~。」
星雲寺に図星をつかれ目線をそらせる郷田。そんな郷田に日比野も賛同した。
「確かにそう簡単に決めつけるのも危険だ。ヒジリさん、私達に調査をお願いできませんか?」
「私は構わん。それに調べるなら丁度いい。」
「?」
ヒジリはそう言ってハテナを浮かべた日比野にあるスケジュール表を渡した。
「一週間後にこの世界最大の街ウルドセイザーで毎年ウルドフェスティバル、別名“英獣勇極祭”という大規模な祭りがある。フィディスも毎年参加しスピーチをする。その時が一番のチャンスだろう。」
「分かりました。ありがとうございます。」
こうして、日比野達WISHはフェーラの発言が本当なのかどうかを調べるために復興の手伝いをしながらトゥルディス教の資料を集めるのだった。