魅惑的
「あ、あなたのお名前は?」
青年に名前を聞いた朝比奈。もう、郷田のことなど眼中になく目の前のイケメンに虜になってしまっている。
「僕はクニン。この街にいる知り合いが心配できたんだ。」
青年がニコリと微笑むと女性陣は忽ち顔を赤くし目が離せなくなった。
(凄い優しい青年。)
(私のクラスにいないタイプ。)
(ハンサムで爽やかでどこかミステリアスな方ですわ。)
(ちょっとワイルドな佐古水君とは違うイケメン。)
クニンを見てぼーっとしている朝比奈達。クニンは爽やかフェイスで朝比奈達を見る。
「それじゃあ、僕は知り合いを探すから。また、会いましょう。」
「「「「はい!」」」」
クニンは再び微笑むと手を振ってその場から去って行った。
((((なんて魅力的な人なんでしょう。))))
去っていくクニンを見てメロメロになっている朝比奈達だった。
一方、郷田もフェーラにメロメロになっていた。
「・・・何やってるのあいつ?」
それをキュアリアスが見ていた。隣にはルージュと堀垣もいた。
「なんじゃあの女?」
「郷田君、ナンパした?」
「快翔にそんな度胸はない。」
「あんた、意外とドライね。」
郷田とフェーラが気になった3人は二人の後を追った。郷田はフェーラに抱き付かれデレデレしている。
「それでここがテラの中心を担うAVRだ。通称アルトロリスビクトリウムラウボット。ここはショッピングモールや病院、ホテルが合体している複合施設で地下はもしものための避難シェルターや発電所、オペレーションルームがあるんだぜ。」
「すごーい!郷田君って物識りだね!」
「いや~そんなこと・・・・あるかもな。」
「ねぇ、あの中に入ってみたい。」
「え、いや、今は難しいかな?なんせ、この前まで怪獣が暴れて施設は閉鎖されているから。」
「へぇ。」
フェーラを小悪魔みたいに笑うと郷田から離れた。
「ごめんなさい。急用が出来ちゃったかも。」
「あ、そうなんだ。」
「ねぇ、折角だから電話番号交換しない?」
そう言ってフェーラは胸からスマホを取り出した。郷田はフェーラの胸に目を奪われる。
「え、マジ?」
「マジマジ!」
(マジで!?こんな超絶美少女と電番交換とか俺の人生今最高潮じゃねぇか!)
郷田は下心丸見え状態の顔をしながらスマホを取り出した。そのままフェーラと電話番号を交換する。フェーラは交換したことを確認すると郷田に抱き付いた。郷田の胸にフェーラのおっぱいがしっかり当たる。
「ありがとう!じゃあまたかけるね!」
フェーラはそう言って去って行った。気持ち悪いほどデレデレしながら郷田がバイバイと手を振っているとルージュが郷田の頭をおもいっきり噛んだ。
「いてぇー!」
「どう?現実に戻れた?」
我に帰った郷田が後ろを振り向くとジト目で見ているキュアリアスと苦笑いしている堀垣がいた。
「何サボって女と気持ち悪いデレデレしてるのよ?」
「嫉妬か?俺に青春がきたから妬んでんのか?」
郷田が頭から血を流して挑発しているとキュアリアスが哀れむような目をして郷田の肩を掴んだ。
「郷田、あんた詐欺にかかってんのよ。」
「辛辣過ぎんだろ!」
キュアリアスのキツい一言に郷田は少し涙目になる。
「哲平、お前からも何か言ってくれ!」
「星雲寺さんの言う通りです。」
「哲平!?」
堀垣がさらに郷田に追い討ちをかける。堀垣にまで言われたことで郷田の心はズタボロになり膝から崩れ落ちた。キュアリアスと堀垣は涙を流している郷田を引き摺りAVRに戻って行った。
ちなみに、その間もルージュは郷田の頭を齧っていた。