一緒に戦わないか?
スパンダーとの戦争が終幕して数日。
夢宮はAVRの7階にある特殊病室にいる。緑色の液体に満たされたカプセルの中に人口呼吸器に繋がれ眠っている。
「勇輝・・・」
眠っている夢宮を見てキュアリアス達は心配している。
数日前
「また会おう。夢宮勇輝。」
スパンダーは夢宮に抱き付くと残っている脚から糸を出して囲むと白く光り自爆した。激しい爆音と共に辺り一面に爆風と炎が舞い上がる。
「夢宮!」
日比野達が急いで消火活動にはいる。なんとか火を消すとそこには全身火傷を負い瀕死の夢宮がいた。すぐに駆け寄り夢宮を抱き上げる。なんとか息はしているが一刻も早く治療しないと危険な状態だ。
日比野達はすぐに治療魔法をかけながら特殊病室に運んだ。
そして、今に至る。
「それで、夢宮は大丈夫なんでしょうか?」
「あれだけの爆発で生きているので命に別状はないと思われます。しかし、目が覚めるかどうかは判断しかねます。」
「そんな・・・」
医師の診断に空咲が口を抑えて呟く。みんな、カプセルの中にいる夢宮を見ていることだけしか出来なかった。日比野はしばらく夢宮を見ていると病室を出て行った。
病室を出た日比野は近くにある病室に入る。そこにいたのは溝霧だった。彼は戦いの後、燃え盛る炎の中へと転落してしまったが怪獣になっていたおかげで一命を取り留めていた。
「・・・殺さなかったんですね。」
「言っただろ?もう誰も死なせないって。」
「敵でも?」
「溝霧、俺はお前をクラスメートだと思ってる。確かに許されないことをした。けどそれは俺達も同じだ。」
日比野はベッドの隣にある椅子に腰かけ話す。
「なぁ、教えてくれないか?残りのナンバーズのメンバー、No.1とNo.2のこと。」
日比野が質問する。溝霧は最初は黙ってしまうが口を開いた。
「会ったことはないです。けど、スパンダーさんがNo.2と会話しているのを聞いたことがあります。」
「それ、本当か!?」
日比野が腰を上げて近付いた。
「う、うん。詳しくは覚えていないけど・・・」
『お前が来るとは珍しいな。』
『だってー、ジャギュラが殺られたんでしょ~。』
『一応、引き分けだ。No.2、お前らも一緒に来るか?』
『いや、あんたがヤられたら行く~。』
『そうならないように万全をきして行く。』
『バイバ~イ!』
「・・・その感じ、No.2は女性か?」
「はい。扉越しでしたし少ししか聞こえなかったですけど声も喋り方も女性的でした。しかもなんかギャルっぽい感じの若い女性でした。」
溝霧が情報を話す。しかし、思い出せないのか途中で口ごもる。日比野は手を顎に当てて考える。もし、No.2が襲来するとするならば夢宮が弱っている今だと考えている。
分からないことを考えても仕方ないと思ったのか一回保留すると日比野は溝霧の肩を掴んだ。
「・・・なぁ、溝霧。俺達と一緒に戦わないか?」
「またですか。」
「怪獣はみんな逃げた。お前を置いて逃げたんだ。」
「それは知っています。スパンダーさんはここに襲撃する際にギャオラホルンの撤退音が鳴った時にハザードハッカーの能力の範囲外にいる怪獣は置いていくって言ってたんで僕はその時に能力の範囲外にいたってだけのこと。」
溝霧は窓の外を見て喋った。日比野の目を見なくなってしまった。彼には負い目がある。最初、夢宮達を裏切りクラスメートを殺害した。そして、スパンダーと共に夢宮達に敵対した。
溝霧は顔を背けたままだが日比野はそのまま口を開いた。
「今すぐ決めろ、とは言わない。けど、俺はお前を歓迎する。それだけは覚えていてほしい。」
気まずそうになっている溝霧の心境を察すると日比野はそう言い残して病室を出て行った。溝霧は日比野がいなくなった扉をただ見ていた。
復興が続くテラ。みんなが忙しく復興を進めている。すると、見慣れない少女がさらっとやってきた。
「ここね。スパンダーを倒したWISHがいるという街は。どんな子がいるのか楽しみ~。」
少女はクスッと笑うと復興の手伝いをしている郷田に目を付けた。