亀裂
AVRオペレーションルームに日比野達がいた。スパンダーが言っていた次にくると思われるNo.2の情報をヒジリ達と共有していた。
「それは本当か?」
「はい。溝霧が言ってました。」
「信用できるのか?奴はお前らのクラスメートだがスパンダーの手下でもあるんだろ?」
「はい。俺は信じます。」
「・・・まぁ、情報が少ないからそいつの発言を信用する方向で行こう。」
ヒジリがそう言ってくれたが日比野はまだ不安に思っている。実際、溝霧はスパンダーと共にテラを襲撃し格納庫を破壊した。幸い死者は出なかったがタイタンホークがまたしばらく修理しないといけない状態になっていた。
日比野が溝霧の信頼を取り戻したいと考えているとヒジリが声をかけた。
「あ、はい!」
「それでその女の外見的特徴は不明のままか?」
「はい。声だけでした。若いギャルみたいな少女だったって。」
日比野がもう一回特徴を言っているとキュアリアス達がやってきた。何故か頭から血を流し涙を流している郷田、顔を赤くし上の空な朝比奈達と一緒に。
「待って。何があった?」
日比野が聞くとキュアリアスが見たことを報告した。その間に復活した郷田が話に加わる。
「・・・待ってくれ。その少女の特殊って若くてギャルっぽい話し方をしていたのか?」
「まぁ、そうなるな。」
「・・・そいつがNo.2だろ。」
「は?」
ヒジリの発言に郷田が首を傾げる。日比野が郷田達に溝霧から得た情報を話す。すると、我に戻った朝比奈が郷田を睨んだ。
「あんたねぇ、何怪獣に気持ち悪い顔でデレデレしてんのよ。」
「まだ怪獣と決まったわけじゃねぇ!フェーラちゃんはそんな奴じゃねぇ!」
「完全に結婚詐欺師に引っかかる被害者ね。」
郷田が一生懸命弁論するが最初から疑っている朝比奈達には通用しなかった。すると、郷田が泣きながらオペレーションルームから出て行った。
「くそ~!だったら証明してやる!」
泣きながら出て行った郷田を哀れむような目で見ている朝比奈の手にはクニンからもらったハンカチがまだある。そのハンカチに気がついた飛鳥崎が質問した。
「おい朝比奈。それなんだ?」
「これ?クニンさんからもらったハンカチよ。」
「おい。まさか、そいつ怪獣じゃねぇだろうな?」
「はぁ!?まだ怪獣と決まったわけじゃないでしょ!クニンさんはそんな人じゃないから!」
「さっきの郷田君と同じこと言ってる!」
朝比奈の発言にキュアリアスがびっくりしてツッコミを入れた。そんなキュアリアスを無視して朝比奈もオペレーションルームを出ようとした。
「絶対証明してあげる!」
「何から何まで郷田君と一緒なんだけど!」
郷田に続いて朝比奈まで出て行ってしまった。それを日比野達を汗を流しながら見てた。ちょっと時間が過ぎ日比野が我に返ると二人を追おうとした。
「ちょっとまずくないか?」
「二人を追います。チームマーリンとチームガウェイン、星雲寺さんは俺についてきてくれ。」
「了解。」
日比野達はAVRを出て二人を手分けして探している。しかし、なかなか見つからない。仕方なくAVR前に集合しようとした時、日比野と橘がフェーラを目撃した。
「なぁ、日比野。あいつ、郷田と言っていた女に似てないか?」
橘に言われ日比野もそうだと頷く。フェーラは誰か男といる。二人はフェーラに気付かれないように近付く。
「誰かと一緒にいる。」
「郷田か。」
二人がフェーラと一緒にいた男を確認すると佐古水だった。
((ええ~!))
予想と違い佐古水がフェーラと一緒に、しかもなんか良さそうな雰囲気でいることに驚く二人。しばらくするとフェーラが手を振りながらどこかへ行ってしまった。1人になった佐古水に日比野と橘が近寄る。
「佐古水。」
「日比野。」
「何してたんだ?」
「彼女に話し掛けられて電話番号を交換しただけだが。」
佐古水がフェーラと交換した番号を見せる。二人は頬を吊り上げひきつっている。
「嘘・・・」
「佐古水までそんな・・・」
佐古水を見て驚いている二人。そこにキュアリアス達がやってきた。
「何してんの?」
「佐古水が・・・詐欺に引っかかった。」
「嘘ぉ!?」
「詐欺って言うな。」
佐古水のことを話すとキュアリアス達は驚愕した。
「それで郷田達は?」
「ダメ。どこにもいない。」
キュアリアス達が報告する。日比野はため息をつくと仕方なくAVRオペレーションルームに戻った。
そのAVRの中には朝比奈と一緒にいるクニン、郷田と一緒にいるフェーラがいた。




